夕緋

“夕緋”としての創作活動を行う場所です。梅雨屋目録を投稿するためにとりあえず作りました…

夕緋

“夕緋”としての創作活動を行う場所です。梅雨屋目録を投稿するためにとりあえず作りました。 その後の更新頻度はおそらく高くないです。むしろ「…あ、お前いたの?」くらいになるかと思います。 “やりたいようにやる”がモットーですので暖かく見守っていただけると幸いです。

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  • 梅雨屋目録

    『梅雨屋目録』という短編集です。 内容↓ 開店 満天と星空と家族 影落ちと私の正解 雨の香炉と色づく想い 蛇の目と“一途” 染華と3分間の逢瀬 閉店 あとがき

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開店─梅雨屋目録

 おやァ? 珍しいお客さんですねェ。どうもあなたはこの世界の方ではないと見える。わざわざ次元を渡ってまで一体何の用で?  へーェ。ワタシに話を売って欲しいと。こりゃ本当に珍しいお客さんだ。ま、いいですよ。きちんとお代をもらえれば話でも何でも売りまさァ。どうします? ワタシの生い立ちでも話しますか? ……冗談じゃないですか。そんな顔されるとさすがのワタシもへこみます。  さて、きちんとあなたがお求めの『噺』をしやしょうか。  目録がありやすからこの中から選んでくだせェ。気になっ

    • 【声劇台本】ずっと、繋いでいて【女:2】【上演時間:約25分】

      〈作者〉 ・夕緋 夕緋の小説部屋 (@yuhi_333_novel) / X (twitter.com) ・澄田ゆきこ 澄田ゆきこ (@chiisaiyukiko) / X (twitter.com) ※上演の際は作者までお声がけください。 <登場人物> ・結奈(ゆな) 女  高2。文芸部。気遣い屋で自信がなく、成績優秀だがそれを長所だとは思えていない。引っ込み思案で自分の感情を表に出すのが苦手。 ・遥(はるか) 女  高2。結奈と同じクラス。テニス部。要領が良くて友達

      • 140字小説×5(2022年から)

        ※この作品は私が2022年に書いた140字小説の中から5作を抜粋したものです。それ故、なるべく雰囲気をそろえたつもりなのですが雑多になっています。ご了承ください。 1.  あなた以外何もいらない、なんて言えません。その言葉は、あなたにも私以外何もいらないと言っているのと同じですから。  私には、とてもそんなことは言えません。私は知っているから。  あなたと私以外何もなかったら、あなたは幸せにはなれないから。  私には、あなただけでいいのに。 2.  君は一緒にいた時間があ

        • 140字小説×5(歌に影響されて編)

          1. 反論したい気持ちは飲み込んで「そうですね」って言わなくちゃ。目の前の相手をぶん殴りたくても「ごめんなさい」って言わなくちゃ。世界に頭を垂れて、「全然ダメでさ」なんて笑って。 そうやって”平穏”を作り出さなきゃ。 『そんなもん捨てちまえ!』 ギターが僕を突き刺す。 波乱が巻き起こる。 2. 僕が僕のままでいられたならこの恋は実ったのかもしれない。君の前で、着飾らずに素のままの自分でいられたなら。 でもダメだったんだよ。 この世界に冷めやらぬ恋なんてなかった

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        開店─梅雨屋目録

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        • 梅雨屋目録
          8本

        記事

          先生と元生徒が会っただけの話

           太陽の光が柔らかく差し込む職員室。理容室で”清潔感のある感じで”と頼んで切ってもらった髪をかき乱しつつ、教師は小テストの採点を行っていた。そのペンが次々と丸を描き、時にはチェックを入れ一言添えてやっているのをぼんやりと見つめる少女が一人。  先生は誰に対しても丁寧だなあと考えつつ、向かいの机で頬杖をつき両手で顔を支えている。  その視線に耐えかねたように軽快に動いていたペン先が止まる。 「さっきから気になるんだが」  教師はしっかりと少女の眼を見て言うものの、少女は気づいて

          先生と元生徒が会っただけの話

          梅雨屋目録 あとがき

           あとがきを開いてくださってありがとうございます。『梅雨屋目録』というシリーズを書きました夕緋と申します。お楽しみいただけたでしょうか。  読んでいただいた方、目を通してくださってありがとうございます。読んでないけどあとがきから開いたよ、という方、まず出会ってくれてありがとうございます。本編のリンクを貼っておきますので、そこから読んでいただけるとありがたいです。一応投稿順はありますが、好きなところから読んでいただけるので気になったタイトルから読んでやってください。  さて、

          梅雨屋目録 あとがき

          閉店─梅雨屋目録

           おや、そろそろ時間みたいですねェ。お客さん、楽しんでいただけましたかァ? 色んな話をしやしたけれど、どのお話が一番印象に残っているんでしょうかねェ。まァ納得できねェって顔された話もありやしたけど、その運命を選んだのはお話のお兄さんお嬢さんですので、ワタシに言われてもどうしようもありやせんよ。  お客さんも避けたい運命があるなら気をつけた方が良いですよ。ワタシみたいなのはお客さんの世界にもいらっしゃるでしょうから。  自分の利益が上がれば相手がどうなろうと知ったこっちゃないっ

          閉店─梅雨屋目録

          染華と3分間の逢瀬─梅雨屋目録

           お客さんにはもう二度と会えないお相手はいらっしゃいますかねェ? 人間様には出会いと別れがつきものですが、どうしても会えなくなっちまう別れもある。ところがこの世界ではそんな人にも一度だけチャンスがあるんでさァ。  この世界では『大切な人は死後3年経つと幽霊になって戻ってくる』って逸話がありましてねェ? 次のお話はそんな戻ってきた幽霊の話でさァ。  さァてお立合い。  これより語るは願いか愛か、はたまた呪いか。梅雨が奏でる噺の世界へようこそ。 ○ ○ ○ 「おやァ? 冥界か

          染華と3分間の逢瀬─梅雨屋目録

          蛇の目と”一途”─梅雨屋目録

           ”一途”って聞いたらお客さんはどんな印象を持ちやすかねェ? そう悪いようには思わないかもしれませんねェ。もしくはそこに切なさを感じるかもしれねェ。  でもねェ、お客さん。一つ忘れちゃいけねェことがある。  ”一途”は”呪い”になりうるってことでさァ。  さァ、勝つのは愛すものか愛されるものか、はたまた”一途”か。梅雨が奏でる噺の世界へようこそ。 ○ ○ ○  初めて会った時から奴のことが嫌いだった。  好きな人の彼氏という情報だけでも好きにはなれないというのに、その好感

          蛇の目と”一途”─梅雨屋目録

          雨の香炉と色づく想い─梅雨屋目録

           お客さんには思い出したい記憶ってェありやすかァ? 大切だったはずなのにどうしても思い出せねェ記憶。人間様の記憶は儚いものですから”思い出したい”ことさえ忘れてらっしゃるかもしれませんねェ。  この物語は記憶を求めるお嬢さんの話でさァ。  さァて、お立合い。  これより語るは願いか愛か、はたまた呪いか。梅雨が奏でる噺の世界へようこそ。 ○ ○ ○  動かない君の横顔をもう何回見たことだろう。  冗談みたいに白い病室。心拍を計る機械音。前に私が持ってきた花は萎れていて、君は

          雨の香炉と色づく想い─梅雨屋目録

          影落ちと私の正解─梅雨屋目録

           お客さんは人付き合いを面倒に思ったことってありやすか? まあ、あるでしょうねェ。面倒に思わない人の方が少ない。そういう人たちは人付き合いの才能ってやつがあるんでしょう。  じゃあ多くの才能のない人はどうするんですかねェ。不満を抱きながらどうにか”正解”を探すんでしょうが、その”正解”ってやつが分かるとしたらどうです?  そういう人こそ“人付き合いの才能”があるんじゃァないかって?  残念。この物語のお嬢さんにあったのは“人付き合いの才能”ではなく”正解を見つける才能”だった

          影落ちと私の正解─梅雨屋目録

          満天と星空と家族─梅雨屋目録

           お客さん、夜空を見上げることってありやすか? 最近じゃ星空が見えねェなんて地域もありやすが、この主人公のお嬢さんはそんな僅かな星明かりを頼りに生きてきたそうで。しかし梅雨ってのはいけねェ。見上げても空は雲に覆われているばかりでさァ。  だからワタシが要り用ってね。  さァて、お立合い。  これより語るは願いか愛か、はたまた呪いか。梅雨が奏でる噺の世界へようこそ。 ○ ○ ○  小さい頃、お父さんに会ったことがある。  私が5才だった頃に死んでしまったお父さんに、小2の時

          満天と星空と家族─梅雨屋目録

          春風にのせて(テスト投稿)

          張り詰めたような冬の空気がだんだんと和らいでいって、青空に色が咲くようになりました。 随分時間が経って暖かくなった証拠ですね。 この春が訪れるまでに色々なことがありました。他の人から見れば何も起こっていないような、でも確かにそこにある、私たちにしか分からない“色々なこと”が。 ……なんて、書き出しを詩的にしすぎましたかね。どうか許してください。私にはこの出来事を正面から受け取るのが怖いのです。怖くて、見ないふりをして、ここまで来てしまいました。 でも、もう見ないふりもできない

          春風にのせて(テスト投稿)