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<ラグビー>2023ラグビーワールドカップ(準決勝)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

 子供の頃、考え事をしているとき、よく狭い借家の中を歩いていた。特に中学生の頃、そういうときが多かった。その姿を見て、父から「お前は熊か?」と嘲笑されたが、自分としては無意識にやっていたので、嘲笑もなにも心に響かなかった。なによりも、その時に頭の中で考えていることだけで精一杯だった。
 
 また我が家では、妹がいつもTVのアニメ番組を大音量で見ていたので、自然と騒音に対する耐性みたいなものができていて、TVの大音量が聞こえている中で読書をするのが当たり前になっていた。それで、自分が何かに集中していると、他の音が聞こえてはいるのだが、それが意識の中に入りこんでこないようになっていた。
 
 狭い借家住まいで読書をするには、この特殊な性質は都合が良かったが、社会人になってから、また家庭を持ってからは、「人の話をちゃんと聞いていない!」とよく叱責の対象にされていた。もっとも、自分としては必要なことだけ聞いて、不要なことは聞き流す選択をすると同時に、一応少しは記憶に止めるように意識しつつ、別のことを考えていたのだが、そうしたことが表情に出ていたためか、いつも「ボーと生きてるんじゃねーよ!」と叱られる理由になっていた。


1.RWC準決勝結果

アルゼンチン6-44オールブラックス(HT6-20)

 アルゼンチンは、SHトマス・クベーリをメンバー外として、ゴンザロ・ベルトラノウを先発させ、21番のリザーブには、ラウタロ・バザンヴェルツを入れた。この他の交代はない。NO.8ファクンド・イーサが50キャップを達成した。なお、監督のマイケル・チェイカは、開催主催者がアルゼンチンに対して、適切なタイミングでスタジアム近くの宿舎を準備していなかったことにクレームをしている。このこと以外にも、今大会での開催側の不備は多々指摘されているようだ。

 オールブラックスは、前戦でメンバー外としたマーク・テレアを11番WTBで先発させ、レスター・ファインガアヌクはメンバー外となった。4番LOサムエル・ホワイトロックと19番LOブロディー・レタリックはローテーションしている。HOの先発はコーディ・テイラーで変わらないが、16番のリザーブは、ダン・コールズからサミソニ・タウケイアホに代えた。SHキャメロン・ロイガードは引き続きメンバー外となり、21番にはフィンレイ・クリスティーが入った。前戦で出番のなかった23番ダミアン・マッケンジーの活躍が期待される。

 試合は、開始3分にアルゼンチンがPGで先制したが、その後はオールブラックスの堅いディフェンスに跳ね返される一方、スクラム、ラインアウト、ブレイクダウンで劣勢となり、オールブラックスが、11分に14番WTBウィル・ジョーダン、16分に12番CTBジョルディ・バレット、41分に6番FLシャノン・フリッゼルと3トライを奪い、大きくリードする。11番WTBマーク・テレアの密集周辺でのアタックが効果的。また、13番CTBリエコ・イオアネがよくタックルしている。

 後半に入ってからもオールブラックスがペースを握り、アルゼンチンに得点チャンスを与えない。41分には、スクラムの8→9からSHアーロン・スミスがトライを取り、ゲームを支配する。続く48分にフリッゼルが2つ目のトライ、61分にジョーダンが2つ目のトライ、72分にはさらにジョーダンが3つ目のハットトリックトライを記録して、最後までアルゼンチンを圧倒した。

 オールブラックスは、65分に5番LOスコット・バレットがラックで相手ボールをはたく不要な反則でシンビンになったこと(しかし、シンビンが明けた後プレーに復帰せず、オールブラックスは最後まで14人で戦った)、及びSOリッチー・モウンガのゴールキックが不安定だった以外は、激戦となった準々決勝のアイルランド戦の反動を感じさせない一方的な勝利だった。MOMは攻守に仕事量の多かったジョルディ・バレットになったが(元オールブラックスのダニエル・カーターが記念品のプレゼンターだった)、本人のコメントのとおり、FWがセットプレーやブレイクダウンを制圧したことが、勝利に大きく貢献していた。

 負けたアルゼンチンは、来週の3位決定戦に向けて、意気消沈することなく頑張って欲しい。勝ったオールブラックスは、4度目の優勝を目指す決勝となる。そして、相手はスプリングボクス。トウィッケナムの借りを返す絶好の舞台となる。

イングランド15-16南アフリカ(HT12-6)

 イングランドは、脳震盪のマーカス・スミスに代えて、FBにフレディー・スチュアートが復帰した。その他の交代はない。SOはオウウェン・ファレル先発、ジョージ・フォードが22番のリザーブなので、キッキングゲームで主導権と握ろうとしているのがわかるメンバーだ。

 南アフリカは、まったく交代のないメンバーにしてきた。ここまで来ると変にメンバーを交代させると、選手のモチベーションやチームの戦術に影響するため、何もしない方がよいらしい。SOはゴールキックに不安の残るマニー・リボックが先発し、アンドレ・ポラードが22番のリザーブなので、リボックのゴールキックが不調の場合は、すぐにポラードへ交代するだろう。また、リザーブは普通のFW5人+BK3人にしている。

 余談だが、インドでクリケットのワールドカップが開催されていて、同じ日のイングランド対南アフリカのゲームが行われた。イングランド人は、「テストマッチのダブルヘッダー」と大変らしい。ちなみに私は、NZやインドにいたときに垣間見たクリケットの経験から、まったく面白くないスポーツだと思っているが、今はルールも変わって、かつての一試合に一週間かかるとか、試合中の10時と15時にお茶の時間があるなどは改良されているようだ。(なお、クリケットでも南アフリカがイングランドに勝利した。)

 試合は、雨が激しく振ったことも影響して、予想通りのキッキングゲームに、そして熾烈なFW戦とPG合戦となった。前半は、イングランドがキッキングゲームを支配して、SOオウウェン・ファレルがPGを刻む理想通りの展開となる。一方の南アフリカは、敵陣でPKを得ても、ゴールキックに難があるSOマニー・リボックがPGを狙わず、タッチ→ラインアウトでトライを狙うが、ことごとくイングランドに跳ね返されてしまう。

 たまらず南アフリカは、30分にSOを22番のアンドレ・ポラードに交代させた。しかし、トライは取れずにPGの応酬となり、12-6のイングランド6点リードで前半を終えた。ゲームを支配したイングランドと支配された南アフリカ、両チームにとって微妙な6点差だった。

 後半42分、南アフリカは、タッチキックをミスしたSHコーブス・ライナッハに代えて、21番ファフ・デクラークを投入する。さらに、4番LOエベン・エツベスに代えてフィジカル自慢の19番RG・スナイマンを投入して、ゲームの打開を図る。

 しかし52分、イングランドはファレルがDGを決めて15-6と引き離し、トライ&コンバージョンでは逆転できない点差にして、想定内の逃げ切り体制に入った。ところが59分、南アフリカは、自陣10mの相手ボールのスクラムでPKを勝ち取ってから流れを取り戻した。68分、敵陣10mラインアウトからモールを押すと見せかけて16番FLデオン・フーリーが突進。ゴール前でタックルされたが、そのラックからRG・スナイマンがフィジカルの強さを生かして強引にトライを挙げた。ポラードのコンバージョンも決まって、15-13の2点差。一気に勝負はわからなくなった。

 そして72分、南アフリカは自陣22mのフリーキックからスクラムを選択して攻め込み、76分には右中間50mのスクラムでPKを得る。迷わずPGを選択し、距離・角度とも難しいキックをポラードが決めて、ついに15-16と逆転した。

 イングランドは、77分に22番ジョージ・フォードを投入して、ファレルとの2人体制で逆転のDGを狙うが、南アフリカのディフェンスが強く、最後までDGを蹴らせるテリトリーに入れさせなかった。

 MOMは、勝利のPGを決めたポラードがもらったが、5番FWフランコ・モスタートの攻守にわたる仕事量の多さと、イングランドの絨毯爆撃に高さで負けながらも良く耐えた、11番チェスリン・コルベと14番カートリー・アレンゼの両WTBの健闘を称えたい。

 負けたイングランドは大半を想定通りのゲームプランで進めたが、勝負所でスクラムが安定しなかったことが敗因となった。また、トライを取れないチームはそう簡単に勝てるわけがない。なお、キャプテンのオウウェン・ファレルが、前半、レフェリーのベン・オキーフの判定に対して、興奮しながらクレームをしていたのは、キャプテンとして非常にいただけない行為だった。こうしたキャプテンの姿勢は、チーム全体に影響する。間接的には敗因につながった軽率なものだったと思う。

〇3位決定戦予想

アルゼンチン対イングランド

 図らずもプールマッチの再戦となった。イングランドはまたもやDGやPGで得点を刻む戦いをするのか?はたまた、アルゼンチンがリベンジを果たすのか?アルゼンチンとしては、2007年以来の3位を確保したい。

〇決勝予想

オールブラックス対南アフリカ

 真の世界一決定戦。世界ランキングも1位と2位との対戦になっている。ここまでくれば、お互いに手の内を知り尽くしている同士の対戦でもあり、戦略も戦術も要らない。23人対23人だけでなく、ラグビーというスポーツを通じてお互いのプライドを賭けた、メンタルの差が得点に反映されていく戦いになるだろう。そして、どちらが勝っても4度目のRWC優勝となる。

2.その他のニュース等

(1)対象的なキャプテンのコメント

 フランス対南アフリカの対戦は、1点差の勝負となる大接戦だったが、試合後の両チームのキャプテンのコメントは、対象的なものがあった。

 負けたフランスのキャプテンであるSHアントワーヌ・デュポンは、「うるさいことは言いたくないが」としつつも、NZ人レフェリーのベン・オキーフが、フランスにPKを与えなかったことを批判した(PGで3点を取って勝利していた可能性がある)。しかし、監督のファビアン・ガルティエは、レフェリー1人ではなく審判団(オフィシャル)として判定していることを尊重する発言をしている。

 一方勝った南アフリカのキャプテンであるFLシヤ・コリシは、貧しい中から這い上がってきた人物らしく、大怪我から復帰したデュポンや4年間かけて自国開催のRWCのためにチームを築いてきたフランスに対して、尊敬しまた労うコメントをしている。また、自身を含めてリザーブと交代したことについて、リザーブの選手たちの貢献を称える一方、1点差の勝利の立役者は、コンバージョンキック(2点入る)のチャージをしたWTBチェスリン・コルベのようなプレーであったと称えている。

(2)ベン・オキーフがフランス人から攻撃される。


 フランスのキャプテンであるアントワーヌ・デュポンは、さらに続けてレフェリーの誤審を糾弾するようなコメントをした。これが契機ともなり、ベン・オキーフに対して、フランス人からの多数の誹謗中傷が殺到する事態となっている。

 現在のシステムは、審判団として主審及びアシスタントレフェリー、さらにTMOとの間で無線連絡をしながら、試合の進行をしている。そのため一人の主審(の誤審)によって、勝敗が分かれるケースはない上に、そもそもレフェリングが審判団と言うグループで行う形体になっている。従って、オキーフ一人を糾弾することは不当な行為でしかないが、準々決勝敗退という現実を受け入れられないファンが多数いるようだ。

(3)現・元レフェリーたちの多様なコメント

〇 ナイジェル・オウウェンスは、誤審なしと判断

 ウェールズ人の経験値の高い元レフェリー、ナイジェル・オウウェンスは、エベン・エツベスのノッコンは、後ろにボールが落ちているので問題なし。一方、クワッガ・スミスが得たブレイクダウンでのPKは、判断が分かれるところだとしている。

〇 ロメイン・ポワツは、デュトイはレッドにすべきだったとの意見

 フランス人レフェリーのロメイン・ポワツは、過去オールブラックス対ブリティッシュアンドアイリッシュ・ライオンズの最終戦で、ライオンズのPK判定を覆して、オールブラックスから勝利を奪い取るという大誤審をしたレフェリーだが、南アフリカのピータースティフ・デュトイのラックで相手を排除するプレーについて、頭部が当たっているのでレッドカードにすべき誤審だったと意見している。

 また、チェスリン・コルベのキックチャージは、ルール上は「ゴールライン内にいること」となっているところ、コルベは片足をゴールラインに置いているので、グレーゾーンだとしている。総じて、デュポンのレフェリー批判を応援するコメントとなっている。

(4)エディー・ジョーンズは、日本との関係を全否定し、オーストラリアに残ると言明


 今回のRWCでは、若手主体のスコッドで、初のプールマッチ敗退となったオーストラリア・ワラビーズ監督のエディー・ジョーンズだが、大会前に日本協会と次期日本代表監督になるための面談をしたとか、また日本代表監督候補の一人として最終面接に臨むなどの、種々雑多な報道が日本のメディアを賑わせた。

 しかし、それまで基本的に沈黙していたジョーンズは、「日本協会との関係はない」、「2027年RWCの地元開催に向けて、ワラビーズを強化する仕事を継続する」と、10月17日に言明した。

 このことから考えれば、「次期日本代表監督としてジョーンズが有力」などと報道した日本のメディアは、無責任な憶測あるいは記者個人としての願望、さらにジョーンズを日本代表監督にするための広報として、種々報道していたのではないかと指摘されても仕方ないだろう。

(5)オーストラリア協会会長フィル・ウォーは、ジョーンズの忠誠心を期待


 ジョーンズの日本行きについては、ジョーンズ自身が否定しているが、オーストラリア協会長である、元ワラビーズFLのフィル・ウォーは、もしジョーンズが日本協会と秘密に連絡を取り合っているのであれば、それは不誠実な(忠誠心がない)行為だと述べている。

(6)ウィル・ジョーダンがRWC一大会のトライ記録に並ぶ


 オールブラックスのトライゲッターであるWTBウィル・ジョーダン、25歳は、このアルゼンチンとの準決勝が30試合目となったが、ハットトリックを記録して、合計31トライを記録している。一方、今大会で8個目のトライとなり、偉大なジョナ・ロムー、スプリングボクスの快足ランナーであるブライアン・ハバナ、2015年大会のトライ王ジュリアン・サヴェアの持つ一大会の記録に並んだ。

 次の決勝でトライを挙げて、大会新記録樹立となることが期待される。

これまでの大会記録は以下のとおり
トライ数8個
8 – Jonah Lomu (New Zealand) in 1999 ジョナ・ロムー NZ 1999年
8 – Bryan Habana (South Africa) in 2007 ブライアン・ハバナ 南アフリカ 2007年
8 – Julian Savea (New Zealand) in 2015 ジュリアン・サヴェア NZ 2015年
8 – Will Jordan (New Zealand) in 2023 ウィル・ジョーダン NZ 2023年
トライ数7個
7 – Jonah Lomu (New Zealand) in 1995 ジョナ・ロムー NZ 1995年
7 – Marc Ellis (New Zealand) in 1995 マーク・エリス NZ 1995年
7 – Mils Muliaina (New Zealand) in 2003 ミルス・ムリアイナ NZ 2003年
7 – Doug Howlett (New Zealand) in 2003 ダグ・ハウレット NZ 2003年
7 – Drew Mitchell (Australia) in 2007 ドリュウ・ミッチェル オーストラリア 2007年
7 – Josh Adams (Wales) in 2019 ジョシュ・アダムズ ウェールズ 2019年

3.WXV(女子ラグビーの世界規模のリーグ戦。今年から始まった)試合結果

WXV1


イングランド42-7オーストラリア
カナダ42-27ウェールズ
ブラックファーンズ17-18フランス
 ブラックファーンズは、後半にレッドカードを出してしまい、接戦に敗れてしまった。

WXV2


アメリカ14-24スコットランド
イタリア36-18南アフリカ
日本32-10サモア
 日本、サモアには順当に勝利。

WXV3


カザフスタン18-12ケニア
スペイン26-19フィジー
アイルランド64-3コロンビア


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