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普通のパート主婦が、ベンチャー企業の企画チームにスカウトされた話

何か自分の能力を生かしてお金を稼ぎたい。自分が興奮して熱中できることを仕事にしたい。

主婦をやりながらも、その気持ちはずっとどこかで持ち続けていた。だけど子どもとしっかり関わりたい、子育てもママ友界も主婦も存分に経験したいと思ったわたしは、キャリアをいうものを降りた身として20年近く「ふつーの主婦」をやってきている。

過去に社員として働いていた頃の「チームの一員」としての自分は結構好きだった。アイデアはたくさん出る方だが、それをひとりでブラッシュアップすることが苦手。だからあれこれ他人と一緒になってあーだこーだおしゃべりする中で出てくるふとしたひらめきが湧き出る瞬間が好きだし、それをすくい上げてビジネスとして現実化するレベルにまで引き上げるのもまた、わたしひとりの力ではできないことだ。

昔、まだECが黎明期の頃に、映画や音楽のエンタメ商材を紹介するWEBサイトの企画、プロデュースを仕事にしていたわたしは、その頃上り調子だったDVDなどの通販の販促にも首を突っ込んでいた。

たまに顔を出してはあーでもない、こうでもないと意見を自由に交わせる風通しの良い、悪く言えば職域なしのカオスな職場で面白いと思ったことをぶつけ、それが形になる感動。

発売タイトルはメーカー依存だし、オリジナル特典の施策も尽きた。もっともっとDVDを売るために何をすればよいか?というときに思いついたのが当時話題になっていた「復刊ドットコム」というサイトをヒントにした復刻企画だった。

限定DVDボックスでいまは廃盤になっている、けれどニーズがとても高くて再販要望のあるものをメーカーに交渉して再販する。だけどそれだと在庫を抱えるリスクがある。メーカー側もある程度の数がコミットできないと再販には踏み切れない。

だったら、販売するなら絶対買うっていう人を集めればいいじゃないの。ということで思いついたのが「100人集まれ企画」。

売る方はコミットできるし、買いたい人は喜ぶ。なんて良い案なのだ!とアドレナリン全開で鼻息荒くECチームにプレゼンしに行った。といっても興奮してまくしたてるだけだけど。

それに乗ってくれたECチームと協力して実現化することになった。バイヤーがメーカーと交渉を重ね、単価の高い3万円程度のDVD-BOXなら、100セット売れるなら再販すると言ってくれたメーカーがあり、そことタッグを組んでの企画に発展した。

100人集まれ企画のリリース当日、胸が高鳴った。メルマガで告知していたものの、誰も買ってくれなかったらどうしよう。10人くらいで終わっちゃったらどうしよう。不安と期待でドキドキしながら迎えたスタートだったが、なんと嬉しいことにあっという間に数が伸び、たった数日で100人の目標を達成。昔のことなので正確な個数は忘れたが、最終的には500ボックス程度売ることができたと記憶している。

一度軌道に乗せてしまえば、あとは商品さえあれば同じ仕組みに乗せるだけ。はじめは往年の名作ドラマや、高額の人気アニメDVDボックスなど第2弾、第三弾とヒットを飛ばした。

こんなことを経験してしまうと、やっぱりチームで企画して、自分一人ではできないことを実現する楽しみも味わいたくなってしまう。

ひとりで起業して、ビジネススキームを組み立てて、ヒョイっとやっちゃう人もいて、それはすごいなぁと思うのだけど、頭の中が散らかる私にはムリゲー。だからこそ自分と誰かの力が合わさり、良いものができることに興奮するのだと思う。

だが会社員をやめ、主婦になり、子育てをすると、その興奮する現場に戻れることはないのだろうな、と思っていた。

ライターとして自分の考えや想いを書いて伝えること、クライアント様に企画を提案して、書きたいことを書かせてもらえること、これはわたしの身体が喜んでいる仕事。

だけど自分一人でできることは、企画のネタ出し、アイデア出しくらいだから、ほんの少し物足りない自分もいた。

まだ子どもに手がかかり、主婦業もけっこうな割合で自分にかかってくる現状とか、じゃあ育児の手が離れたらフルタイムワーカーとして月から金までバリバリ働きたいのか?と言われればそうでもなくて。

主婦をやってみて、自由に時間を使えることが魅力でもあるし、そうなると結局社員とかではなくて、派遣で週何回か勤務するようなワークスタイルを持ちつつ、ライターを頑張っていくのが妥当なのかな、なんて考えていた。

だからフルリモートで会社を運営しているベンチャー企業から企画スタッフのお声がけをいただいたときは驚いた。

わたしのnoteや今まで寄稿したものを読んでくださり、経歴も見てくださった上でお声がけいただいた。いくつかの質問に答えると、面談の声掛けをいただいた。

そもそもなんで私みたいなのに声をかけてくれたんだろう?とめちゃくちゃ疑問だった。だから面談で声がけしてくれた理由を聞くと、「なんか塩辛って名前が面白いから」というカジュアルすぎるひとことで終わった。何それ面白いこの人。

あれこれ聞かれるのかと思いきや、「で、企画やる?」と単刀直入に聞かれた。やりたい。という気持ちしかなかったから「やってみたいです」と答えた。すると「じゃあよろしく」といった感じで、ものの15分で面談が終わり、なんか分からないうちに契約書が送られてきて、気づいたらえらくトガった提案をするWEB制作会社の企画メンバーになっていた。

何も分からないままいきなり案件にぶち込まれて、いきなりzoomで既存メンバーと企画会議をする。この感覚、昔のベンチャー企業で放置プレイを食らったときと同じ感覚。わからないけどその場にある情報で必死に案を出し、食らいついた。でもその場はエキサイティングで最高に面白かった。

ミーティング後はいきなり「じゃ提案書ヨロシク」と仕事を振られた。右も左も分からないのにいきなり振るのはベンチャー特有ね。あの頃は20代だったけど、50を迎える歳になってベンチャーでぶち込まれて勝手に学べよ案件にまた出会うとは思わなかった。もっと親切にしてよ、と思いながらもこれが一番身につくことも経験上分かっていて、やり方までいちいち指示されることが嫌いな自分に合っていることもわかっているので「ったく無茶ぶりかよ・・・」と言い、ビビりながらも手を付ける。

やっぱ大変だし50だし無理じゃないのかなぁと思いながらも、そのスピード感やブレストが飛び交うエキサイティングなミーティングに入ると、パブロフの犬的反射が起こり、よだれが出てついついおしゃべりになる。ああでもない、こうでもないとついつい言って盛り上がってしまう。ミーティング後は疲労と快感が残る。ドMかよ。

ただしフルリモート会社とはいえ会社の稼働時間はサラリーマン時間。日中に用事が多く、パートもしているわたしは、なかなか昼間のMTG時間が取れなかったり、その間に飛び交うチャットについていけなかったりして悩ましくもあり、申し訳なくもある。

だけどやっぱり面白い。その会社が、クライアントに媚びることなく、自分たちが本気で良いと思ったものを出すという方針なので、根っこの部分でわたしの姿勢と似ていると思ったし、とても共感できている部分だからかもしれない。

自分にはどんな仕事がいいんだろう?とこねくり回して考えているときは、いろんなところに応募してもサッパリ決まらない。なんなら応募数はかなり多くても全落ちは当たり前。だけど決まる瞬間の決まり方がえげつなく早い。これは縁でしかないし、だけど何も行動しなかったわけではなくて、行動したからこそ見つけてもらえたのだから、今まで試行錯誤してきたことが無駄ではなく、ふとした瞬間に実を結んだ感じ。こういう瞬間に神さまの後押しって感じるなぁと思う。

だけどこんなエキサイティングな会社はハイレベル、ハイスピード。スタッフは大手広告代理店出身だの、若手バイリンガルスーパーエリートだの、気おくれしてしまうような人ばかり。20年近くもビジネスの世界から離れていたし、そもそもビジネス用語にはめっちゃ疎いので「なんすかそれ?」という用語も飛び交う。そのたびに「ああ、それね」と言いながらこっそりググってわかったふりをする。そうしながら覚えていくもんだよね。

スタートして2か月、まだまだついていくのに必死だし、自分で自信をもって成果と言えるものも出せてない。だけどここでもう少し振り回されながら、食らいつきながらやっていけば、バージョンアップした自分に出会えることもなんとなくわかっている。

だからやるしかないし、しんどいこともあるけど、やりたいんだよね。ドMかよ。

といった感じで、どうせ仕事するならエキサイティングに、楽しくやりたいわたしにはうってつけのご縁をいただき、ライターとしてのキャリアも積みつつ、企業に関わる仕事にも関わることができて、自分の未来がもっともっと楽しみになってきている今日この頃だ。

今日もお読みくださりありがとうございました!

余談。

大卒の主婦がそこらへんでくすぶってる状況に、もっと子育て終わった主婦が活躍できる人生を開拓したいと模索中です。


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