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おめでとうを贈るレモンタルト

記憶に残る、特別な日のひと皿。

子どもの頃、毎年決まってクリスマスイブに母がつくってくれたのは、分厚いハムステーキをこんがり焼いた上にパイナップルをのせたハワイアンハムステーキだった。

これが毎年楽しみでたまらなかった少女時代。酢豚のパイナップル好きもピザのハワイアン好きもきっとここからきている。4歳下の妹も同じことを言っていたから、私の記憶違いではなく正真正銘我が家の特別な日のひと皿であろう。


私も小さな家族を持つようになって、独身時代よりも食事をつくる機会がどんと増えた。まあひとりのときも平均値を異常に超えてつくりまくってはいたのだけれども。


誰かのために何かをつくる。

殊に、それが特別な日となると、あーだこーだと考える時間から楽しくてたまらない。うちの俺(愛犬みるぅ🐶)のバースデーなんて、毎年全力出しすぎて向こう3日はもぬけの殻になりますからね。


俺のバースデーよりもちょっと気合いの入れようが劣るかもしれない我が家のもうひとりの家族、仏人Otto氏のバースデー。

この特別な日につくるものは、そろそろ我が家のひと皿として定番化してきた、レモンタルト。フランス語でタルト・オ・シトロンである。


実は今年のバースデー、浮気心でいちごのショートケーキなんてつくってみたいわぁなんて思ってもいたのだけど、そんな目論見を察してか知らずかこれみよがしにOtto氏はタルト・オ・シトロンの画像を送ってくる。私のつくる酸味がききまくったタルト・オ・シトロンが好きなんですって。

そんなラブコールされちゃあやっぱり定番、つくるっきゃないね。

このレモンの大半とバター500gがほぼなくなります(飾りなどコミコミで)


タルト・オ・シトロンはとにかく手間がかかる。時間もかかる。3日は見ておいた方がいい。計画的にいこう。

まずは土台のタルト生地から。生地をつくって一晩寝かせて成型して冷やして焼くまでで2日。生地はバター、グラニュー糖、卵黄、薄力粉、塩、アーモンドプードルから成る普通のパート・サブレなのだけど、ちょっとレモンの皮のすりおろしを加えてみたり。

重しをして焼くところ
重しは豆を使ってます

デコレーション用の準備をしていたら、油断して焦がしちゃったよ!ぴえん!

ココア生地ですと言っても疑われなそうな焼き色

落ち込んでいる暇などない。炭素化は免れているし、レモンの美しい黄色でサブレの表面はまるっと覆われるはずだから大丈夫だ。

ここにレモンクリームを流し込んで冷やし固めれば完成なのだけど、特別な日仕様におめかししよう。このこんがり焼けた縁の部分をなんとか誤魔化したい下心もありつつ、取り出したるは日本で買ってきたアルファベットの抜き型。

色々あるなかでもフォントが気に入ったものを見つけたので、ポチリ
cottaさんで購入


型抜き&スタンプクッキーに適したこちらのレシピを参考にして、この生地もタルト生地と同時にしれっと仕込んでおいた。薄力粉とアーモンドパウダー合わせて250gなのでなかなかの分量だな。


アルファベット型で抜く前に、カンカンクッキーづくりでも使った5mmのルーラーの実力を見たい。そもそもスタンプクッキーには5mmくらいあった方がいいとの声を見て、3mmじゃなくて5mmを買ったものでね。

まーたキュートな型仕入れてたんですよ奥さん


うん、やっぱり5mmくらいあったほうがスタンプの型をぎゅーっとしたときにちゃんと模様もつくし生地が扱いやすい。いい買い物をした。

12分くらい焼いたところ
真ん中にレンチンして水分を飛ばしたいちごジャムを乗せる
そしてさらに焼く
ジャムのせすぎたけどまあかわいいから許す


5mmルーラーが使える子だということが判明したので、本番。アルファベットクッキーを作ろう。まずはOtto氏もわかる日本語、オメデト。

繰り返し使えるオーブンシートで過日初めてクッキーを焼いたら
綺麗に跡がついてしまった


この小さなアルファベットにも5mmルーラーは抜きやすくてちょうどいい!そしてなんといっても、楽しい。ひとりテンションがあがりつつ、さらに型抜きJOYEUX ANNIVERSAIRE(お誕生日おめでとう)。

全部大文字だとわけがわからなくなるのは私だけでしょうか
かわいらしく焼き上がり

これだけ出してもいいくらいの可愛さだったので、プレートに並べてパチリ。

アルファべのほかにマーガレットも型抜きまして

途中から楽しくなっちゃって、全アルファべ型抜き。

やっぱりこのフォントかわいかった、正解


ちょうどこのアルファべが焼き上がるころ、またまた別のスイーツをつくっていて(どんだけ)、アイシングのあまりができた。

マーガレット、ちょっとおめかししてみようか?
アイシングにほんのりピンクピンク🩷(海底に眠るギャル心)

黄色×ピンクが好きなのかもしれない私は


アルファべのほかにも、星や新入りのユニコーン、ハトの型抜きクッキーも焼いた。


ここまででかなりやり切った状態ではあるのだけど、まだ何も完成しちゃいない。最後、レモンクリームをつくろうね。

卵、レモン果汁(2つじゃたりなかったからもう1つ追加)、レモン皮すりおろし(たっぷり)、グラニュー糖(たっぷり)、ゼラチン1.5枚、バター(たっぷり)

鍋に卵とレモンチームとグラニュー糖を入れて弱火にかけながら絶えずかき混ぜる。全体にとろみがでてきたら火からおろし、水でふやかしたゼラチンを加えてザルでこす。

あっという間にとろみがでてくる

余熱でたっぷりバターを溶かす。バターをケチってはなりません(家訓)。

バターを加えてさらに混ぜて溶かす
粗熱がとれたら型に流し込む
表面をならして冷蔵庫で冷やす


なんでもない日のタルト・オ・シトロンはここで完成なのだけど、なんでもなくない日のタルト・オ・シトロンここからが本番ともいえる。

パーツはそろった


まずはピスタチオ。これは私のレモン作品に欠かせない。

縁にそって散らす


アルファべは七難隠す。ココア、じゃなくって焦げた縁のうえに、おめでとうメッセージをのせよう。なお、ちゃんと固定するためにアイシングを接着剤代わりに塗った。

マーガレットもバランスをみながら配置

予定になかったけど、思いつきで最後に大物をのせることに。
ユニコーンをのせて完成。

Otto氏にハトかユニコーンどっちがいい?と実物クッキーをみせて聞いたら
ユニコーンがいいとのことなので


滅多に使用機会のないアスティエの足つきケーキ皿。特別な日だからいざ出陣。

イメージ以上の仕上がりに歓喜すること此れ数分。

うん、ピスタチオはやっぱりなくちゃだわ
ユニコーンのせ、よかった!


何十回目かの15歳に、「おめでとう」を贈るよ。

登場とともにOtto氏からも歓喜の声

それにしても、アスティエの白は黒に映える。

おめでたい
お誕生日を!
タルト生地とクリームのバランスもよし


カットして、さらにオメデト!

ここで使いたかったんですよOMEDETO


Otto氏秒で完食。おかわりちょーだい。
自画自賛だけど、私がつくるスイーツのなかでたぶん1、2を争う美味しさだからな。


そうそう、デコレーションに使わなかったアルファべクッキーやらジャムクッキーやらは、カンカンクッキーに。サブレ・ミッシェルのカンカンにさっそく新たな命を吹き込みましたぞ。

この大きさが使いやすい

このアルファべクッキー、無造作に並べるだけでもかなりかわいい。すごく好み。買ってよかったこの型。

あまりものの詰め合わせという感じですが。。


翌日の朝、一足はやく起きたOtto氏から入っていたLINE。予想だにせず、カンカンひとつ、まるっといったご様子。

朝から笑わせないでくれ


こうして、前日のロールケーキ寿司に今年の進化型タルト・オ・シトロンにと、気持ち、というよりもはや執念のこもったケーキづくしのバースデーは無事幕を閉じた。

毎年毎年、ああこれ以上はもうできないだろうな…と思いながらもなんだかんだで翌年も他のアイデアを思い付いてつくっているので、きっとまた来年もなにかやるんでしょうな私という人間は。

こんな気が狂ってるところ、我ながら悪くないと思う。


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