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【日本一周 京都・滋賀編18】 仁和寺の斬新なプロジェクト


・立ち喰いスパゲッティ


 仁和寺行きのバスが来るまで15分あるということで、京都仕様に茶色くそまったローソンで朝ごはんを食べることにした。


 たらこスパゲッティを購入した。僕はことにスパゲッティに目がなく、常日頃からお世話になっている。その中で、たらこスパゲッティに抱くのは「信頼」。麺とバターとたらこと海苔の黄金メンツには欠点などない。不味く作る方がはるかに難しいのが、たらこスパゲッティである。


 しかし、このローソンのたらこスパゲッティ。めちゃまずい。


 バターの代わりにマーガリンを使っているのだろうか?変に油っこくギトギトしていて、口に含むたびに憂鬱な気持ちになる。こんなにまずいたらこスパゲッテイがあるなんて。勉強ニナリマシタ。
 ちなみに、言うとからかわれるだろうから、このことは尾道には内緒にしました。


 食後の腹ごなしに、鬼滅にまみれた嵐山駅を散歩した。レトロなホームまで入ることができて、ものの数分の滞在ながらなかなか満足できた。ホーム脇に洒落たつくりのタリーズコーヒーがあって、同じ値段払うならタリーズのサンドイッチのがよかったなぁとはやくも後悔してしまった。座って食べられるしね。


・やっぱり塔が好き

 仁和寺にやってきた。中学生のときに徒然草の授業で名前を耳にしていた仁和寺。高校のときに個人的に来た旅行では、目の前を通るもついに訪れることのなかった仁和寺。ようやく訪れることができました。やぴぃ。


 とはいっても、滞在できるのはわずか30分程度。これは計画的な行動が要されるゾと腕まくりしていると、コロナにより五重塔と金堂の内部公開中止の張り紙が、、、どうやらのんびりまわれそうですね。

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 仁王に睨みを利かせられながらおずおずとくぐり抜けた先の参道は、驚くほど広かった。一寺院とは思えない広大な敷地。これが非課税の力か。

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 参道を少し歩くと、左手に勅使門が現れた。二条城の唐門なんかと比べると控えめな色合いの門だが、よくよく見てみると細かい部分の彫刻が大変美しい。欄間には鳳凰が舞い、デザイン化されたスイカズラの文様がまわりを囲っている。注目すべきは門扉のエスニックな意匠であり、日本の寺ではあまり見られないオリエンタルな趣がある。時間はあまりないことは承知していながらも、ついつい見惚れてしまった。こんなにも技巧を凝らした門が特段説明もなく建っているなんて。仁和寺すげぇや。

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 さらに参道を歩いていくと、右手に五重塔が現れた。なんてかっこいい。寺院には伽藍や鐘楼といった様々な建築が見られるが、その中でも五重塔の造形美は群を抜いているように思う。幾重にかさなりあう重厚な屋根と、その下の複雑かつ規則的に並ぶ組み木の超然とした佇まいに圧倒されてしまう。存在そのものの持つ力によって、人々は格の違いを思い知る。それでいて五重塔は、なにごとも気にとめることなく泰然と構えているのだ。太陽の塔に似た魅力が、五重塔にはある。

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 仁和寺の五重塔には、一階部分の正面に、大日如来をあらわす梵字がかかれていた。よく見ると、同じ文字が屋根すその瓦の一枚一枚にもかかれていて、「やや、これはすごい」と隠された秘密を知り得た気分になった。そういえば、梵字のこの特殊な書体を現実でかくには、よこの動きではふとい線が、たての動きではほそい線のひける平筆のようなものが必要である。今まで御朱印を集めてきた中で、鞍馬寺ではまさしくその筆を使っていたことに思いあたった。まぁ、思いあたっただけなんですが。

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 その後は、金堂や鐘楼や観音堂を見てまわった。観音堂の前には、堂内の観音様の手とつながった紐の端が用意されていた。東大寺大仏の開眼式みたいだ。尾道とともに紐の端を握りしめ、コロナの収束を願った。他には、御室桜の名勝として見渡す限り一面桜の木という場所もあったが、桜の季節にはまだ早く、みんな寒そうにしていた。しかし、これだけ冬枯れの木が集まると壮観で、これはこれで面白いという気になってくる。とはいえ、機会があれば満開の姿も見てみたいものだ。

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 今まで触れていなかったが、仁和寺の境内には新しい試みといて、現代アート作家・ゼロヒガシダの金属作品がいたる所に展示されていた。寺院に現代アート作品というのは、これまでの慣例からしたら特異なものに思えるが、堂内で音楽ライブの開かれるこのご時世にはそれほどおかしなことではないのかもしれない。それにゼロヒガシダの作品はどれも金か銀、もしくは緑青に塗られた木といった比較的景色になじみやすい色味だったので、野外美術館兼寺院として楽しく見物することができた。お気に入りは、二王門脇に展示されていた「飛天」である。金属と木材の融合に、見ていて不思議な気持ちにさせられるわい。

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これは「飛天」ではない。

明石

・メンバー
明石、尾道

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