紫がたり 「真木柱」創作部分解説 玉鬘編
みなさん、こんにちは。
次回、紫がたり 第二百九十話 梅枝(一)は4月23日(日)に掲載させていただきます。
さて、本日も先日掲載終了しました真木柱の帖の創作部分について解説させていただきます。
玉鬘についてですね。
一般的に玉鬘姫は次々と訪れる過酷な運命に立ち向かい、自分の生きる道を切り拓いた女性という印象を持たれております。
そういう女性像を鑑みますと玉鬘の帖での私の創作部分が生きてくると考えました。
そしてその仕上げがこの真木柱ということになります。
平安の女性というのは男尊女卑の社会でしたので、それは辛いことも多かったでしょう。
女を盗む、と平気で表現しますし、夜這いという言葉もさらりと存在したわけです。
玉鬘姫は貴族の姫であっても髭黒に奪われるという辛い経験をしました。
そんな男が亭主面をして毎日やって来るのはこれまた耐えられないことでしょう。
その心がどう変わってゆくのかを描くのが大切だと私は思いました。
結婚したことによって玉鬘姫が自分の人生をみつめる場面を創作したのもその為です。
玉鬘姫は髭黒の邸に強引に迎えられ、そこで生きてゆくしか術はありませんでした。
同じような平安時代の女性は多かったことでしょう。
それをどう捉えるか。
嘆き暮らしても状況は変わりません。
心がそう強くない姫ならばそのまま儚くなった平安女性もいたことでしょう。
玉鬘姫はたくましく、というか、腹を括った感じでしょうか。
うまく心の折り合いをつけて髭黒の立派な北の方に納まりました。
創作は物語のスパイスのようなものだと思います。
ましてや源氏物語は千年以上昔の物語。
今の我々には考え及ばないような習慣もありますし、生活様式もまったく違います。
私の書いた源氏物語がみなさまに楽しく読んでいただければ幸いです。