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『光る君へ』第3話を観て ※ネタバレあり

みなさん、こんばんは。
『光る君へ』の第3話を観ました。
今後の展開の伏線がプンプン匂う回でしたね。

先日掲載いたしました装束についてのお話ですが、3話の道長は文官装束を披露しておりますので、位は四位といったところでしょうか。
装束で官位などがうかがえるというエッセイを書きました。
こちらです・・・

成人後の位について源氏物語でとある場面が思い出されるでしょう。
それは夕霧が成人した時のお話です。
第二十一帖 少女(おとめ)で描かれております。

通常身分の高い公卿などの子息は成人して四位以上の官位を賜ります。
(昇殿できるのは五位以上)
源氏のライバル・頭中将(その時は右大将)の子供達(柏木など)はこの慣例に従い四位を賜りましたが、源氏がたっての願いで夕霧に与えられたのは六位という実に厳しいものでした。
源氏は夕霧を大学寮に入れて実力をつけさせ、自分で官位をつかみ取るよう願い、このようにしたのですが、夕霧はその官位の低い浅葱の袍が恥ずかしくて仕方がありませんでした。
心を寄せている筒井筒の姫(幼馴染み)雲居雁にもいいところを見せたかったでしょうが、六位とは恥ずかしい!
 ・・・という事情もあったわけです。
あまつさえ雲居雁の乳母にも、官位が低いことをディスられ、父・源氏を恨めしく思ったことでしょう。
しかし、元来真面目な君はコツコツと努力を重ね、父が思うように自分で上り詰めてゆくのです。

ともあれこの話から鑑みても、道長は右大臣の子息であり、まさに公卿の子息、とても身分が高いということになります。
今回の道長はあくまでものんびり屋さんで野心が無さそうに描かれておりましたが、実は虎視眈々と何かを目論んでいる片鱗が見られました。
兄・道兼との会話や背を向けた時の表情は、今後を暗示しているように思われました。
どのように兄に向ってゆくのかが楽しみです。

さて、3話を観まして個人的に気になりましたのは、凰稀かなめさん演じる赤染衛門ですね。
中古三十六歌仙、女房三十六歌仙にも上げられる女流歌人です。
百人一首の59番目の歌が彼女が詠んだものです。

 やすらはで 寝なましものを小夜ふけて
       傾ぶくまでの 月をみしかな
(あなたを待ってずっと寝ずにいたものを、躊躇わずに眠ってしまえばよかった。沈む月を眺めているのがしみじみと、なんとも寂しい夜明けとなりました)

赤染衛門は左大臣家の一の姫・倫子に仕え、後には彰子の養育にも携わる才女です。
ん?左大臣家の姫が彰子の養育?
というのは、倫子(黒木華さん)は道長の正妻となり、娘の彰子を産むからです。
そして後に紫式部と呼ばれるまひろとも協力しあう関係になるわけですし、今回の出会いはとても大切な場面ですね。
話は戻りますが、先に記した歌は、赤染衛門が詠みましたが、彼女の妹の心を代弁して詠んだ歌です。
訪れなかった男性というのは後の関白・藤原道隆、つまり道長のお兄さん(井浦新さん)です。
赤染衛門は良妻賢母で夫婦仲も睦まじい鴛鴦夫婦と史実にはありますので凰稀さんは知的でイメージがピッタリです。

もう一人気になるのがやはりロバート秋山さん演じる藤原実資です。
調べるとちゃんと名前が出てきてホッとしました。
長く右大将を務め、大臣にまで上るということ。
史実では物の道理を貫く御仁で、理にかなっていないとあらば従わないような人だということです。
今回はコミカルでしたね~。
円融天皇が体調を崩されたのを毒を盛られたと看破するも、兼家が盛らせた毒は2話の密談にあったように「死なない程度のもの」でした。
台盤所の女房達を取り調べるや、密やかに非難轟々・・・。
「いやはや、女房達とはこれからが大変」
なんて気まずい感じに笑ってしまいました。
この場面で私が興味深く感じたのは、女房達は檜扇で口元を隠しているので、誰が苦情を述べているのかわからないところです。
一瞬、ん?心の声か?
と思いましたが、檜扇の陰で悪口を言っていたわけです。
本当に平安人はこんな感じだったのかも、と面白かったです。

さて、第4話は『五節の姫君』ですね。
源氏物語でももちろん登場します。
予告ではまひろが五節の舞姫に選ばれたようですが、道長とは互いの素性が知れるような気配です。
またまた楽しみ☆
それではまた来週!


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