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子供の自主性と心理的安全性〜授業参観〜

授業参観に行った時のこと、算数の授業で手を上げているのはほんの数人、正解を持っている子供達しか明らかに手をあげていない状態。先生がOOちゃん!と一人の子を指しOOちゃんが答えを言うと、先生が『どうですか?』と生徒全員に聞き、生徒が一斉に『いいで〜す!』と答えるのです。

では正解で無かった時はなんて答えるのでしょうか?

『違いま〜す!』でしょうか?『他にありますか?』でしょうか?

又、グループでの発言はジャンケンで負けた人がと言うなど。
自主性がみられなかったのも少し残念に思いました。

その後、懇親会で先生からクラスの発言力が少ないので改善してゆきたい。是非ご家庭でもお子さん達に促してみて下さいとのお話がありました。

発言ができる環境とは

皆さんは発言ができる環境とはどんなものであるか考えた事はありますか?

人が発言をするには、安心安全な関係性(心理的安全性)があるから発言できます。それは会社の中でも学校でも同じです。

実は娘はアメリカから日本に越して来た当初は、わかっていようが、わかっていまいが、正解だろうが、不正解だろうが、手をあげて積極的に発言をし、分からない所はすぐに聞き、聞き取りづらかった所も手をあげ、『先生もう一度言ってください。』など物怖じもせず積極的な発言をしていました。答えではなく、発言をする事、声を出す事に比重を置いていたのですね。

学校の先生も。さすがアメリカの教育は違うね〜。新鮮でとても良いです。などお褒めの言葉を頂いた事もしばしば。

しかしながら1年も経つうちに、全く手が上がらなくなってしまいました。

私は5年生にもなり成長期だし、ここで(日本で)生きて行く為の知恵と協調性が出て来たのだろうとあまり気にも留めていませんでした。しかし6年生1学期の授業を見て、協調性、シャイな性格だけで無く、心理的安全性の課題要素も含まれていると確信しました。

手をあげて正解をした子は『いいでーす』と皆から肯定され。正解した事で一時的に自己肯定感があがります。ただし、これは条件付の自己肯定感です。条件付(比較型)の自己肯定感は脆く、ひとたび自分より周りの方ができている環境に入れられると直ぐに折れてしまいます。そして、正解とは違う答えをうちに秘めていた子はやっぱり発言しなくてよかったとなるでしょう。

発言した方は比較型の自己肯定感が付き、発言しなかった方はもっと自己肯定感が下がる。これでは、両者とも良いことはありません。

ではどうしたら良いのでしょうか。私なりにポジティブ心理学を基に考えてみました。

1)まず、子供達の自己効力感(できるか、できないか、わからないけどやってみよう!)を伸ばすことが何より大切だと先生方が気が付く事だと思います。

先生も親も子供達に幸せな人生を送って欲しいと願っています。そしてその幸せな人生を送る為に欠かせないのが受容型の自己肯定感を身につける事。受容型の自己肯定感とは、条件付きでは無くありのままの自分を受け入れる、私は私のままで良いと自分を認めてあげれる気持ちから来ます。比較ではありません。そしてできるか出来ないかわからないけどやってみようと言う自己効力感はしなやかなマインドセットをもった受容型の自己肯定感から湧いて来ます。それは新しい切り口を見つけ失敗をしても前へ進む生きる力になります。

スタンフォード大学のキャロルドゥエック博士は、低所得家族でしなやかマインドセットを持った子供達は、高所得家庭でコチコチマインド(比較型自己肯定感)をもった子供達より、はるかに成績が良く、その後の伸び率も良いと研究結果で示しています。

2)正解を発言する事を良しとするだけでは無く、どんな意見も答えも歓迎し、尊重し、大切だと生徒達にちゃんと事前に伝える事。発言は、発言をした本人も他の子にとっても沢山の学びがある事を子供達に初めに伝える事で正解では無く、発言する行動に意味があると比重を変える事ができるのではないでしょうか。間違えることは挑戦している証拠!とはっきり子供達に言ってあげる。

実際、私達は間違う事でしか学ぶ方法はありません。間違いを恐れてしまう環境設定では無く、出来るか出来ないかやってみよう。失敗してしまうかもしれないけど挑戦してみようとする失敗力を学校で養って行って欲しいと思うのです。正解なんてむしろ現実の社会では無いことの方が多いのでは無いでしょうか?

3)例えば、挑戦したけど算数の答えが間違っていたら、勇気を持って発言をしてくれた事を称えてあげてはどうでしょうか。よく挑戦したね。発言をしてくれてありがとう。また挑戦してね!など英語で言ったら『NICE TRY! Thank you!』と挑戦を選んだ事を称える言葉の一つでもかけてあげてください。そうなふうに声をかけられたら、次はもっと頑張ろうときっと自然に思ってくれるはずです。

因みに、うちの娘のに聞いたらこんな回答が返って来ました。

発言して、『違いまーす』と言われたらどういもう?と言う問いには。『心がヒュルルルンと小さくなる感じがする。』また発言しようと思わない。。

(そりゃそうですよね。間違えたらクラス全員から『違いまーす』と全否定されたら、心もひるみます。しかもそれが参観日なら尚更。私だって、懇親会で何か発言して保護者全員に『違いまーす』と言われたら、と想像しただけでなんだかゾッとします。)

では、発言した、特になにも言われず『他にありますか?』と言われ進んでしまったら?と言う問いに。『えー;;違うの〜』って思う。

では発言し間違ってたとしてその後に、なんと言ってくれたらまた発言しようと思う?と言う問いには、『頑張って発言してくれてありがとう、また挑戦してね。』と言われたらまた頑張ろうと思う。だそうです。

4)学びのプロセスを褒める事を心がける。答えが正解の時も、不正解の時もプロセスフォーカスをする。何故そうなったのか?どうしたらそうなったのか? 時間やカリキュラムに限りがある中、ここまで丁寧なやりとりはなかなか難しいのかもしれませんが、結果よりも過程を褒めて上げる事を重視してみてください。自己効力感がどんどんあがります。

子供達は常に学んでいます。観察力もとても優れています。

『成功する子はやりたいことを見つけている』の著者 中曽根陽子さんがこんな事を記していました。『これまで新しい事に挑戦しようとした時に、過去に親や先生から否定をされたり、人と違う意見を言ったら白い目で見られたりと言う経験を繰り返した結果、自分の考えを持たない方が行きやすいと言うことを学習して来てしまったからかもしれません』と。

もし発言がクラスに少ないなら、同じような事が起こっていると言えかもしれません。

子供達は子供達なりに、『発言をしない方が生きやすい。』そう何処かで感じ、知らず知らずのうちに思考の癖がついてしまったのかもしれません。

それは子供達の観察力や感受性が優れているが故です。

クラスが畑だとしたら、畑は耕し水や肥料を与える事でどうにでも活かすことができます。是非、試行錯誤をしながらこの正解のない時代に適応できる失敗力・探究力を育んで行って欲しいと思います。生きる力として一生子供達の為になるそんな気がしています。

ちなみに、デザインで発言力を上げるには。

一番一般的なのが、主とする席を作らない事。いわゆるお誕生日や、教壇の様に前を向む事や、四角のテーブル設定ではなく、丸が良く使われます。 

テーブルを丸くする事で、全ての人が同じ位置、距離感となり、首班席が無く、心理的に一人一人を尊重した形となり意見を発し易い感覚になります。

中華料理屋さんにある丸テーブルや、会議室で良く見る楕円もそんな会話を上げる意味合いがあるのですね。お互いの顔が見え声が届きやすいようにできています。

学校の教室で、又は社内のチームミーティングで丸テーブルや円を意識して使ってみてはいかがですか。

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