私が薬剤師として働く理由
私は今、薬剤師として働いています。
薬剤師を、辞めたいと思う。
そんな今の私がもう一度、原点回帰する時間をつくってみようと思います。
そもそもどうして薬剤師になろうと思ったんだっけ?
今その理由を振り返ることが、とても大切な気がするんです。
薬剤師という職業を知ったきっかけ
振り返れば、薬剤師を知ったのは中学校1年生の頃。
仲のいい友達の「私は薬剤師になりたい」という言葉がきっかけでした。
どんな職業なんだろう?
疑問に思って調べてみたら、なんだかかっこよさそうだし、人の役に立てそうな職業。
医療従事者をしていた母親の影響を受けて自分も将来、医療従事者を目指そうと思っていた当時の私にピタッとハマった職業だったのです。
現実にも周りの大人にも、心底絶望した
そして中学2年生の頃、私自身に起こった変化。
もともと繊細すぎるほど過敏なところはあったと思います。
そんな”欠点”が「再発」してしまい、体調を崩してしまいました。
教室という逃げられない空間がとてつもなく恐怖で吐き気がしてくる
いてもたってもいられない気持ちになって、その場から逃げ出したくなる
今思えば一種の強迫性障害のようなものだったのだと思います。
ですが、当時は精神疾患についての認知度はまだまだ低く、疾患について明るい人は決して多くはない時代でした。
そんな状況下。当時自分の中で起こっている状態を大人に伝えても、全く理解してもらえませんでした。
勉強のしすぎで疲れてるんだよ
自律神経の乱れかもね
何か学校で嫌なことがあるの?
どれも全然しっくりこなくて、「どうして大人はみんな、私のことを分かってくれないの」とずっとずっと思い続けていました。
毎日頑張って学校に行って教室に入るけれど、HRが始まったらすぐに心臓が跳ね上がるようにドキドキし始め、胃がひっくり返りそうになり、言い表せない恐怖心が胸に充満してくる。
そうして毎日、手を挙げて「先生、気分が悪いので保健室に行っていいですか」と、クラスメイトの視線を浴びながら居心地の悪さを抱えて教室を出ていく日々を送っていました。
当然、学校の授業を受けることもままならず、復帰できても午後の1、2時間の授業のみ。その時、私の代わりにノートを取ってくれていた親友には、今でも感謝しかありません。
ある日こんな生活に耐えられなくなり、母親に「学校を休みたい」「私は絶対におかしいから、病院を受診したい」と相談しました。
だけれど、母親は取り合ってくれることはありませんでした。
自分の子供が不登校になることも、精神科を受診することも、きっと母の中で許しがたい現実だったのだと思います。
そんな状況下で、学校で食事をするのもままならなかった私が、学校で給食が食べられないと相談した際にも、給食費払ってるのがもったいないじゃない!と叱られもしました。ここまでくると笑えてきます。笑
この時の私は心の底から現実に絶望し、「私のことを理解してくれる人なんて、この世にひとりもいない」と、ただひとり暗闇の中に取り残された気分でした。今思い返しても、あの時の自分はよく頑張ったと思います。
改めて、薬剤師を目指そうと決意した
周りの大人は誰ひとりとして自分を理解して助けてくれない。悲しくもそう思った私は、自力で自分の病名を調べることにしました。
当時やっと普及し始めたインターネットを使って(時代を感じますね笑)、一生懸命に自分の症状に当てはまる病名を検索し尽くして。
そうしてやはり、私は強迫性障害なのだろうという結論に至りました。
そしてその時「こういった症状や気持ちを、気軽に相談できる専門的な人がいてくれたらいいのに」と思ったのです。
だったら自分がなればいいじゃないか。
今の自分のような人をひとりでも救いたい。困っている症状の原因が分からずどう対処すればいいのかわからなくて不安でいっぱい。そんな人に寄り添える大人に、私はなりたい。
何よりも、「あなたが悪いんじゃないよ、それは変なことじゃないんだよ、安心していいんだよ」って、言ってあげられる大人になりたい。
こうして私は、中学生の頃の自分が欲しかった理想の大人になるために、薬剤師を目指すことにしました。
”理想の大人”になれているのかな
そうして頑張って勉強をして無事に今、薬剤師として働いています。
今思い返してみて、あの頃の自分が満足できる大人になれているかと言われたら100%ではないけれど、近しい働き方はできているのではないかと思います。
こんな症状が出ているんだけど、どの薬を使ったらいいのかな?
病院は何科を受診したらいいの?
重大な病気かもしれなくて怖くて、どうしても病院に行きたくないの…どうしたらいいのかな、、
そんな相談に乗って、相手に寄り添いながら適切な行動を促すことも、日々のやりがいのひとつです。
そんなやりがいを手放して、新しいことに挑戦したい。
それはもしかすると「あの頃の自分に寄り添い理想を叶えるには、今の自分の姿には限界を感じたから」なのかもしれません。
こうして自分の経験を発信することで、今の立場よりももっと身近なところで、救える誰かの心の闇があるかもしれない。
そんな可能性を見出して、また新たな人への寄り添い方を模索していきたいと思っています。
ひとくちに薬剤師といっても、働き方は無限大です。
知識はアップデートしなければ廃れることはあっても、決して無為にはならない。
だからこそ私はまた新たな方法で、たくさんの人の心の不安やモヤモヤに寄り添い続けていきたいと思います。
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