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「初めての人生の歩き方――毎晩彼女にラブレターを」(有原ときみとぼくの日記) 第72話:発見の連続が歴史になる。

 不要不急の外出禁止。
 しかし食料は必要だ。
 彼は自転車に乗って業務用スーパーに向かう。
 雨の晴れ間。
 それでも曇天の空は心を重たくさせる。
 到着して早々彼は肩を落とした。

 すごい人だかり。
 そしてそのほとんどの人がカゴ一杯に食料を詰めていた。
 彼は悲しい気持ちになった。

 人間の自己中心的な考え方は、いったいどこからやってくるのだろうか。
 不安か、孤独か、先の見えない未来への渇望か。
 食料をいくらため込んでもなにも解決はしない。
 そういえば、と彼は思い出した。

 メンタリストDaiGoの動画の中で、なぜ人はトイレットペーパーを買い占めのかを心理的に分析してたのだ。
 それによると、人は目に見えない不安、解決できない不安を感じると、その不必要な量の日用品、要は日常でちょっとした使えるものを買うことでストレスを解消するからだと。

 ストレス。
 みんなストレスが溜まっている。
 ただ、それを自覚して自分で発散するのが大人だ。
 と、少し辛口になってしまう有原くんは、スーパーで激安のアスパラガスを発見してウキウキになる。

 そのとき、彼が昔働いていた居酒屋の店長と遭遇した。
 彼は挨拶した。
 店長はマスクをしていなかった。

「マスクしなくて大丈夫ですか?」
「だってないねんもん」

 ないねんもん。
 彼の心はまたモヤモヤした。

 マスクを誰かが買い占めているせいでマスクがない。
 マスクを並んでまで買いに行く時間がない(面倒)からない。
 それは彼には分からないけど、彼は笑顔で挨拶をして、アスパラガスと人参とブロッコリーと鯖缶を一つだけ入れてお会計の長蛇の列に並んだ。
 うしろのおばさんがカゴでなんどもリュックをつんつんしてくる。
 だんだん彼は腹が立ってくる。

「おいこらばあちゃんよ、いくら突いたって列は縮まらないんだよ。そんなにツンツンしたかったら俺っちの自慢の大胸筋でもツンツンするかあぁーん?」

(彼のベンチプレスのマックスは70キロです。まだまだおこちゃま!)

 はっ、と彼は気がついた。
 俺もめちゃくちゃストレス感じてる!
 だからか、と彼は思った。
 一束百円のアスパラガスをつい五本ぐらい買ってやろうかと。
 反省である。
 彼はそそくさとスーパーを後にして、そのままホームセンターに行き、そこでも同じような経験をして、なんだか腹が立ったのでそこでトイレで大きい方をのんびりとしれから家に帰った。

 それから彼はずっと自宅待機。
 もともと引きこもることが得意な彼は、国公認で引きこもれることに幸せを感じていた。
 しかし、それも夕方までだった。

 夕方は彼の日課の映画鑑賞の時間。
 応募作品の詩を取り急ぎたたんでから、メモを取る準備をして映画スタート。
 彼は勉強のために映画をみながら面白いところ、つまらないところを逐一メモし、最後に感想とどうやったらもっと面白くなるのかを小説のために勉強していた。

 彼は小説のために映画を純粋にみるということを捨てたのだ。
 小説のために映画を捨てた男、有原悠二。
 頼むから早く小説を書きあげてくれ!

 その映画のタイトルは言えないが、本当に稀にお目にかかるほどの駄作だった。
 悪口のようなメモが何ページに渡る。そのほとんどが「主人公が情緒不安定」「全キャラの人格が情緒不安定」「見てる方も情緒不安定になる」というものだった。
 なんとか見終わった彼はもうなんというかイライラしていた。

 時間を返してほしい!
 でもいい勉強になった!
 ありがとう!
 ついてるぜ!
 よし、明日はメガドンキの肉の日だから、奮発してステーキでも買い込んでやるか!

 彼はハッとなった。
 俺、いまめちゃくちゃストレス感じてる! と。

 今日はそんな一日。

 一人でも、家の中でも、たくさんの発見はそこらへんにまだまだ眠っているようだ。
 彼の楽しみは、その眠っている発見を面白おかしく彼女にラインすることだろうか。
 この思いもまた、彼の新しい発見である。

 今日は会えなかったけど、文明のおかげできみといつでも連絡が取れるから、ぼくは本当にこの時代に生まれてよかったと思っている。

 もちろん、はるか昔でも、はるか未来でも、同じことを言うと思うけど。

 明日はそんな日になるのかな。
 今から楽しみで仕方ない。
 コロナも仕方ない。
 こういう時こそ、楽しんで乗り越えていこう。

 もしもきみがコロナにかかったら、家のことは任せたよ。
 外のことは任せてね。
 大きなマンモスを捕まえてくるから!

 雨の日のきみも見たい。

 今日も一日ありがとう。
 心から愛してるよ。
 たまにはゆっくりと好きなギターでも弾いてね。

 おやすみなさい。

 初めての人生、コロナが大流行するなんて、みんな始初めてだからそりゃストレスだよね。

 でも絶対に大丈夫。

 だから人類は歴史を刻んできたんだ。

 今日のこの日も、未来からみたらものすごく貴重な歴史の一部。

 胸を張って、人間として生きていこう。

 大丈夫。

 みんな不安だから、きみだけじゃない。

 一緒に乗り越えていこう。

 明日は雨の晴れ間にきっとお日様が出るから、

 洗濯物しておくんだよ!

 今日も読んでくれてどうもありがとう。

 明日も一日あなたは信じられないぐらい、ありえない幸福をたくさん受け取画う自分を受け入れ、認め、許し、愛しました。

 おめでそう。

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