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神さまたちの詩歌集。

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降りてきた詩や短歌たち。
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記事一覧

【詩】タイムライン

【詩】タイムライン

『タイムライン』

『毎日が楽しくなくていい』

【ストーリー短歌】Life goes on #うたすと2

【ストーリー短歌】Life goes on #うたすと2

月だけが背中を押してる夜だから「これは愛だ」と小指に触れる

触れている指先にまで届くようにわたしは静かに花束になる

シナプスに刻まれていく星砂をこぼれぬように抱きしめる夜

優しさが優しさ以上になったとき、ぼくらはきっと離れるんだろう

そのときが来たら「来たね」と言ってほしい、知らないうちに傷つく前に

傷痕を触って癒やす君の手の匂いがぼくを抱きしめている

いつの日か忘れたころにしあわせの

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【短歌】注目を集めた7選その3

【短歌】注目を集めた7選その3

各所で比較的注目された短歌、7選。
その3です。

人間の付けた名前で呼び合って笑い転げる虫や花たち

Xではふだん、「いいね」は、せいぜい30くらいなのですが、これはなぜか唯一100を超えた短歌でした。なので注目を浴びたかなと思います。

勝手に名前を付けられている森羅万象たちはきっと、大きな心でその名前を笑いながら愛でているかもしれません。

菜の花と同じ高さで会話する吾子の瞳にハロー、イエロ

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第18回(ひとり)おうちラジオ〜8月の短歌を詠む〜

第18回(ひとり)おうちラジオ〜8月の短歌を詠む〜

妻のコンディション不良により、今回は一人で語っております。8月に詠んだ自作短歌の、作品背景、想いなど、30分ほどの内容となっております。【短歌+】のラジオ版。

・収録短歌(12首)

地球から離れた場所に故郷があるんだろうね君の目の奥

流されたボールが海に着くころに飲んだビールはあの夏の味

目印を見つけられない地図上に輝くオレンジ大西くんち

これ以上甘い気持ちにならぬようかき混ぜているブラ

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【短歌+】スイートテンありがとう

【短歌+】スイートテンありがとう

 ぼくたちの憲法一条定めます「死ぬときまでは死んではいけない」(但し)6日だけ先に逝くのでそのぶんのお菓子とアイスためこんでおく■

本日付けで、結婚10年目に突入した我々。スイートテンダイヤモンドは贈れませんが、スイートテンありがとうを贈りたいところです、ありがとう。

妻とは同い年で誕生日が6日違いなので、6日早く死ねたらいいなあと思っています。でも、6日じゃ葬式の段取りとかいろいろあって、の

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【詩】やさしい人生

【詩】やさしい人生

となりの席

それはもうそれを

なるべく

もう二度と

【短歌+】埼玉ぽさ

【短歌+】埼玉ぽさ

 海だった場所に建ってるビルたちの隙間を泳ぐ都会の魚 傷付いたレンズが映す街並に架かった虹は嘘でも綺麗 各々の歴史があるからどうしてもログインできぬ街並みがある ビル街を選んで咲いたたんぽぽが俯く人に笑顔を向ける■

やたらとオシャレに見える街並みってあります。埼玉から見ると、東京(の一部)とか横浜とか。そんで、埼玉もがんばって、そういうオシャレな街並みにチャレンジしてみて、それなりにそういう雰囲

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【短歌+】足るを知る

【短歌+】足るを知る

 どうやって出逢えばいいのと嘆いてる若者たちとすれ違う日々 自由形だからクロールじゃなくていい息するための泳ぎ方なら 

若いときから「出逢いがない」と嘆いている人をよく見かけましたが、出逢いがないんじゃなくて、「理想とする出逢いがない」ってことなんだろうって思ってました。だってね、人はたくさんいるんだし、生きていれば、何かのきっかけで誰かと話すことはあるわけですし。まあ、なにも発展することはない

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【短歌+】君のいる夏

【短歌+】君のいる夏

 どこまでが葉っぱでどこからサラダかを確かめている吾子の指先 おもちゃ箱ひっくり返して部屋中が君の笑顔で埋まっている朝 手を伸ばし抱っこをせがむ君の背に光る汗ごと抱きしめる夏

以前、納豆ご飯さんと椎名ピザさんのラジオにおいてご相談しました、うちの子のテレビ倒す問題が、しれっと解決しようとしている夏です。ゲートをも乗り越えていくバイタリティを持った我が子でしたが、すっかり乗り越えなくなりました(テ

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【短歌+】左様なら

【短歌+】左様なら

 左様なら左様ならばと願い込め会えない予感のさようならを言う 潮騒が君の名前を呼んでいる別れたあとの儀式のように 願いよりきっと祈りに近いから誰かに届く誰かの愛が

誰かと出逢ったならば、その誰かとはいつか別れる。それを軽やかに思うときもあれば、涙があふれるときもある。

外国語だと、グッバイ、アディオスというのは、「神のご加護を」というような意味合いで、再見、は「また会いましょう」的で、アニョハ

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【短歌+】歌い継ぐ夏

【短歌+】歌い継ぐ夏

 百年後聴こえなくなる円盤を胸の小鳥に歌い継ぐ夏 神様が雲の波間をバタフライ、そのとき夏が息継ぎをする 鳴くほどの恋なのかって歌ってる夏のコーラス、夏のぬけがら

どうも、いわゆるCD全盛期にCDをめちゃくちゃ買っていた者です。数えた事ないんですが、5、600枚くらいあったのではないかと。

「あった」というのは、今はバッサバッサと処分したからなんですが。息子がCDの棚を毎日棚卸しするもので、それ

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【短歌+】イージーモード

【短歌+】イージーモード

イージーなモードで始めた人生の電気を消して見上げた星星

小さいときは気付かなかったけれど、普通に愛されて育ったことを、今は感じられます。

でも、それが「普通」のことであるがゆえ、「普通でない」ということと比較しないと、その普通が「特別」であることがわからないものです。

なのでね、思春期以降に、いかに自分が「足りない」かの証明をしちゃってたんです。周りと比べて、あれが足りない、これが足りないと

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【短歌+】正しさトーナメント

【短歌+】正しさトーナメント

正しさのナイフで脅し合っている人を包めるフェイクファーの白

正しさが厄介なのって、「正しさ」が一つではないから、と思います。

たとえば宿題をすぐにやって、あとはダラダラしたいのと、今すぐダラダラしてから、ギリギリでやるのも、どちらもそれが「正しい」と思ってるはず。

それぞれ「正しさ」を持っているのだけのことなのに、それは「正しくない」と言い始めると争いになる。

わかっていつつ、喧嘩になるの

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【短歌】雨の七夕 #青ブラ文学部

【短歌】雨の七夕 #青ブラ文学部

雨ならばバレないように逢えるから雷様と談合する7月

なんとなく七夕とかに死んだなら素敵だなって思ってた猫

まだ雨を残したままの7月が7日は晴れか審議している

七夕の夜のふたりは雨を願う傘の内側だけに降る星

今年はもう真夏なんじゃないかと思うくらいなんですが、7月初旬の関東は梅雨であることが多いです。なので七夕は雨だったことが多かった気がします。

当日が雨でも、なんとなく七夕に向けて願いを

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