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ラッパー物語 -GARDEN-2 "メガネとスロット"

この物語はフィクションです。登場する人物、団体名は実在の物とは関係ありません。

第1話 メガネ

プルルル プルルル ガチャッ。

「はい、お電話ありがとうございます。丸山商事です。… あっ!村岡ですね、少々お待ちくださいませ」「村岡さーん、内線3番にお電話でーす。」

「はいはい」「お電話代わりました村岡です。はい、お世話になります。はいはい、来週の白水海浜公園の野外イベントですね……どうかしましたか?え?中止ですか?はい。はい。かしこまりました。はい。すぐにキャンセル致します。はい。厳しいですね…。わかりました。また宜しくお願い致します。いいえ、大丈夫ですよ、お気遣いありがとうございます。また宜しくお願い致します。はい。それでは、失礼致しますぅ。」

ガチャッ。

「また中止ですか?」
「うん。」「いよいよヤバイな」
「世間はどこも自粛モードですもんねぇ。また被害が出たみたいですよ。」
「またか?こりゃちょっと大変だなぁ。スタッフの現場もかなり縮小しだしたなぁ……。ちょっとタバコ吸ってくるわぁ。」
「村岡さん、タバコもダメですよ!今月から法が改正されて、受動喫煙防止対策とかで、喫煙所の灰皿も今朝撤去したばかりです。吸うならコンビニの前に灰皿がある所じゃないと無理ですよ、屋内はどこも禁煙です!」

「……マジかよ…わかったトイレ行ってくるわ。」

こりゃ完全にサボれなくなったなぁ。。

深いため息をつきながら村岡はトイレの大きい方に入りカギをかけた。

ガチャッ。

ポケットからスマホを取り出すとすぐにSNSを開いた。

[ 世の中には、自由な人と不自由な人の2種類しか存在しない。]

ふーん…

[君が受け取る報酬は、君が提供する仕事の質と量で決まるんだ!]

ふーん…何かねぇ…偉そうなつぶやきだな、

[金儲けの事ばかり考える人よりも、自分の仕事が好きで一生懸命な人が成功する。]

うん!コレ良いね!シェアっと。

ザバァ〜。

トイレの水を流してデスクに戻り、あたかも自分は頑張ってますよ。と言わんばかりの態度で、パソコンににらめっこを始めた。
電話には最初のコールで出る。
調子が良い時は電話の液晶が光ると同時にキャッチすることもできる。
アスリート並みの動体視力だ。

「村岡さんお電話ですよ〜」
「はいお電話代わりました村岡です!」
「村岡さんスタッフから電話でーす。」
「おぃ!おつかれ〜どぅ?良い感じ?」
「村岡さん面接の方来ましたよー」
「あー、はいはいすぐ行きまーす。」

よっしゃ、昼飯の時間になったぞ!

「メシ食ってきまーす。」

デスクのあるオフィスから隣の使って無い会議室に入り束の間の休息に入った。
妻が作ってくれた弁当だ。
中には子どもの弁当を作った時の余り物が入っている。今日も年に似合わぬ可愛いチキンナゲットが3つとウィンナーと卵焼き、それと、おにぎり。

ちょっと物足りない感じではあるが、そうは言ってられない。節約、節約と。

お茶のペットボトルを一気に飲み干して、喫煙所に!

向かおうとしたけど、ダメだったなぁ。

頭の中でそんな事を考えながら、エレベーターに乗り1階へ向かった。

外に出るとオフィスのあるビルからすぐの所にコンビニがある。
が、会社の若いスタッフ達が溜まっているのを確認したので、渋々道路を渡って少し先のコンビニまで向かった。

はぁーコレから毎日こんな感じなんだなぁ。。
続くかなぁ。。そろそろ潮時かもなぁ。。

そんな事を考えながら、タバコを吸い溜めし、
また昼からの仕事にいそしんだ。

夕方過ぎ、今日も1日が終わった。

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14,155字
このマガジンは僕の処女作の短編小説です。最初で最後になるかも知れませんが気持ちのこもった作品です。ご愛読いただければ幸いです。

ラップをする青年の夢と葛藤を描いた短編小説。

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