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小学五年生の夏。

朝起きたら、父の手には深い刺し傷があり、包帯が巻かれていた。


夜中に狂った女の人が家にやってきて

ナイフで父の手を刺したらしい。

刺したというか、

ナイフで向かってきたところを手で止めたのだったと思う。


父も母も何も言わないから

なんでそんなことが起こったのかいまいち分からなかった。


父が包帯を変える時に傷口をちらりとみてしまった。

赤黒く腫れ上がってみたこともないような気持ち悪い色で

恐怖感しか残らなかった。



父がいなくなったのはその後すぐのことです。

飲み屋で知り合った女性ともう何年間も付き合っていて

結婚を迫られていたのだそうです。


母の家に婿入りしていた父は、おじいちゃんのお金をたくさん持って

その、どこかの女の人とどこかへ行ってしまいました。


父が何月何日に家を出たのかは覚えていません。

「最近、お父さんいないな」とは思ったけれど

なんの前触れもなく突然消えてしまったから

初めの数日は、なんのことか分かっていませんでした。


1989年7月のことです。


残されたのは母と私、小学校一年生の弟でした。

思えばこれが、私の人生の最初のターニングポイントでした。







★読んでいただきありがとうございます。

2021年1月 前から初めてみたかったnoteをやってみることにしました。まずは自分の人生の振り返りから書いてみることにしました♡

よろしくお願いします★


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