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藤原氏すげぇ。って話。NHK大河ドラマ「光る君へ」をきっかけに知った藤原氏のあれこれ

やっと、1年を通して見られそうな大河ドラマに出会った。

今まで日本史など興味ゼロだったのだが、40半ばを過ぎてから「自分がもはや歴史の一部である」ことに気づき、急に歴史に興味を持つようになった。

それで大河ドラマを見るのだけれど、どうにもいつも断念する。その理由は、ほとんどの大河ドラマが乱世の世を舞台にしており、戦のシーンがめちゃくちゃ多く、バッサバッサと人が斬られて死んでいく生々しいシーンが多いからだ。映画やドラマで多少見慣れてはいるものの、想像力豊かなので、大量に人が殺し合うシーンを見ると気分が悪くなってしまうのだ。

その点、今回(2023年~24年にかけて)放送されている「光る君へ」は、平安時代の物語。

雅(みやび)な世界は結構好きで、小学生の頃に百人一首クラブに入ってみたり、着物に興味が湧いて着付けを習ってみたり「和文化」というのには興味があったし、何より「戦のシーンはないだろう」ということで安心して見られると思ったからだ。

とはいえ始まってみれば、主人公の母上がブスっとやられてしまったり、多少はあるのだが、その程度ならサスペンスであるので耐えられる程度。まぁかなり権力争いのドロドロした陰謀も見られて面白いし、恋愛要素も盛り込んだドラマになっているのでそこまで重くなく見られるのも助かる。

このドラマは、主人公は「源氏物語」を書いた紫式部なのだが、その時代背景は平安時代に隆盛を極めた「藤原氏」の時代。特に最高権力を握ったといわれる藤原道長を主たる人物に置いている。

大河ドラマは歴史的知見がないまま見ると、誰が誰だか、、、というのはよくあることだが、今回のドラマも然り。困ったことに出てくる登場人物のほとんどが「藤原氏」で、何が何だか。さすがに道長は小学校の歴史でも出てくるレベルだし、その父とか兄弟くらいまでは分かるけど、他に出てくる人もなんと全部藤原らしく、そのあたりはもう俳優の顔で覚えるしかないって感じで、誰が誰だか状態。

それでもストーリーは追えるので、そんな感じでライトに見ていたのだが、ある日いつも神社ツアーや振り返りの会でお世話になっているくれや萌絵さんがSNSで「藤原めっ!」と書いているのを発見。何が「藤原めっ!」なのかと思い少し聞いてみると、とにかく「藤原氏は良くも悪くもめちゃくちゃやり手である」というのだ。

みんな歴史で「藤原氏=平安時代」は習ったと思うし、わたしもそれは知ってる。だけどそこで栄えてその後終わったと思っていたけれど、大正くらいまで政治の実権を握っていたというじゃないの。

えー何それ!とビックリしていたら、ビックリした人は他にもいたようで、さまざまなイベント活動を行っている福島千種さんが、「くれや萌絵さんが藤原氏を語る会」というのを企画してくださった。

萌絵さんからはいま連続講座で「古事記のお話会」も受講しているのだけど、こちらもめちゃくちゃ分かりやすいし、その知識量にも毎回脱帽。藤原氏のことも、そりゃーもう聞いてみたい!と参加。

なぜそんなに詳しくなってしまったか?なのだが、そもそも萌絵さんは藤原氏に興味があるわけじゃなかったようで。神社が大好きで神社のことを調べていると、藤原氏にゆかりがある神さまがおり、そこから芋づる式に藤原氏にたどり着いたら、まぁこれがすんごいことになっていたのでビックリ、という話らしい。

ちなみに古事記は神話として書かれているけれど、実際の歴史とも密接に関連していると考えられていて、まぁ当時のときの権力者が「神の子である」って言うための作為部分もあったりするんじゃないか?と言われているのよね。

で、藤原氏は系譜上、古事記に登場する「天児屋命」(あめのこやねのみこと)の子孫てことになっているらしい。この神さまは天岩戸伝説で、祝詞を奏上した神さまで、ニニギの天孫降臨にもお供したという重要な役どころで登場する神さま。奈良の春日大社に祀られていて、藤原氏ゆかりの地なんだとか。藤の花が咲き、巫女さんたちは藤の花の飾りをつけているとか、やだめちゃ優雅!

しかも春日大社には、「藤原」姓しか通れない道もあるとかで、まじ「藤原勢力ガチ勢」な名残も残っているらしい。

奈良公園は修学旅行で行ったり、京都在住時代に何度か行ったけれど、そんな知識もないわたしは奈良の大仏を見て、とりあえず鹿と戯れた記憶しかない。そんなの聞いたら今すぐ飛んで行きたくなるじゃんね。

で、この神さまに縁があるとされる藤原氏、スタートは皆さんご存知「大化の改新」で中臣鎌足と中大兄皇子が蘇我氏を倒し、その後、中臣鎌足が天皇から「藤原」姓をもらったというところから。

そこから、超やり手の藤原不比等に取って代わり、このあたりから娘を天皇の嫁にしたりと外戚政治がスタート。天皇の正室が子どもを生めば、もう天皇のおじいちゃんになれるわけで、権力は手に入る。そりゃー権力争いにもなりますわな。

そうして権力を取りに行く傍ら、藤原以外の勢力をじゃんじゃん排除していくのもすごい。もう手段は選びませんて感じね。蘇我氏を倒した後も、当然有力な氏族はたくさんいたんだけど、片っ端から排斥していく勢いったらもう藤原氏本気。

ちなみにこの排斥された側の氏族が祀られている神社も数多く、神社好きの萌絵さんからすると、追われた氏族たちのことを考えて「藤原めっ!」となるのだとか(笑)

不比等さんはえらく賢かったようで、政治の要員には一氏族から一人しかなれなかった当時の事情を鑑み、自分の子孫の家を4分割して、役員を4倍に増やすという荒業をやってのけ、政治参加の藤原の割合をグイグイあげていったのだそう。すごいな。

で、他の氏族を排斥しまくってやることがなくなったのか、なんなら今度は内輪もめ時代に突入。藤原氏の子孫の中でも、優劣みたいなもんがつきはじめ、道長につながるのは「北家」という血筋なんだそうで。そこから4代ほど下って、やっとドラマでも登場する道長の父、兼家が出てくる。このころにはすでにもう藤原まみれになっているわけで、その中でも家の格が違っちゃっているので「光る君へ」の中でもみんな藤原だけど偉い、偉くないがかなりはっきり出てしまっているということらしい。ほんと全然知らなかったよ。

その兼家の子がスーパールーキー道長。兄二人、天皇に入内した姉と、だいぶ立ち位置が固まった状態で全盛を迎えるのだそう。このあたりはドラマでどんどん描かれていくので楽しみにしていようと思う。

で、その道長以降の藤原氏ってどーなったの?という話なのだが、だいたい学校で習う歴史では、そのあと「鎌倉時代」に突入。そもそも歴史の舞台が変わって、武家政権の話になる。だけどその間もちゃんと朝廷があって天皇がいて、というのはあるわけで、歴史的には影が薄いけど、ずっと天皇家とその実権を握る藤原氏、というのはずっといたそう。

しかもね、ビックリなんだけど、大正天皇あたりまでは「皇后には藤原氏しかならない」とか決まってたんだそうな。ただ途中で姓が変わって「藤原」ではなく、それまでにお家争いがあって5つくらいに分裂してるのだそう。さらにその後も分裂があり、古くは太政大臣、最近では華族など、主要なポストは藤原氏の子孫が抑えているんだって。今も明治神宮とか伊勢神宮とかの宮司さんも藤原氏の子孫が受け継いでいて、やだもうひたすらビックリ!!!平安で終わってたと思ってる人めちゃくちゃ多いと思うので、このビックリを伝えたい!!!!

この「実は藤原まみれ」な事実、そこから先どんどん知らぬ間にいろんな藤原の子孫が増えて行っているはずなのだけど、たとえば苗字で言うと「佐藤」「伊藤」など「藤」がついている氏の方は、ずっと先をたどると藤原氏にたどり着く可能性があるのだとか。へーーー佐藤さんなんてめちゃくちゃ多いじゃんね。そういえば友人にめちゃくちゃお嬢様の伊藤さんがいるけど、もしかしてそうかも??とか考えると妄想が膨らむ。

こうやって、ちょっと知識が増えるだけでも、いろんなことが立体的に見えてきてめちゃくちゃ面白い。知ってて何か役に立つか?といったら立たないかもしれないけど、こういう教養って人生を豊かに、というと言いすぎだけど、なんか楽しいことが増えると思うんだよねぇ。

コロナ禍では「不要不急のことはするな」みたいなことが叫ばれて、舞台や映画などエンターテインメントが排除されてしまったなんてこともあったけれど、わたしはそういうものこそが人生に潤いをもたらすと思うし、今回みたいな藤原氏のマメ知識みたいなものも「不要不急」かもしれないけど、なんだかそれを知るだけで自分の見えている世界が広がるから楽しい。だからわたしは「不要不急」と言われても、自分の興味のあることをどんどん知っていきたいなと思う今日この頃だ。

今日もお読みくださりありがとうございました!

※今回藤原氏のお話をしてくださった、くれや萌絵さんのブログはこちら
※お話会を企画してくださった、福島千種さんのホームページはこちら


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