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「初めての人生の歩き方――毎晩彼女にラブレターを」(有原ときみとぼくの日記) 第255話:真夜中の大人会議。

「男は仕事のために家族を犠牲にしてはならない」ウォルト・ディズニー


 真夜中の大人会議。
 彼女とケンカ風(もっぱら原因はぼくが不貞腐れただけなんだけどね)の状態になったので、娘を寝かしつけてから二人で話し合いをした。
 もちろん、ぼくたちは大人だ。
 優雅にソファーに腰を掛けてワインを飲みながらそして建設的で高度な会話を交わしていく。

「理由が知りたいの」
「……とりあえず飲もうか」

 ぼくたちは大人として決して大声など出さず、かつ酔いに任せて甘えた声なども出すことはなく、淡々とお互いの意見を紳士的に述べていく。

「どう? このワイン」
「飲みやすいね」

 彼女のメモを取っていた手が止まる。お互いに目がとろけてくる。

「眠たい」
「うん、とりあえず寝ようか」

 仲直りはずっと前に終わっていた。
 人には必ず波がある。上がったと思ったらいつかは下がる。それの幅を少なくすることが幸せと呼ぶのかもしれないし、その下がったときことチャンスであとは上るのみだ。

 ぼくたちは以前より間違いなく強くなっていた。

 だから今日はみんなで家で子供の手作り牛丼を食べたり、一緒に体操をしたり、一緒にお出かけしたり、一緒にビッグボーイできゃいきゃいとサラダバーでテンションをあげたり。

 ぼくたちは確かにまだまだ弱いかもしれない。
 だからこそ幸せがよく見えるのは、いつだってケンカという下り坂のおかげなのだ。

「ごめんね」
「こちらこそ」

 夜遅く家に帰る途中、娘が猫のように甘えてきた。ふと、数週間前の一人暮らしだった声を思い出す。

「そういえば、いつもはここでお別れしていたよね」
「そうそう。んで別れ際に娘が泣くんだよね。『なんで別れないといけないの?』って」

 ぼくたちは一緒に帰路についた。
 電車を降りた瞬間、秋の風が電車の熱気を攫って行き、そしてぼくたちは再び歩き出した。

いつもごめんね。
でも、話し合いの機会を作ってくれてどうもありがとう。
おかげできみの考えていることや気持ちを聞けることができたし、ぼくも舌足らずだけどなんとか話すことができたと思うんだ。

きみは器が大きい。
そして人の痛みを分かって慈しめる人だ。

ぼくはそんなきみに惚れたんだ。

大好きだよ。
愛してる。

今夜はゆっくり休もうね。

おやすみなさい。

初めての人生、上り坂と下り坂を繰り返し繰り返ししているように感じてしんどくなるときがあるけれど、実は間違いなくもどいた場所よりは上っていて、登山で例えるなら確実に頂上に近づいていると僕は思っていて、だからちょっと今しんどいなぁとか、やっぱりなにやってもうまくいかないよ、と不貞腐れそうになっても安心してほしんだ。

きみは間違いなく登っている。

例えなにもしていないと思っていても、ただ生きているだけでそれは上っているんだ。

大丈夫。

なにも焦る必要なんてこれっぽっちもないんだから。

今日もありがとう。

今年も、残り96日。

またね。

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