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ぱそ(無職)
2021年7月6日 10:34
二月十四日。バレンタインデイ。それは乙女にとっての一年に一回の戦いの日とも言える。なんてったって世間の同調圧力と周りの雰囲気により好意が滅多に突っぱねられない日なのだ。内気で引っ込み思案のA子にとっては今日を逃せば一生内に秘めて終わるだけの恋心を発散させる日なんて存在しないようなものだった。それに今相手は高校三年生。大学生を目指すA子と就職してしまうS郎。進路が離れ離れになってしまうS郎とは
2021年7月6日 10:26
そらが、とけている。段々とずり落ちていく水色を見ながら、僕は首を傾げた。いつから「そう」なっていたのかはわからない。ふと、上を向いたら。まるでとろみがある液体の乗った板を立てかけた時のように青が下がっていたのだ。それは未だに何時間も何日もの時間をかけてゆっくりとずれ続けている。本来鮮やかに着色されるべきはずの場所は今は真っ黒に染まっていて、きっと下に隠れていたはずの宇宙が見えてしまっている
2021年7月5日 16:08
針谷恵、三十歳。無職。死因、バイク走行中に水たまりで滑った事による頭部への打撃。六月二十日、死去。「ーーって死ねるかこんな事で!!!!!」あまりの情けなさに飛び起きると、周りには医者や看護師が自分を囲っていた。曖昧な頭では理解が出来ないが、どうやら自分が目を覚ましたのは奇跡らしい。喜びながらもバタバタする医者達、泣き出す親兄弟、そしてよくわからん少年。落ち着いて一人になった時には、日が暮
2021年7月5日 11:05
最初は、遊び半分だった。死んだ動物の『ガワ』を特殊加工して造ったロボットAI-1122、通称『アイ』。人間と同等程度の知能を持つ『それ』は、小学校から今までずっと私の傍にいてくれた。ある時は天才ロボット工学者の代表作品として、またある時は主人を守る警護型ロボットとして、そして『唯一の親友』として。アイは私の傍に居続けた。それも今日までの話だ。「……アイを博物館に?」「はい。柏木様が造ら