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『ディベート道場 ― 思考と対話の稽古』特別対談②「建設的な議論を可能にする」山中礼二さん(KIBOW社会投資 ディレクター、グロービス経営大学院 教員)

山中礼二 プロフィール
KIBOW社会投資 ディレクター(グロービス経営大学院 教員)。一橋大学経済学部卒業。ハーバード・ビジネス・スクール修士課程修了(MBA/専攻:Entrepreneurial Management)。キヤノンで新規事業企画・ベンチャー企業との戦略的提携に携わり、2000年にベンチャーキャピタルのグロービス・キャピタル・パートナーズに参加。その後、医療ベンチャーのヘルス・ソリューション(専務取締役COO)、エス・エム・エス(事業開発)を経て、現在はグロービス経営大学院の専任教員。また、KIBOW社会投資 ディレクターとして社会を変える起業家へのインパクト投資を担当している。

山中礼二

田村:ディベートとの付き合いが始まったのはいつからですか。

山中:私は中高一貫校に通っていました。中学1年のときからESS(英語サークル)に入っていました。その頃、6学年上の先輩がサークルに来て「おまえたちもディベートをやってみろ」と。当時は「何のことだか意味がわからない」というところから始まりました。

田村:意味がわからなかった(笑) 12歳の頃ですね。

山中:そうですね。それで、中学2年のときにインターハイディベートの決勝戦を見に行きました。それが、高校2年生の日本女子大付属VS慶応女子の試合だったんです。高校生たちが難しい政治的な内容についてガンガンに議論しているのを見て、本当にかっこいいと思いました。自分も英語でガンガン議論できるようになりたいと憧れて、ディベートを始めたんです。高校のときにはインターハイに出ましたが、予選で全敗しました……。それが悔しくて、大学でもディベートを続けました。

田村:全敗したんですか!

山中:いやー、ひどかったですよ。うちの高校は初出場だったんです。一応コーチみたいな人が他の高校から来て教えてくれていたんですが、試合では、相手の尋問に対してまともに答えることもままならないような状況で。考えていなければならないことを、十分に考え尽くせないまま試合に臨み、打ちのめされたような状況でしたね。ただ、あるジャッジだけが私のことを「すごくいいスピーチだった」と褒めてくれたんです。それがなかったら、ディベートを続けていなかったかもしれませんね。

田村:それは良かったですね。褒めてくれた人がいたというのも、打ちのめされたというのも良かったですね。

山中:両方良かったかもしれません。

田村:逆にそこで楽々勝っていたら、そこで満足して終わっていたかもしれないですね。その後はどうなったんですか。

山中:大学でまたESSに入りました。大学に入ってからは、だんだん試合に勝てるようになってきました。先輩たちに手厚く指導していただき、1年のときには何回か優勝できましたが、2年では1学年上の先輩になかなか勝てなくて、負けることが多かったです。3年になってからは、全国大会で3回優勝できました。4年のときには日米交歓ディベートに参加して、アメリカの学校を17校まわってディベートしました。それが自分にとって全くの未知の世界で、面白かったです。

田村:アメリカの学生ディベーターとの親善試合のようなものですね。そこで印象的だったことは何かありますか。

山中:教育ディベートのように、ロジックごつごつのディベートではないことをやったんですよ。オーディエンスがたくさんいて、ときどきオーディエンスとのQ&Aが入ったりして。

田村:今で言うパーラメンタリーディベート*のようなものですか。

*パーラメンタリーディベートとは、一つの論題に対し、肯定と否定チームに分かれ、各々のチームが第三者を説得させるパブリックスピーチ型のディベートです。論題は、社会、政治、倫理、環境、国際問題など多岐にわたります。論題が発表されてから、15~30分程度の短い準備時間の後、ディベートを開始します。ディベートをする者は、肯定か否定チームのいずれに属するかを自ら選ぶことはできず、自身の意見とは異なる観点からの主張も考えなければならないことがあります。(「パーラメンタリーディベート人財育成協会」より引用http://www.pdpda.org/blank-5)

山中:そうですねパーラメンタリーに近いディベートでした。ですので、ロジカルには自分が勝っているはずなのに、なぜかオーディエンス全員を敵に回している状況があって……。

田村:(笑)

山中:その状況の中で、オーディエンスの人がショートスピーチをして僕らを助けてくれることも。

田村:オーディエンスが助けてくれるなんてことがあるんですか。

山中:あるんですよ。そのときは「銃規制をすべきかどうか」というテーマで、僕たち日本人チームは「アメリカは銃を規制したほうがいい」という内容でスピーチしました。でも、そのときのオーディエンスは「アメリカは銃規制をすべきではない」という立場の人が多かったんです。そんな中、オーディエンスのひとりが立ち上がって、すごいショートスピーチをしたんです。
「私は前にFBIで働いていた人間だが、明らかにアメリカには銃が多過ぎる。何らかのかたちで規制すべきである」と、それだけ言って座ったんです。その瞬間に、会場の雰囲気がガラリと変わったんです。ロジックだけじゃないスピーチってあるんだなということを、そのとき学びました。

田村:大学時代のディベート生活はどのようなものでしたか。

山中:平日はだいたい図書館に行ってリサーチをしていました。今だったらインターネットでもっと効率よくリサーチできると思いますが、当時は図書館しかなかったんですよね。週末は、ほぼ毎週のようにディベートの大会に行くという生活でした。ですから、同じ大学にあまり友達はいなかったんですけど、他の大学のディベート友達はすごく多かったんですよ。今でも大学時代の親友を5人挙げると、5人ともディベーターですし、結婚相手もディベーターです。激しかったですが、充実していて面白かったです。

田村:今はどのような仕事や活動をされているのですか。

山中:今はふたつの仕事をしています。ひとつはビジネススクールの教員としての仕事です。ベンチャー系の科目に特化していて、起業家を生み出すような教育や、クラスから生まれた起業家を応援するようなことをやっています。もうひとつは投資の仕事です。投資といってもいろいろなものがありますが、「インパクト投資」という新しい投資のやり方をしています。

いわゆる、社会起業家や社会を変えようとしている起業家、社会に何らかの強いインパクトを与えるような起業家に対して出資しているのです。出資をするからには、経済的なリターンも追求していく。しかし、それ以上に社会が良くなってほしい。そのふたつのゴールを同時に追いかけるような投資をしています。世界ではすごく流行ってきているらしいですが、日本でやってる人はまだほとんどいないようです。これを何とか成功させて、インパクト投資の可能性を証明したいというのが、自分のもうひとつの仕事です。「インパクト」ってディベートでもさんざん使う言葉だと思いますが、いまだにインパクトを追いかけ続けているという……(笑)

投資をするたびに議論になります。「この投資は本当に社会を良くするものなのか」「関連性がないのではないか」「固有性がないのではないか」などと、同僚たちと真剣に議論するんですよ。投資した後にインパクトに近づいているのかを定量的に評価する。評価して、「ぶっちゃけ、これあまりインパクト出ていないね」と思ったら、途中でやり方を少しずつ変えて、よりインパクトの出る経営に変えていく。そういうことをやっています。

―― ディベートで言うゴールクライテリアケース*ですね。

*Goal-Criteria Case(ゴール達成基準型ケース):肯定側に「ある政策が採択されることによって、達成されるべきであると信ずる価値観や目標が存在する」時に効果を発揮するケース。単なる現状に対する比較的な改善よりもゴール達成に重点が置かれていることが特徴。参考:『英語ディベート 理論と実践』P.134(著:松本茂、鈴木健、青沼智)

山中:そう、ゴールクライテリアです。ゴールをまず先に設定しますね。田村さんは実際の試合でゴールクライテリアケースを聞いたことありますか。

田村:ほとんど見たことないですね。われわれがディベートを始めた1983年には、教科書にしかゴールクライテリアは載っていませんでした。試合では、ほぼ全てコンパラティブ・アドバンテージ*でした。

*Comparative-Advantage Case(利益追求型ケース):肯定側と否定側の政策の優位性を試合で提示したメリット・デメリットを比較して決定する考え方。参考:『英語ディベート 理論と実践」P.128(著:松本茂、鈴木健、青沼智)

山中:実社会では、ゴールクライテリア的な考え方をすべきではないのかと思うこともあるんですよね。

田村:そうそう。

山中:たとえば、企業の役員に対して「戦略的な第一歩を踏みすべきだ」というプレゼンをする場合、「その一歩だけでは大したメリットは生まれないが、それでも一歩足を踏み出したほうがいい。だからこのプランを採用すべきだ」とか。
または、たとえば人事の施策で「従業員が幸せになることをやりたい」というプレゼンする場合、何をもって従業員の幸せとするのかといった、クライテリア(基準)があいまいなことがあります。そういった場合は、自分なりのクライテリアを設定したうえで、プレゼンするといい場合があると思います。

田村:実社会では、メリット・デメリットの比較考量よりも「これだ」という基準を示して、その土台の上で議論をすることがよくあるし、そのほうが有効な場合もあるということは覚えておきたいですね。

山中:新規事業をするときに、それを実行したときのメリット・デメリット、コストを上回るリターン、ネットプレゼントバリュー*など、いろいろと計算してみてもあまりプラスにならないということはしばしばあります。プラスにならないけれども、それでも、ある方向性に向かってとにかく一歩を踏み出さないと、このままでは会社は死んでしまう。そんなケースがあります。ひとつひとつの施策自体のメリットはデメリットより小さいかもしれないけれども、それでも、その施策を連続的にトライアルしないと、会社が危機に陥るということはよくあります。

*Net Present Value(正味現在価値):一般的な投資判断基準のひとつで、投資の採算性を示す指標。「投資対象事業の将来的なキャッシュフロー」から「投資額」で差し引いて算出し、その大きさで投資の判断を行う。

田村:そう考えると、ネットプレゼントバリューやお金の計算に還元できない何かを伝えたいとき、プリンシプル(原理・原則:principle)やそのゴールのクライテリア(基準)、といった譲れない何かを示せると説得力が強くなりますね。

山中:昔の話ですけど、ある大学で「医師は必ずインフォームドコンセントをやるべきだ」ということを議論していたことがあります。そこである人が、情報を開示することは義務論的(デオントロジカル)であるという議論を展開しました。義務論というのはそもそも比較考量して決めるものじゃない。人として絶対にやらねばならない義務というものがあり、メリット・デメリットの比較という土俵に上げるべきではないという議論を展開したんです。すごく難しい議論だったことを覚えています。

田村:インパクト投資はいつからやっているのですか。

山中:2015年9月にやると決めて、12月に初めて1件目の投資をしました。

田村:まさにこれからですね。2016年の8月でしたか、NHKに出演*されていましたね。

*NHK総合、2016年8月28日(日)午前8時25分~午前8時57分放送「サキどり↑『お金をもうけて 社会もよくなる!?インパクト投資って何?』」

山中:はい。インパクト投資というもの自体が相当珍しいということで、「サキどり↑」という情報番組で特集してもらいました。

田村:まさにディベートでやってきたようなことを、仕事の中で使っているのですね。

山中:そうですね。そのまま使っています。メリット・デメリット、固有性、重要性。特に重要性の議論は難しいけれど大切ですね。

先日、議論になったのは「地方創生」についてです。「地方創生」って何だかいいことのように言われるじゃないですか。ある都道府県で「自分たちは地方創生のベンチャーである」と言って一生懸命魚を獲って売っているベンチャー、一生懸命おいしい何かをつくって売っているベンチャーというのがあるんです。すごくいいことをやっているように思うのですが、「自分たちがお金を投資して彼らを応援すること、これが社会に与えるインパクトは何だろう」と考え出すと、けっこう難しいです。宮城県のいちごを応援したら、今度は熊本県のいちごが負けてしまうかもしれないですよね。

田村:まさにシステムですね。

山中:システムなんですよ。本当に社会のシステムが変わるようなスイッチを自分たちで押せるのかどうかを日々考え、悩みながら仕事しています。田村さんにシステム思考を教えていただいて、本当に役に立っています。

田村:山中さんと一緒に仕事をしている人たちは、ディベートの経験や知識、あるいは言葉を共有している人たちですか。

山中:共有してはいませんね。仕事仲間は2人いますが、1人は海外でインパクト投資の経験がある人なので、インパクト投資家が使う言葉やディベートで言う「重要性」を評価するということには慣れています。もう1人は、そういったことには慣れていませんが、コーチングをやっていた人です。起業家の方の話をよく聞いたり、元気を出してもらって、起業家の描くゴールに向かって突き進むようにサポートするというスキルがある人です。

田村:3人チームでそれぞれのバックグラウンドやスキルを持ち寄って、ひとつのことをやっているんですね。これから何が起こっていくと思いますか。

山中:僕らの成功が確立するのに、5年、10年といったかなり長い時間がかかると思うんです。何とか時間をかけてでも成功を確立したい。チームを大きくしたい。投資する金額も大きくしたい。さらに、「あの人たちが成功したなら自分もできる」と考えて、世の中の人がどんどんインパクト投資を始めるという世界にしたいです。波及効果が出て社会を突き動かすような起業家に対して、世の中のお金がもっと流れ込むような社会になるといいですね。

日本は今、社会的な課題がたくさんあっても、政府は貧乏なのでそれらを全部解決できるような財政支出ができない。それを、起業家の力でひとつひとつ社会的な課題を解決していく、というように、問題解決サイクルが早くなるといいですね。

田村:ディベート教育、あるいはディベート学習についてはいろいろなレベルがあると思いますが、ディベート教育についてどんな影響や効果が期待できると思いますか。

山中:自分の場合、ディベートを学んで役に立っていることが3つあります。
1番目は自分が何かをプレゼンするときの説得性です。重要性・内因性・解決性などの枠組みはそのまま使えます。ビジネスプランのプレゼンでも本当によく使いますので、そのまま活かせます。自分がこのようなプレゼンをしたらこんな反論が来そうだなと、反論を事前に予測できることも役立っています。反論を予測して、さらにそれに対する反論も考えたうえで、役員プレゼンに臨む。これは、ディベートを経験していなかったら苦しかっただろうなと思います。

田村:必ず反論が予想できるし、反論が来たときにそれが嫌ではないと。

山中:そうです。それが2番目に関わってきますね。「説得する」ということにディベートが役立つというのもあるのですが、逆に、気持ちよく説得されるという効果もあると思っています。誰から反論されても、あまり感情的にならずに「いい反論だな」と思えたりします。「確かに、ここの関連性は切られているな」みたいな。だから、議論が心地よくなって、そこから建設的な合意に至るということが多いですね。

3番目は、ファシリテーションに役立つことです。私は大学院で教員をする中で、議論をファシリテートすることがあります。ある人の議論、それに対する反論、ひとりひとりの議論が全体的にどのように位置づけられるべきなのかという構造を見ることに役立ちます。どちらが肯定して、どちらが否定しているのか、議論はクラッシュしているのか。議論を自分の頭にマッピングすることで、俯瞰しやすくなると思います。これは、ディベートのジャッジと同じようなことをやっているんですね。

―― 現役でディベートをやっていた頃、苦労したことはありますか。

山中:現役の頃は、「イタ気持ちいい」という感覚がありました。大会前のプレッシャーはすごく強いので、そこが苦しかったですね。ディベートを引退してからも、しばらくは悪夢にうなされて目が覚めることもありました。

田村:現役を退いてからも、ディベートの試合でうまく話せないとか、勝てないで苦しんでいる夢は見るね。夢を見ないようになるまで2年くらいかかりました。

山中:私もです(笑) 就職して1年目に最後の夢を見ました。全く自分の予想していなかったケースを肯定側が出してきて、青ざめてしまうという夢で……。目が覚めて「ああ、自分はもうこの苦しみを味わう必要はないんだと」と。

田村:「ああよかった」ってね。

山中:でも、振り返ってみるとやはりすごく楽しい「イタ気持ちいい」経験だったと思います。

田村:苦しいと思ってもやめようとは思わなかったですか。

山中:それは思わなかったですね。やっぱり勝ちたかったですし、ゲームとしてディベートを追求していました。ディベートに教育効果があるからもっとやろうとは考えてなかったですね。

田村:なるほど。勝つためにはどんなことをしていましたか。

山中:スピーチ練習、リサーチとケース構築のふたつです。スピーチ練習については、英語でスピーチをするので、そこはハードルが高かったです。あとは、苦しい負け方をした試合のフローシートを大切に取っておいて、シーズンオフにそれを見ながら、「今の自分だったらこういうスピーチができる」とスピーチをやり直してみるのもよくやっていました。

田村:シーズンオフに負け試合をネタにして練習していた! イチローみたいですね。

山中:他には、ふだん電車の中や歩いているときに、昔のディベートの試合の録音テープを聞いてました。テープを聞きながら、その内容をブツブツと口に出すという練習もよくやりましたね。

田村:変な人に思われそうですね。

山中:相当変な人に見られるだろうなというリスクはありましたが、僕のライバルは相当ブッ飛んでる人だったので、彼に勝つためには自分も変人にならなければ駄目かなと思ってやっていましたね。

田村:ライバルがいたんですね。どんな人だったんですか。

山中:高校の同級生なんですが、ものすごい努力家で、英語の辞書を持ち歩いて1ページ1ページ全部覚えてしまうような人でした。その努力のレベルを超えないと、自分は勝てないだろうなとわかっていました。

田村:いいライバルがいたんですね。

山中:田村さんはディベートのどんなところが楽しかったですか。

田村:シンプルですが、ひとつは勝てるようになるとやっぱり楽しい。自分の場合、最初はずっと負け続けていました。自分が「これだ!」と思った議論がジャッジに通じて負けるならまだしも、そこまでいってないという感じがあって、すごく歯がゆかったですね。でも、それが学習経験的にはとても良かった。いかにそれを打破して、ジャッジに届く議論を優位に進められるかということを一生懸命考えることができました。

それから、ジャッジに議論を届けるのが上手な先輩や同期をよく観察しました。観察すると、うまい人はごく少数で、うまくない人もいるじゃないですか。これは岡目八目で、人の試合を見て「こうすればいいのに」「自分だったらこうしよう」と考えていると、そういうノウハウのようなものが溜まっていく。そうすると次第に勝てるようになってきて面白かった。単純に勝つということだけではなく、どうやって勝つかというプロセスを自分で考えている時間が楽しかったです。

単にリサーチして証拠を集めることには、それほど喜びはなかったですが、集めてきた証拠をどう料理するか頭を使うところが楽しいですね。あるいは、証拠が集まる前に、「もしかしたら本当はこうじゃないか」と仮説を立て、そのアイデアを人が理解できるかたちにするとか。そういったことを仲間と話せることも面白かったです。シーズンオフに、負けた試合のフローシートを使って練習するのもけっこう楽しかったですよね。

山中:そうですね。自分に酔いながら、ものすごく格好いいスピーチができるので(笑)

田村:スポーツと同じで学校を代表して大会に出るわけなので、やっぱり勝たなきゃというとプレッシャーがあります。だから、いくらディベートが楽しくても負けたら嫌だというストレスもある。けれども、シーズンオフは誰にやらさせているわけでもなく、自発的にやっていますからね。

山中:ディベートする相手と仲がいいと、ディベート自体も楽しいということもあります。ディベート仲間と仲良くなると本当に楽しかったです。

田村:ディベートは、理論的、技術的にはひとりでもできるけど、実際にディベートを上達させたり楽しむためには絶対に仲間が必要だし、試合をするなら相手になってくれるチームとジャッジが必要ですからね。

―― ディベートを学ぼうと思う人たちにメッセージをお願いします。

山中:日本社会においては、感情的にならずに議論できるシーンはなかなかありません。でも、ディベーター同士だったら感情的にならずに本当に建設的な議論ができますし、相手がディベーターだったら、どんなに論破しても平気です。みなさんの職場やコミュニティの中でディベーターがいることは素晴らしい価値だと思います。そういう意味で、ディベートを学ぶというのは素晴らしいことなので、ぜひ学んでいただければと思います。私もまだまだですが、建設的な議論ができる文化を広げていきたいなと思います。


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