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いにしえのこっくりプリン

「いくら大量にあっても困らない日常ごはんの食材」と問われれば、何を思い浮かべるだろうか?

野菜はまあ大抵スープにしちゃえばどうにかなるでしょ?あとは溶ける系のチーズとか?あとはフランス住みだとスリミ(カニカマ)とか、ハムとかウインナーとかの加工品が咄嗟に浮かぶなか、って、その代表格だと思うんだけども。


【問】ひとりごはん生活に、突然30個の卵が配給されたときの心情を10字以内で述べよ。

15個×2パックどーん

【A】「うちは何人家族ですか」(10字)
【B】「私は女板東英二ですか」(10字)
【C】「これで菓子をつくれと」(10字)

うーん、字数ぴったり素晴らしい。どれも正解ですねえパチパチパチ。

ストック大好きうちのOtto氏、一年分のトイレットペーパーとか2ダース分の歯磨き粉とか、パスタ10kgとかコーン缶10缶とか突然買ってきちゃう習性があるのは知っていた。

がしかし、「卵必要か?」と問われたので6個以上と答えたら、持ってきたのが30個。さすがに大が小を兼ねすぎている。

まあここは、(回答例どおり)私卵大好き女板東英二、日々のひとりごはんで着実に消費していったのだが、期限間近で残り10個。やはりここは甘いもので大量消費しておこう。



卵たくさんつかうおやつといえば、一番に思い浮かぶのがプリン

今ではまったく想像できないが、かつて食事をお菓子やケーキで済ませるような超甘党だった私。作ることも大好きだったので、その頃からおやつも作っていたのだが、お気に入りのレシピは切り抜いたり手書きで残しておく習慣があった。そして、そのファイルは海を越える幾度もの引越しの間、いつも手元に。

新聞の切り抜きレシピやお料理番組のレシピを書き取ったものを半永久的に冷蔵庫に貼っている母や叔母をみるにつけ、これはDNAなんだろうなーと思う。「かならず最後は紙が勝つ」。


場合がひらがなで沸騰が漢字なのが理解に苦しむ


このプリンレシピ、いつ書いたかは定かではない。
狂ったようにプリンを作っていた時代があって、それは多分学生時代。

その頃、今は亡き三陸の祖母がしょっちゅう私の大大大好きな三陸岩手の「たのはた牛乳」をクール便で送ってくれていた。「食事のお供は牛乳」の給食方式で日々消費しつつ、さらに消費スピードを加速させたいときに作り始めたのが、プリン。

箱犬とたのはた牛乳


私の牛乳偏愛歴はここで語ってるのでよかったら。

京王線沿いの駅に住んでいた学生時代、新宿乗り換えの丸の内線ユーザーだったので毎日のようにあのあたりをパトロールしていた。お菓子作り民として重宝していたのが今はなき新宿3丁目の三越地下にあったクオカ。ここでプリン用の容器を買って、たまにプリン用のカラメルタブレットなる超便利品も買ってみたりして、1Kアパートの小さなキッチンで色んなレシピを作って試してはせっせと大学まで運んでいた記憶がある。友人に配って美味しいって言ってもらえてうれしかった記憶がうっすらある。誰かこれを読んでいる記憶力のいい学友がいたら教えて欲しいくらいのうっすら度だけど。。

あれから約20年後、もはやプリン狂の時代は、私にとって「いにしえ」。
私自身は何もかもが変わったけど、あの頃のレシピを眺めていたら久しぶりに作ってみたくなった。



そういえば、フランスではザ・日本のプリンって一般的に売られてない。それっぽいので挙げるとしたら、クレーム・ブリュレとかクレーム・キャラメルとか?日本プリンと比べたら超絶硬いけど、フランも構成上似てなくはないのかなぁ。

ボンヌ・ママンのクレーム・キャラメルは食べたことあるけど美味しかった。

画像は下記リンクから拝借。見た目はほぼプリンですな。


フランスでのプリンづくりは容器から入る。
容器目的で、ヨーグルト購入。

8個入りの無糖ヨーグルト


プラ容器を買いに行くより、ガラス容器の方がエコだしヨーグルトも食べられるしね。

ヨーグルト食べられるラッキー!とかいいつつ、私はここ数年飲むヨーグルト派なもんで、久しぶりの固形ヨーグルト消費は結構大変。でも、我がいにしえのプリン作り実現は至上命題、朝・昼ごはんで数日かけてヨーグルトを消費し終わった。

一応煮沸済み

どれだけプリン液ができるか未知だけど、ぱっと見牛乳500cc+αだろう。

とりあえず全部の容器を使うと踏んで全容器対応可能状態にもっていった。
容器づくりから骨が折れるよ、まったく。



我がプリンレシピ、2パターンのうちの、今日は生クリームありのレシピで作ってみる。

牛乳:500cc
全卵:2個
卵黄:4個分
グラニュー糖:70g
はちみつ:20g
生クリーム:100g

いにしえのユイじょりプリンレシピより
牛乳、本当はたのはた牛乳を使いたい

カラメル作り。グラニュー糖100gに水50gを鍋に入れて弱火にかけて、好みの色づきまで到達したらば、火をとめる。腕を伸ばして息を止めて目を閉じたらば深呼吸して、熱湯50gを投入。めっちゃ飛び跳ねますからね。ここポイント。

カラメルの色づきゆく過程が好きなのである

プリン液は写真を撮るまでもなく、3行以内で終わるので以下工程。

沸騰直前まで火にかけた牛乳と、全卵&卵黄と糖類を合わせてかき混ぜたものを合わせて何回かザルでこしたら、生クリームを加えて混ぜる。




こうして出揃った、我がいにしえのプリンを構成するものたち。

容器、カラメル、プリン液

慎重にスプーンでカラメルを入れたらちょうどいい感じに均等に入れ終わった。幸先よしこ。

カラメルが熱かったらここで冷やす

プリン液、800ccくらいできてて、この容器がみた感じ100ccで8割くらい埋まりそうだという算段。100ccずつ注いでみたらば、あらま!ぴったり!!

最近鈍りに鈍りすぎていた空間把握能力、ここに復活せり。

においにつられたのか、気になるお方が若干1名控えている

我がいにしえのレシピには、水を天板に張ってフタをして150度のオーブンで37分と書いてあったけど、なかなか固まらなくて結局50分くらい蓋なし→5分蓋ありで加熱。か

若干焼きすぎた?
でも、まあ、どろどろよりはちゃんと固まってくれたほうがいいしね。


焼きの間が暇なので、布での俺服作りにハマっていたころの余ったギンガム柄の布で、蓋用の布をカット。

これをかぶせて、完成。

ユイじょりギンガムはパステルブルー
庭で積んできた紫陽花?っぽい花とお気に入りのアスティエの花瓶とともに

このギンガム。ボンヌママンとかジャムのマダムフェルベールを意識しているのだが、輪ゴムで止めてるのが残念。まあ自宅用だしね。これをリボンにしたらプレゼントにもよさげ。





夕食後、冷蔵庫でしっかり冷やしたプリンを試食してみる。

あふれだす肉汁・・・じゃなかったカラメル。

この膜もよい
ちゃんと火は通ってるけど、食感とろとろ

うう、とろとろでなめらか〜!味、やさしい〜〜!

特筆すべきは、目を閉じてじっくりと味わいたくなる、このこっくり感。
多分、はちみつのなせる技なのだけど。

夜だし一口だけ、と思って食べ始めて、気づいたらあれ?食べ終わってるんですけどどういうこと?

これは辛党の私でも!ひとりでもきっと食べ切れる!
・・・まあ明日Otto氏帰ってくるけどな。

俺のクレクレ攻撃が大変
これはダメなのよ




さて、プリン創作後に必ず訪れるのは、残りの白身どうするよ問題。

実は今日、久しぶりにクリエイティブ脳が爆発して、同時にもうひとつ卵黄2つ使いのモノを作っていたため、夕食前、目の前に鎮座したるは6つ分の卵白。

マ狂パリ時代であれば、これらはもれなくマカロンに変化するわけだけど、全部使い切ってしまいたい今夜は、全部使ってホワイトオムレツに。モツァレラもあったから、テーマはホワイト。

卵白にはこれまたプリンで余った生クリームをスプーン2杯くらい入れる

バターは焦げやすいかな?と思って、オリーブオイルにて。弱火でじくじく卵白液とモツァレラに火を通していく。

黒胡椒しかなかったので、たまごが固まってきた頃、内側にゴリゴリする
火が通ってきた
ゴムベラで形をととのえていく
若干焦げ目がついて真っ白にはならなかったけど、味に問題なし
モツァレラ、とろーん

もうさ、どんだけタンパク質とるの?
明日起きたら筋肉ムッキムキになってるんじゃ?(んなわけない)



甘いのもしょっぱいのも作れる、一石二鳥な我がいにしえのプリン。

かつてのプリン狂だった若人の私と、30個の卵でそれを思い出させてくれたOtto氏に感謝しつつ、気づけば日付変わって今日はフランス革命記念日。Vive la France🇫🇷

この寝顔、プライスレス

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