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日本一周 京都・滋賀編

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日本一細かい京都・滋賀旅行の記録。
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#旅行

【日本一周 京都・滋賀編3】 清水寺を貸し切りで

・ゴーストテンプル清水  マクドナルドを出ると、京都駅構内でバス一日券の券売機を見つけ、早速購入した。これまで幾度となく京都へ足を運んできたが、市内観光する上での最適な移動手段はバスであると、自信を持って太鼓判を押せる。一日券は600円とリーズナブルで、三回乗車すれば元が取れてしまう。京都市の隅々まで張り巡らされたバス網にかかれば有名観光地はもちろんのこと、穴場の銭湯や定食屋に行くときも重宝する。ただ、バス路線が多いために一つのバス停にたいして停留所が5,6個あるのは頂けな

【日本一周 京都・滋賀編4】 平等院の鳳凰堂に入る

・鯰愛好家を魅了する如来の髭  平等院は著名な観光地ながら、京都の中心地からは驚くほど離れている。バスの一日乗車券を購入した我々だが、平等院はその範囲外に位置しており、苦渋の電車利用を迫られた。最寄りの宇治駅は小さいながらもモダンな作りで、公衆室内プールのような清潔感があった。  平等院への道すがら宇治橋を渡った先に、夢浮橋の古蹟と命名され、「源氏物語」の作者たる紫式部の石像まで設置されている空間があった。夢浮橋といえば源氏物語の宇治十帖における最終話だが、それの舞台とし

【日本一周 京都・滋賀編5】 駆け足平等院

・10円玉には収まらない国風文化  平等院鳳凰堂の最寄り、京阪宇治駅のロータリーに「大人はズルいと思いませんか?」を店名に掲げる食パン屋を発見した。そういえば最近この手の、奇を衒った店名で街行く人の注意を引きつける食パン屋をよく目にする。明石曰く、これらの店は、とあるプロデューサーの手によって数を伸ばしているらしい。とにかく目に留めてもらいたいという一心での広告戦略なのだろうが、食パンの良さをアピールするわけでもないやり方は、広告として不健康である。食パンの味に自信があるの

【日本一周 京都・滋賀編9】 高級うどん

・大盛りは量が多いから大盛り  先ほど見つけたうどん屋の名前はずばり「鴨川製麺所」。京都観光客の琴線にたやすく触れる名前である。それに鴨川という単なる川の名前にもかかわらず、「鴨」という美味な食材の名前が入っているためにうっかりすると暗示にかかってしまう。注意が必要だ。  メニューはシンプルなすうどんから明太クリームうどんまで、ビギナーから上級者まで楽しめるバラエティに富んだ品揃えである。好奇心から初手明太クリームうどんの暴挙に出そうになったが、すんでのところで踏みとどま

【日本一周 京都・滋賀編10】 棚から京博

 期待していた養源院が開いていなかったり、方広寺を思いの外すんなり観光できたり、昼食をすばやく食べられたりしたために、京都国立博物館を訪れる時間を捻出することができた。それも一時間半ほど。  我々は国立の主要な博物館のキャンパスメンバーであるため、上野の科博や東博、西洋美術館などは無料で入ることができる。それの延長として、国立博物館たる京博も無料で見られるのではないかという淡い期待を抱いて、我らが学生証を振りかざして入場ゲートを通ろうとしたら、係のおばさんに申し訳なさそうに

【日本一周 京都・滋賀編13】 京都の激安宿と昔ながらの銭湯

 銀閣寺を後にした我々は、ようやくこの旅行の拠点となる「はる家 梅小路」にやってきた。僕は咋夏に京都を訪れたときに宿泊した以来だったが、相変わらず清潔で、値段も驚くほど安い(大人一人二泊で3,500円)。図書室は充実、ドリンクサービスまである最高の宿である。もっとも、フロントなるものは存在しないため、ポストにて暗証番号を受け取るという防犯意識0のチェックインをする必要がある。部屋は前回と同じ図書室棟の二階を予約していた。久々の図書室に立ち入ると、夏と同じ従業員のお姉さんが清掃

【日本一周 京都・滋賀編14】 寝床と風呂

・ベースキャンプ  本日の宿「はる家梅小路」に到着。明石が前に利用したことがあるとのことで、ハズレでないことは確実だ。宿泊棟の近所に建つ別館のポストから鍵を回収し、部屋に入る。建物は築100年余りとのことで、外観同様、内部も古めかしさが目立つが、清掃がきちんと行き届いているため、全く嫌悪感を抱かせない。このような宿に限ってトイレが汚いことはなかろうが、念のため確認してみると、比較的新型の便器が備え付けられており、心底安心した。別に古式の便所だろうと、清潔でさえあれば構わない

【日本一周 京都・滋賀編15】 夢破れてモスバーガーあり。

・楽しい夕飯  お風呂に浸かってすっかり癒された我々は、次なる幸福の一手として夕飯を所望した。最近の回転寿司業界の動きとしては、スシローの寿司ネタの鮮度のよさがずば抜けている、そんな話をことあるごとにしていたため、今晩はスシローにお世話になることを決めた。Google Mapsにて調べてみると、バスで20分のところにスシロー五条七本松店が店を構えているらしい。早速、東寺東門前からバスに揺られてがたんごとん。一路、スシローへと向かった。  一見平和そうに見えた二人だったが、

【日本一周 京都・滋賀編15.5】 京都で過ごす夜

 夕飯を済ませると、コンビニで日本酒(伏見産!)とおつまみを買い込んでからはる家に戻った。尾道に押しつけ損ねて、一日中リュックで持ち歩いた大量のみかんを宿の炬燵に並べた。実に冬らしい光景である。宿のアメニティとして置いてあった半纏を尾道にまとわせ、みかんや炬燵といった小道具を用いての「東北の純朴そうな青年」の撮影会をした。  一通り盛り上がったあとは、それぞれ自由な時間を過ごした。私は一階の図書室にあった安部公房の短編を読み耽り、心理描写によってのみ読者を惹きつける文章にひ

【日本一周 京都・滋賀編16】 天龍寺の新しすぎるシンボル

 7時起床で7時半には宿を出発する予定だったが、目を覚まして時計を見ると7時半。やばし。てんやわんやで支度をすませ、10分ほどで宿を出た。  なんとか7時50分のバスには乗ろうと近くのバス停へ急いでいると、尾道が財布と携帯を宿に置いてきたことに気がついた。現代における三種の神器を2つも忘れるとは。僕はリュックを預かり、尾道ははる家へとダッシュした。 (今思うとここまで急ぐ必要はなかったような気もするが、結果として充実した午後を過ごせたため英断だったと言えるだろう。)  

【日本一周 京都・滋賀編18】 仁和寺の斬新なプロジェクト

・立ち喰いスパゲッティ  仁和寺行きのバスが来るまで15分あるということで、京都仕様に茶色くそまったローソンで朝ごはんを食べることにした。  たらこスパゲッティを購入した。僕はことにスパゲッティに目がなく、常日頃からお世話になっている。その中で、たらこスパゲッティに抱くのは「信頼」。麺とバターとたらこと海苔の黄金メンツには欠点などない。不味く作る方がはるかに難しいのが、たらこスパゲッティである。  しかし、このローソンのたらこスパゲッティ。めちゃまずい。  バターの

【日本一周 京都・滋賀編22】 意地でスシローに行った話

・スシロォォォー!!  京都一の繁華街である四条河原町交差点から歩いて5分、蛸薬師通り沿いのスシローにやってきた。昨晩とは異なり、ちゃっかりしっかり「営業中」である。よしよし。 (昨夜起こった事件については、下の記事に書いてあります。  はじめてNote公式の「国内旅行 記事まとめ」に載せていただいた記事が、まさかこれになるとは、、、)  祝日ということもあってか、受付は混雑しており、待ち時間は30分もあった。しかし、スシローへの思い入れが違う我々は、それくらいのことで

【日本一周 京都・滋賀編23】 大正の夢見たSF建築

・分離派建築会100年展〜建築は芸術か?〜  この記事は、旅中に立ち寄った京都国立近代美術館にて開催されていた企画展、「分離派建築会100年展〜建築は芸術か?〜」の鑑賞記録である。  西洋の建築様式の受容と独自のスタイルの確立の狭間で揺れる、日本建築史上最もホットといえる明治・大正時代、そのなかで切磋琢磨した分離派建築会の活動を紹介するのが、この展覧会である。  分離派はその名の通り、既存の建築を模倣するだけのスタイルに異議を呈し、新たなる様式を模索した集団である。その

【日本一周 京都・滋賀編24】 平成を揺るがした現代アートたち

 この記事は、旅中に立ち寄った京都市京セラ美術館にて開催されていた企画展、「平成美術 うたかたと瓦礫」の鑑賞記録である。 ※平成に制作された現代アート作品を中心にとりあつかった企画展  「平成美術」展の会場へ向かうと、入り口の外からしてすでに、スペードのエースを無限に投影し続けるプロジェクター(IDEAL COPYの作品)がカタカタと騒いでいた。「これはすごいものがはじまる」という予感が肌を走った。 件の図録  入場して最初に迎えられたのは、高さ4mを超える壁一面を覆