春風にのせて(テスト投稿)

張り詰めたような冬の空気がだんだんと和らいでいって、青空に色が咲くようになりました。
随分時間が経って暖かくなった証拠ですね。
この春が訪れるまでに色々なことがありました。他の人から見れば何も起こっていないような、でも確かにそこにある、私たちにしか分からない“色々なこと”が。
……なんて、書き出しを詩的にしすぎましたかね。どうか許してください。私にはこの出来事を正面から受け取るのが怖いのです。怖くて、見ないふりをして、ここまで来てしまいました。
でも、もう見ないふりもできない。視界に嫌でも入るほど近くにあるから。
冬から春になるまでに、あなたは何を感じたでしょうか。肌を刺すような空気の冬を越えて、包み込むような春が訪れるまでに。
私が感じたものは、ただひたすらにあなたの温かさでした。あなたと話す度に私の棘が抜け落ちていくようでした。
そうして蕾を膨らませる私の花が咲くところを、見届けていただけなかったと言うべきか、私の花が咲くのが遅かったのか。ともかく、あなたは姿を見せなくなってしまったようです。
あなたがそういう性質であることは随分前に聞いていました。けれど、一言くらい何かあっても良いじゃありませんか。
ふてくされた私は勝手に独り言を言うことにしました。風が届けてくれると信じて。
あなたと過ごした日々はとても楽しかった。温かくて優しくて春のひだまりのようだった。過去形で表さなければならないのが悔しいくらいに。
こんな言葉では足りなくて、でも他に言い表し方を知らないから、言ってしまいますね。
ありがとうございました。私はあなたのおかげで花開くことができるようです。
せめて花が散るまでにもう一度会いに来てくださいね。

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