詩「空に寄りかかって」
白と黒の
手乗り文鳥は
少年のてのひらの上で
空になった
枯れ葉が震えるように
細い手ですくいあげる
羽と
白、
黒
ほんの少し前の現在、または思い出の
干からびた夜を
自身の胸にあてて
トクントクンと
なにかが燃えるように
どこかに歩いていくかのように
期待と不安が入り混じった傘をさして
(青)空、
その向こう側に
宇宙か、
天国 うん
覚えてるよ
いつも手を引っ張って
買い物につき合わせていた
茅の輪のように痩せたおばあちゃんの横顔
カラカラの雲がベッドの向こう側に流れて
どうしても思い出せない今際の言葉に
いつか色を付けたいと思いながら
あの日の裏庭に埋めたガラス細工のような青
空が
日毎にヒビ割れていくそのやりきれなさに
それでも明日の喉は渇いて、
渇いて……、
水……
最近、筆を手にして、絵の具を前に、奇妙な日本語のような言葉を拾えないかと、――夢かもしれない、まだまだ、日本晴れ、か、それとも(青)いや、いや、しかし、――と。
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伊東静雄賞の佳作に選ばれた作品です。
※2021年8月の作品です。
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