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【日本一周 京都・滋賀編3】 清水寺を貸し切りで

・ゴーストテンプル清水

 マクドナルドを出ると、京都駅構内でバス一日券の券売機を見つけ、早速購入した。これまで幾度となく京都へ足を運んできたが、市内観光する上での最適な移動手段はバスであると、自信を持って太鼓判を押せる。一日券は600円とリーズナブルで、三回乗車すれば元が取れてしまう。京都市の隅々まで張り巡らされたバス網にかかれば有名観光地はもちろんのこと、穴場の銭湯や定食屋に行くときも重宝する。ただ、バス路線が多いために一つのバス停にたいして停留所が5,6個あるのは頂けないが、コツさえ掴んでしまえば渡り合うことは可能だ。黄金の切符を手にした我らは、京都バスタから清水寺へと発進した。


 最寄りのバス停に降りたあとは、ひたすら清水坂を登る....。早朝かつ深夜バスで暗に体力を削られた体での坂道は想像以上に体にこたえた。その上、マスクによって呼吸は制限され、さながら修行のような行程であった。やっとこさ到着した清水寺境内にはひとっこ一人いなかった。朝七時という時間的な都合とコロナという倫理的な都合によってこのような異空間が生じたのであろう。

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 仁王門をくぐり抜け、三重塔とパシャリ。ここまでの道すがらも、すれ違ったのは2,3人であった。さらには清水寺の代名詞と言える清水の舞台に至ってもなお、人の姿は見えなかった。この空前絶後の状況に心踊らされた我らは、「清水の舞台に一人」という写真を反対側の奥の院から互いに撮るため、嬉々として走り回った。

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 一生ものの写真を手にした我々は、ついでながら地主神社に寄ろうとすると、通りすがりのおじさん一号に「拝殿の天井に青龍図が書いてあるんだよ」と教えられた。すかさず拝殿に向かうと、暗雲にまぎれてこちらを伺う黒龍の姿があった。想像を絶する迫力と親しみやすさにしばし見惚れ、「八方睨み」の都市伝説を検証したりした。

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拝殿の青龍図

 相変わらず地主神社にも人はいなくて、せっかくだから恋占いの石の一つ目から二つ目へ目を瞑って到達するという願掛けに挑戦した。尾道に動画を撮られながら挑み、なんとか行きついたものの途中で薄目を開けてしまうとの失態を犯した。「まあ、恋が上手くいくことがあったらそれでよし。上手くいかなかったらこれのせいにすればいい」とポジティブに判断して、地主神社を後にした。今思えば再挑戦すればよかったと思わなくもない。尾道は憎らしいことに昨年末に彼女を拵えていたから、「俺はやる必要ないや」と高飛車な態度を取っていた。

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NHKの定点カメラの足元から撮影

 奥の院の前を通って音羽の滝を目指すべく坂道を下っていると、通りすがりのおじさん二号から「この階段の上からの景色が綺麗だよ。NHKの定点カメラもあるんだ」と教えられ、脇道に入っていった。階段の上の見晴台からは、三重塔、清水の舞台が一望することができた。空が曇っていたために感動にはかけたが、朝の清涼感に満ちた清水寺の空気は心地よかった。NHKのカメラは我々の遥か頭上の柱の上に設置されていたため、清水寺には不在ながら常に最高のロケーションを確保しているNHKに嫉妬してみたりした。音羽の滝はあいも変わらずちょろちょろと流れていた。

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よい画角を専有するNHKカメラ

 境内を後にすると、ゴーストタウンと化した清水坂をどしどし下っていった。途中、廃業してテナント募集の張り紙のされた旅館にコロナの波を感じつつ、五条坂のバス停から平等院へと向かった。


・その男ら、清水寺独占につき

 はじめに向かうは清水寺。まだ朝の7時なので、清水坂に並ぶ土産屋はそろって閉まっていたが、コロナ禍という時勢につき、今は時間帯問わず同様の景色なのかもしれない。20分ほど上り、清水寺に到着した。

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 最初に我々を迎え入れたのは、朝ぼらけ(というには遅い気もするが)を背に佇む仁王門であった。もちろん人っ子一人いない。中3の修学旅行でもここを訪れたが、当時の混雑具合が嘘かと思われる程の静けさである。今から無人の清水寺を思う存分堪能できる...そんな興奮を抱きつつ奥に進んだ。

 本堂の入り口で拝観料を払い、チケットを受け取る。縦長の上質な紙に本堂と三重塔がプリントされている。背景の木々に雪が積もっていることから、季節に対応したデザインが用意されているのであろう。これだよ!こういう、ノートに貼り付け甲斐のあるチケットを求めていた!(旅先で貰うチケットやパンフレットを「旅ノート」に貼る趣味があります)

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ちいこく私が映っています

 入り口の大黒天様に一礼した後、清水の舞台に到着。12月まで工事をしていたとのことで、今は"出来立てホヤホヤ"の状態である。折角の機会なので、自分ただ一人しか映っていない貴重な写真を撮影した。無人の舞台で両手と右足を大きく上げた私が豆粒サイズで写っている。即座にストーリーに上げたくなったが、この時期に旅行行ってますアピールをするのは、よろしくないので自重した。しかしいつか必ずアップする予定だ。

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 お次は縁結びで有名な地主神社。入り口に柵があったため、まだ開いていないのかと諦めて次に進もうとしたところを、運よく関係者の方に出会い見学できる運びとなった。縁結びを謳う神社でのお祈りというのは、今現在独り身の人が、恋の成就を祈願して行うものである。既に恋人がいる人間にとってお祈りは不要であり、もししようものならかえって不吉なようにも思えたが、そんな考えは私特有の陰気な考えすぎマインドに起因することを自覚しているため、細かいことは気にせず、今の恋人との関係が長続きすることを祈願した。よろしく頼むぜ神様。

 帰路。清水坂の端にて登校中の小学生を見かける。高校在学中、小江戸は蔵造りの街並みに特段感動を抱かなかったのと同様に、彼にとってのこの地も日常の1ページに過ぎないはずだ。住民の立場から見るこの街並みはどのように映るのであろうか。

尾道

・メンバー
明石、尾道

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