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【27日目】運動会は誰でもできるもんじゃない

実は、ドミニカ共和国には日系社会がある。

第2次世界大戦後、日本政府は「海外移住振興策」を打ち出した。ブラジルへ多くの日本人が移住したように、ドミニカ共和国にも当時1000人以上の日本人が移住した。


そして今日は、ドミニカ日本語学校大運動会!!

今回で46回目。日本人の移住者が初めてドミニカ共和国に来たのは1956~1959年なので、移住初期にできた歴史ある運動会のようだ。

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会場には日系人の方たちが100人くらい集まっていた。

アナウンスや掲示物は日本語とスペイン語を使っていて、参加者の顔立ちも日本人に近い人が少なくない。ドミニカ共和国にいるのにここだけ日本みたいな、不思議な空間だった。


運動会の主役は日系3世や4世のこどもたち。

種目はパン食い競争や障害物競走、たま入れ、リレーなどがある。赤組、白組に分かれて点数を競う。

もちろん、親が参加できるリレーもある。

会場のセットも競技種目も、日本の運動会さながらだった。

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こどもたちが必死になって玉入れしているのを、私たちが「Vamos!(行け!がんばれ!)」と応援していると、運営の日系人の女の子から「あなたたちも次の種目でない?」と誘われた。もちろん出る!!


私たちが出る種目は二人三脚。高校以来、7年ぶりの運動会出場だ。

懐かしさと、久々に運動できる喜びで必死に二人三脚をした。チーム制で3チームに分かれてやったところ、私がいるチームが優勝!!やったー!


達成感とともに応援席へ戻ろうとしたら、他の参加者から「運営で景品受け取れるよ」と、運営テントに行くように言われた。

「ん?1つの種目で勝っただけで景品もらえるの?」と不思議に思いつつも運営テントへ行った。すると、景品としてタッパーとカミソリをもらった。

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なんとこの運動会、一つの種目ごとに全員分の景品が用意されているらしい。しかも1位のチームは景品が豪華で、2位、3位・・・と順位が落ちるごとに景品が豪華じゃなくなっていく。

景品の中身は米や油、石鹸、みかんなど様々。1位になったチームがみんな米袋を持って応援席に戻る姿はシュールだった・・・。


どうやらこの景品は、やる気を持って運動会に取り組むためのモチベーションの1つのようだ。とても人間らしい!


ここで私が思ったのは、「むしろ日本の運動会、種目で勝つどころか優勝しても何ももらえないのに、みんな必死になって頑張れるのすごくない?」ということだ。

学校では運動会が近くなると、体育の時間はリレーやダンス、団技の練習ばかりになり、自然と「『運動会』という本番に向かって頑張らないといけない」感じに思えてくる。

そして運動会本番ではみんな自然と一緒に盛り上がり、優勝すれば本気で喜び、優勝できなければ最高学年(=最後の運動会だった)の人は泣く人もいる。

これって日本では普通のことだと思ってたけど、実は世界的に見たら普通じゃないのでは・・・?



日本の学校では「ご褒美をもらえなくてもがんばるべき。がんばって得られる達成感が大切」という方針な気がする。


日系1世の人の中には、「子供や孫に日本式の教育を受けさせたい」という人もいるらしい。

今日、その人たちの気持ちが少しわかった気がする。今まで「ご褒美がなくてもがんばるのは当たり前」な教育を受けてきた人が、今日の運動会を見たらちょっと驚くと思う。


ドミニカ共和国では「何かをもらうために頑張る」という感じ。これはこれで人間らしく、ハングリー精神が生まれそうでいいと思うけど。


「どんな教育を受けるか」で人間の中身は変わっていくんだな。

運動会を頑張るって、簡単にできることじゃない。そんなことを思った今日でした。



今日はこの辺で終わります。

それではまた~。









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