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雨の日にも会いたい、あなたに

雨の日のデートです。mosoです。


明日の天気予報は一日中雨。一か月振りの日中からのデートだというのに。
HUNTERのお洒落長靴は持っていないから、どこのブランドか分からない長靴を履いていこう。あぁ、でも足が蒸れるかな。まぁ脱がなければバレないか。

私は傘を指すのが下手だから家から駅までの十分ほどの時間でスカートにまだら模様を作ってしまう。ピンクがところどころ濃いピンクになっていく。雨の日の電車の中は湿ったニオイに満ちていて気分がなんとなくじめじめする。今日はせっかくのデートなのに。

待ち合わせ時間よりも早く着いてしまって所在なさげに文庫本を開いてみる。あなたの姿はもちろんまだ見えない。ページを開いて目を落とすけれど、言葉は一向に頭に入ってこない。あなたがくれたしおりを撫でてぼんやり駅の雑踏の中に佇む。

「おはよう」

その声の方に顔をあげると、あなたが愛おしそうに私を見つめる。
恥ずかしくて、たまらなくなって、私はすぐに視線を落とす。
あぁ、本当に愛されているのだ。
愛だなんて簡単に口に出すのは憚られるから黙っておくけれど。
隣を歩きながらあなたの横顔を盗み見る。肌が白くて、柔らかそうで、とてもきれいだ。
こういう瞬間に、私にとってあなたがこんなにも特別な存在であることを思い知る。

お昼ご飯は豚珍館でとんかつを食べて、新宿の東宝シネマズで「天気の子」を観よう。見終わったらそのまま聖地巡礼に繰り出す。
映画の感想をあーだこーだ言いながら歩く。このシーンが良かったとか。あそこにキュンとしたとか。新海誠はすごいなあとか。あそこは納得できないなとか。Air Pods半分こしてRADWIMPSのサントラを聴きながら。手を繋いで。御苑で言の葉の庭ごっこをするのもいい。だけどビールにチョコレートを真似するのは遠慮しておこうかな。

デートをしよう。晴れるその前の瞬間に。
雨の日にも会いたいから。あなたに。

サポート…!本当にありがとうございます! うれしいです。心から。