私が「”繊細な魂”のクリエイター」を名乗れるようになるまで

  ふらっと立ち寄った本屋さんでこんなポップを見つけた。

転職のために受けてみた適職診断が「クリエイター」とか「芸術家」になって途方に暮れているあなたへ

 その文言は柏書房さんの「#ガチ本フェア」のチラシに記載されていた「クリエイターになりたい!」という本のキャッチコピーだった。

クリエイターになりたい! | 柏書房株式会社 (kashiwashobo.co.jp)

 私はこの言葉に見事にキャッチされた。というのも、私もとある診断で創作性の高い職業ばかり提案されたことがあるからだ。

 それに、私は「クリエイター」という言葉に対して思うところがあった。自分は創作を趣味にしているけれど、果たして「クリエイター」と呼べるのだろうか。まずプロではないし、プロになりたいという意識もないため、アマチュアというのさえもどかしい。多くの創作者は「伝えたいこと」を作品に込めるように思うけれど、それもない。私はただ自分がやりたいからやっているだけだ。イメージするような、自信に溢れていたり、創作物で誰かに何かを与えたりするような「クリエイター」とは違う。

 この本を読めばクリエイターについて何か分かるかもしれない。そんな期待を込めながら本を開いてみた。そこに書かれていたのはクリエイターを「なぜ創作するのか」という観点から5つのタイプに分け、それぞれについて実際のクリエイターの行動や発言を交えながら説明していく、というものだった。
 序章に書いてあったそれぞれのタイプのおおまかな特徴を見たところ、私は「繊細な魂」らしい。1章で1つのタイプについて説明していくそうなので、私は早速「第四章 繊細な魂」を開いた。

 最初の文章から自分にドンピシャで笑ってしまうほどだった。

 文章を読み進めていくと共感するところばかりで、「私って”繊細な魂”なんだなぁ……」と実感していった。
 本は「繊細な魂」のタイプを更に細かく分け、それぞれについて実際のアーティストの名前を出しながら解説し、「繊細な魂」のポジティブな性質、また注意すべき点について述べていく。
 海外アーティストに詳しくない私にはほとんどが存じ上げない方だったが、その言葉で「繊細な魂」の性質についてより深く理解したり、行動からこれから私が直面するかもしれない不安や課題を知ったり、逆にそれを解決する術を得たりした。

 他のタイプについても読んでみて分かったことがある。それは、私のイメージするタイプのクリエイターも確かに存在するということ。そして、私自身はそういったクリエイターとは性質が異なるクリエイターなのだということだ。
 どうやらこの世界には様々なタイプのクリエイターがいて、私がイメージする範囲に留まるようなものではないらしい。

 私はこれから「繊細な魂」であるという自覚を持ちながら書き続けようと思う。なぜって、繊細な魂にとって創作することは”選択の問題ではなく、どうしても必要なこと”だからだ。

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