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魂のこよみ

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Anthroposophischer Seelenkalenderは,ドイツの神秘思想家ルドルフ・シュタイナー(Steiner, Rudolf)が1912年に発表した詩篇形式のカ…
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2022年5月の記事一覧

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】6月第1週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】6月第1週

木の葉を透き通してくる
白い光のシャワーに
境界が溶けていくようだ

眩しさに
2秒も目を開けていられない

風に揺れる花も
道端に落ちた松ぼっくりも
赤く佇む郵便ポストも
すれ違う犬も
私も

目を細め 
初夏の熱に 温められて
うっとりと 溶けていく

光のシーツに飛び込んで
白い温もりに ほおずり

全身を包まれて 満たされていく
今は ただ

※Rudolf Steiner,
Anthro

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】5月第4週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】5月第4週

草木が萌える

下から湧き上がる 無限の奔流
むせ返るような 生命の匂い

輝く緑と一緒になって昇り
真っ白な光に 身を委ねる

この瞬間
あらゆる疑いが消え去る

無我 夢中

白い光の中で

※Rudolf Steiner,
Anthroposophischer Seelenkalender:52 Wochensprüche
Rudolf Steiner Verlag, Dornach(Sch

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】5月第3週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】5月第3週

天を駆け上がり
太陽に近づきすぎたイカロスは

たしかに恐れ知らずで 
傲慢だったかもしれない

でも
太陽があんなに輝いていたら
背中に大きな翼があったら

誰だって
飛んでいきたくなる

羽ばたきの音
フワッと軽く どこまでも舞い上がる

温かく 熱く 上気する頬
目が眩む 真っ白な恍惚

──ああ,予感よ。

遥か先を見通して
向こうみずな私の手をとり 導いてほしい

切なくも大胆なる
やむ

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】5月第2週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】5月第2週

地の割れ目から
あふれんばかりに咲く野の花に
奇妙に惹かれることがある

どうしてそんなに無邪気に
自分の色はこれだと 主張できるんだろう

世界が外へとほころび出して
生き生きと 笑み 広がるとき

それは無時間の中では実現しない
鮮やかな生の横溢

無力であるのに 何より力強い
確固とした生の湧出

花と咲き広がる 世界の脈動が
私の心臓と リズミカルに 響き合う

※Rudolf Stein

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】5月第1週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】5月第1週

皮膚を透き通す 確かな光に誘われて
今 明るみに出ていく

人知れぬ 胸の中で
私だけが愛して
大事に 温めていたものたちが

てらいなく  
惜しみなく
とめどなく

でも,私にもわからなかった

こんなに温かな色が
私の中にあったなんて

こんなにたくさんの蕾が
世界に開いていくなんて

※Rudolf Steiner,
Anthroposophischer Seelenkalender:52

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