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アイドルと禁止事項

<参考資料>
日本加除出版「地下アイドルの法律相談」
深井剛志・姫乃たま・西島大介/著 
https://idol-horitsu.com

深井剛志 X アカウント @TSUYOSHIFUKAI
https://x.com/tsuyoshifukai

寺嶋由芙 Xアカウント
@yufu_0708
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寺嶋 podcast「アイドルと法律」!この番組では、ソロアイドル10年目、フリーランスのアイドルとして働く、ゆっふぃーこと寺嶋由芙が、 アイドルの労働問題に詳しい弁護士としてご活躍の深井剛志先生から、アイドルが知っておくべき法律を学びます。日本加除出版株式会社から発売されている「地下アイドルの法律相談」著者でもある深井先生が、働くアイドルゆっふぃーに、アイドルが直面しがちな労働問題を、わかりやすく説明してくれます。

整えよう、あなたの推しの労働環境!

というわけで、皆様よろしくお願いします。古き良き時代から来ました、まじめなアイドル、まじめにアイドル!ゆっふぃーこと寺嶋由芙と、

深井 弁護士の深井剛志です。お願いします。

寺嶋 よろしくお願いします。4回目です、いかがでしょう?

深井 うん。4回目でかなり疑問というか、すごく物議を醸しそうなテーマになりましたね。今日は

寺嶋 大丈夫かな。炎上するかな。炎上するかもしれない。炎上したくない(´°ω°` )穏やかに暮らしていきたいですけど。

深井 はい。

寺嶋 じゃあいきましょう。今日のテーマはアイドルと禁止事項の話です。禁止事項といえばもちろん…?

深井 そうですね。アイドルといえば当然恋愛禁止。

寺嶋 でも「アイドルといえばもちろん」みたいなのがもうそもそも、「うん???」って感じですけど、そうなんですよね。

深井 そうですね。だからちょっと、その辺りのね、業界の状況なんかも、今日僕も聞きたいなと思ってるところではあるんですけども、 実際どうなんですか?

寺嶋 でも、私、言われたことないです。いろんな事務所入ってきたけど、「恋愛禁止です」って言われたり、契約書に書いてたこと、私はないです。

深井 なるほど。僕のとこに相談に来た方も、「恋愛禁止」って契約書に書いてない方がほとんどなんで。「恋愛禁止」って書いてあった人もいたことはあるんですけど、書いてないケースがほとんど。だけど、書いてないのに、恋愛したとか、ファンと付き合ったとか、そういう理由で解雇になってる人がたくさんいるんですけど。

寺嶋 はい。

深井 それって、契約書に書いてないのにやっぱそういうルールはあるってことなのかなって思ってたんですけど。

寺嶋 なんか、暗黙の了解的にありますよね。

深井 アイドル業界は、もう書いてなくても当然(恋愛禁止)でしょみたいなところなんですかね。

寺嶋 やっと最近ちょっと変わってきて。結婚しながらアイドルをする子がいたりとか。子育てしながらアイドルする…アイドルをまだ名乗りながら、子育てとかする子が増えて。「増えて」って言ってもそんな多くないけど。(そういう子が)出てはきたけど、そういう子たちって、ほんとにもう10年以上とかアイドル活動してきて、人気もあり、ライブ活動が充実してて、「ここまで頑張ったからもう結婚してもいいでしょう」みたいな、なんかこう、「一定のラインを超えたから」みんな祝福するみたいな流れがちょっとあるんですよ。

深井 そのラインってのがね、なんなんだっていうところはありますけれども、

寺嶋 なんかね、「アイドルになりました。頑張ります。1年目です。」って言って、同じぐらい人気が出たとしても、 ダメな気がする。

深井 やっぱ経験年数による?

寺嶋 とか、本人の年齢とか、事務所や業界への貢献度とかが、受け入れられるかどうかの境目になってるのか?っていうことなんですかね。あとは事務所の打ち出してるルールにもよると思います。その所属してる事務所が 「恋愛禁止」ともなんとも言ってない事務所の方だったら、その中でそうやって何年か活動して実績がある人が結婚していくとかあり得るけど、「うちは恋愛禁止で売ってます」っていうふうな見せ方をしてるとこだったら、やっぱりちょっとできないですよね。

深井 うーん。「恋愛禁止です」っていう風に公に公言しているグループとか事務所ってそんなにあるんですか。

寺嶋 「恋愛禁止条例」っていう曲ある…

深井 「恋愛禁止条例」って曲がある?

寺嶋 それはAKBさんですかね。

深井 AKBがね、やっぱり定めたことですごく話題になった ものですよね。

寺嶋 うん。(AKBさんの)曲かな、公演名かな?なんかありますね。

深井 それより前は、アイドル恋愛禁止なんだっていうのが僕全然知らなかったんで。

寺嶋 いや、私も知らなかったんですよ。(アイドルに)なる時。私が小学生の時にモーニング娘。さん見てた時って、「歌って踊るお姉さんたちがかわいい」としか思ってなかったから、メンバーがどれだけスキャンダルに気をつけてるかとか、あるいはスキャンダルが出ちゃって辞めたメンバーがいるとか、あんま気が付いてなかったんです。自分が子供だったから。それで、(アイドルに)なってみたら、「実はダメらしい」みたいなことに気が付いて、びっくりしたって言うと変ですけど、「そういうもんか」って思っちゃった。

深井 実際、多分モーニング娘。 以前は、恋愛のスキャンダルで辞めた人なんてあんまいないんじゃないかなって、個人的には思うんですけどね。

寺嶋 松田聖子さんとかは結婚会見してたし。山口百恵さんは引退されたけど、ご結婚する時に。それでもスキャンダルはスキャンダルだったのかな?

深井 スキャンダルになってもアイドル自体は続けるというか。それで解雇とかね、そういうのはちょっと、「 え?」っていう感じでしたけどね、初めて見た時は。

寺嶋 でも、グループアイドルが主流になったからかもしれないですよね。グループの輪を乱さないためにっていうか。やっぱそこでみんなが好き勝手、 恋愛するだの、他のことにも興味があるだの言ってたら まとまらないから、とりあえず一律禁止みたいなことだったのかもしれない。うん。なんかいつの間にか「そういうもんだ」ってなっちゃってます。

深井 やっぱりファンイメージとしては、「アイドルだったら恋愛禁止は当然だ」と、そういう感じなんですかね。

寺嶋 わかんない、うちのヲタク特殊だからな〜。うちのヲタク、理解度が高いからな。わかんないですけど。ま、大きく見たらそうだと思いますよ。ていうか、「恋愛したいならアイドルじゃないかたちで人前に出ればいいじゃないか」って思われてると思う。男女のアイドルどっちもですけど、「『アイドルです』って名乗って活動する以上は恋愛をしない方がいい。」、「恋愛をしたいならばアイドルを卒業して、他の方書きで人前に出ればいい」って思われてるんだなっていうのは、SNSとか見てると思います。

深井 シンガーソングライターとかだったらいいんですか。

寺嶋 アーティストとか?だと思います。

深井 それ、名前変えただけで実態がどう違うんだっていう感じはしますけれどね。だからやっぱり僕がこの問題に、アイドルの問題に取り組むようになってから一番感じるのは、契約書にも書いてないし、別にそういうことを説明されてもいないけれども、 アイドルが恋愛したとか交際を始めたってなると、即座に解雇してくる事務所がたくさんあって。契約書に書いてないにも関わらず、そのルールがもうあるんだと、 アイドル業界にはもう絶対あるんだと、そういう風に考えてる事務所が非常に多いなという風には思いましたよね。

寺嶋 あとは、「禁止してないけどちゃんと隠してね」っていう事務所さんもありますね。 

深井 なるほど。

寺嶋 それは多分、やっぱりどうしてもそのアイドルっていう仕事は異性のファンが多くて、 疑似恋愛的な売り方をしてる部分があるから、夢を壊さないためにとか、 そういう意味で「隠してね」って言われるんだと思うんですけど。

深井 うん。

寺嶋 私、自分が大人になっちゃったから、その、気持ち悪さみたいなものとか、矛盾みたいなものに気がつくし、でも気がついて乗っかることもできるっていうか。なんか、「恋愛禁止っていうていですもんね、アイドルは♪」っていう逃げ方ができるようになっちゃったけど、そうじゃない人、大変だと思う。ほんとに。

深井 なるほどね。寺嶋さんはどうだったんですか。元々の。恋愛禁止に対する考えというの。

寺嶋 いや、もう「そういうもんだ」と思ってたから。あと、すんごい忙しかったんで、 そういうことにあんまり気持ちがいかないっていうか、日々を生きるのに必死というか、だったから、 そのままこう来ちゃったけど。で、私、この、黒髪ロングの「真面目なアイドル!」とか言って、グループにいた時も、割とその、「優等生」とか「清純」みたいに言ってもらうことが多かったから、自然と「その枠」だったんですよね。それをあんまり無理なく続けてきちゃったというか、そこに当てはめられることにあんまり疑問がないままきたことで、(アイドルへの)変なパブリックイメージみたいなのを強化しちゃったんじゃないかっていう負い目が、ちょっとあります。

深井 なるほど。うん。

寺嶋 (自分に)そんな影響力はないんですけど。

深井 結構ね。アイドル関係の情報なんかをSNSで見てると、やっぱりね、繋がったとか、 ファンと繋がったとか、付き合ってる男がいるとかっていうことで解雇になってる例は結構ありますよね。

寺嶋 それって法律的には成立するんですか。恋愛禁止が法的に成立しなさそうなのはわかるんですけど、恋愛をすることによって、 なんかこう、「商品価値が下がった」っていう言い方はひどいか。なんて言うんですか…「アイドルとしてのお仕事をする上での問題が起きた」、「お仕事する上で評判に傷がついた」みたいなことで解雇されるっていうのは成立するんですか?

深井 恋愛禁止のルールが契約書にちゃんと書いてあるケースもあるとさっき言いましたけど、書いてあったとして、それでもやっぱりちょっとまたレベルが2つぐらいあって。その恋愛禁止条項を理由に解雇できるかどうか、「契約違反で解雇です」よという風に言えるかどうかっていう問題と、 もう1つのレベルとして、違約金の請求ができるかという問題と、多分あるんですよね。

寺嶋 うん。

深井 で、今の話というのは、「解雇できますか?」と。「解雇していいんですか?」という話だと思うんですけれども、それは1つ目のレベルの話ですよね。「地下アイドルの法律相談」にもね。その2つの点は分けて、書いてみたところではあるんですけれども。恋愛禁止を理由に解雇したと。それを違反したことを理由に解雇したと。で、それが裁判になってるケースは、少なくともこの本書いた段階では、僕は見つけられなかったんですね。だから、ちょっと裁判所がね、どういう判断するかっていうのはわからないんですけれども。一方で、もう1個のレベルのね。「損害賠償請求することができますか?」と。「違約金請求することができますか?」と。その問題の裁判例はありました。
要するに、ファンの人と付き合っちゃって、で、契約を解除して、違約金の請求を事務所がしたと、 そういう事例なんですね。で、それはですね、僕が見た限り、裁判例が2つあって、最初に出た方は、「その違約金の条項、恋愛禁止条項違反とした違約金の条項は有効ですよ」

寺嶋 え!

深井 なので、

寺嶋 払わなきゃいけないんだ!

深井 「違約金を払いなさいよ」いう風にされた事例。それがまず1つ目。で、もう1つの方は、その 1年後か2年後ぐらいに出た裁判例なんですけど、そっちは全く逆の判断で、 恋愛っていうのは、「幸福追求権」といって、人間が幸福に生きていくために重要な権利であると。「そういうものを破ったことを理由として違約金を請求することはできませんよ」ということで、「恋愛をしてはいけない」ということを、「違約金をもってまで、恋愛をすることを禁止するということは、公の秩序だったり社会通念上の道徳に反するよ」ということで、「そういった条項は無効ですよ」というふうな判断が出ました。なので、恋愛禁止を破ったことで アイドルに対して違約金を請求するというところまではね。さっきの例で言うと、2つ目のハードルについては、それはやりすぎですよということで、 「無効です」という判断になりました。

寺嶋 ふーーーん!

深井 そういう裁判例は一応あるんで。

寺嶋 でも、「払いなさい」と、「払っちゃダメ、払わなくていい。」?「払いなさい」と「払わなくていい」って2個出てたら、どっち信じればいいんですか?

深井 そうですね、それは結構問題ですよね。判断が分かれているということになりますけれども。ただ、やっぱりその2つの裁判例を分析した学者の先生の判例の分析だったりとか、弁護士業界での判例への、 評釈って言うんですけども、評価ですね。そういったものを見ると、やっぱり2つ目のね、「払わなくていい」と、「払う必要はない」という風に判断された方が妥当なのではないかという意見が多いですね。

寺嶋 ふーーーーーーーーーん!

深井 なので、恋愛禁止条項を破った ことで違約金請求というのは、基本的には僕も同じような立場ですけれども、それは守る必要はない。

寺嶋 なるほど。

深井 うん、「やりすぎなのではないか」ということになりますね。で、それが2つ目のハードルの例ですけど。じゃあ、解雇するのはどうなんだ。

寺嶋 うん。

深井 それは、さっきも言ったように、ちょっと裁判例は見当たらなかったんですね。で、 その違約金のレベルと、解雇していいかどうかっていうレベルの違いが問題になりますよね。やっぱハードルとしては、それで違約金払いっていうことの方が、やっぱ高そうですかね。

寺嶋 そうですね。多分、違約金を払うイコール解雇ですよ。

深井 あ、まあ、そうなんだけど、うん。

寺嶋 「違約金払ったら、このままいていいよ」っていうことにはきっとならないでしょうね。

深井 おそらくね。だから、解雇だけするのか、解雇にプラスして違約金まで払うっていうことですよね。じゃ、解雇だけだったらいいのかと。そういう問題が当然ね、生じてくるんですけれども、それについてはちょっと僕がこの本書いた時ではあまりそういう例は見当たらなかった。もうもしかしたらあるのかもしれないんですけど、判例集とかね、そういうもの見た限りではちょっと見当たらなかったんですけれども。

寺嶋 弁護士さんは判例集を見て、「過去こうやって判断されてたな」っていうことを参考に、自分の判断を決めていくんですね。

深井 そうですね、法律に、「アイドルに恋愛禁止条項をつけたら無効!」とかね、そういうことがない。書いてないので、どういう条項が、社会通念上の道徳に反して無効ってされるのか、そういうのは、 これまでの前例の積み重ねで判断していくことになるので、やっぱ前例ってすごく大事なんです。

寺嶋 じゃあ、悪い前例を作っちゃダメですね。

深井 そうですね。だからさっきの恋愛禁止の違約金の、1個目の裁判ではちょっとね、 僕からしたら悪しき前例かなという風には思うんですけど。

寺嶋 塗り替えていかねば。

深井 うん。じゃ、解雇するのはどうなのかというところなんですけれども、ただ、やっぱりさっきの、2つ目の、 「違約金払わなくていいよ」って言った方の裁判例が言ってる、「恋愛っていうのは幸福追求のために重要な権利である」というところからしたら、「それを破ったら解雇だ」、「それを破ったら契約を解除することができるんだ」ということを定めることもね。やっぱり、幸福追求権っていう人権を軽視してるじゃないかなというふうに思いますので、それを理由に解雇する、不利益な処分をするということも、僕はちょっとやりすぎなんじゃないのかなと思っていて、やっぱり公序良俗に反するんじゃないかなと。

寺嶋 お!?

深井 公序良俗ってのが、さっき言ってた一般的な社会通念上の道徳とか公の秩序とか、そういうものですね。それに反するものは無効であるということになります。

寺嶋 って言われて、「そりゃそうだ!じゃあ恋愛します!」とは、多分みんなならない。

深井 ならないですよね。だから、やっぱりそこね。

寺嶋 なんで!?

深井 法律の問題と、やっぱその社会の一般の人が受ける感じ方っていうところの差異なのかなって気はしてますけれども。

寺嶋 そうなんですよね。でももうそういうもんだっていう、「アイドルってこうあるべきだ」っていうものが広がりすぎちゃってるから。うん、

深井 やっぱ恋愛禁止に対してはファンは厳しい?

寺嶋 そのアイドルのキャラクターによると思います。

深井 寺嶋さんのね、ファンの方は。さっき言ったように。

寺嶋 えーでも、どうなんだろう。私、わかんないですよ。もしかしたら恋愛しましたって言ったら急にサァ〜ってみんないなくなるかもしれないけど。わかんないですけど。「みんなが優しいからなんでもオッケー!」とは思ってないけど。でも、うーん、あんまり自分が怖がってるほどのダメージにはきっとならないのもわかるけど…なんかダメな気がしちゃう。

深井 やっぱり「恋愛禁止を破った」ということで解雇になったアイドルね。その運営側が「こういう理由で解雇しました」って発表すること多いですけど。はい。その時ってやっぱアイドル側に厳しい声が多いかなって。

寺嶋 そうですね。なんか「そうやってルール違反したならしょうがないよ」みたいな感じで、割とその運営さんが、それこそ解雇理由をすごい事細かに書いてたり、割とひどい書き方、一方的な書き方をして解雇のお知らせを出してても、そのひどさとかより、「本人がやらかしたからね」っていう方に目線がいっちゃいがちかも。

深井 うん、そういうイメージですよね。だから、法的にね、 裁判例ない部分もありますけれども、やっぱりそこのね、法的な判断と、一般的な社会の人が受ける受け止め方っていうのの差異はちょっとあるのかなって気はします。

寺嶋 そうですよね。この辺はずっと、自分もアイドルを名乗っているから、どっちつかずなままずっといます。結婚したり子供生まれましたっていうアイドルちゃんのことは本当におめでとうって思うし、すごいなとも思うんです。道を切り開いてくれてる人として。

深井 うんうん。

寺嶋 結婚したり出産したりしてる子が切り開いてくれた道にありがとうって思う気持ちと、でもそれ、そもそも別に切り開かずとも本当はやってよかったことだし、いちいちそれですごい「革命だ!」みたいになってることがもうおかしいのかな、とか。

深井 あーなるほど。本来、そんな騒がなくてもよいはずだったことじゃないかということですかね。

寺嶋 でも一方で、アイドルとして、ステージ上以外の私生活みたいなものを見せずにやりきったプロ意識みたいなものを賞賛する気持ちも、ちょっとわからなくもないというか…なんですよね。でも、人権1番大事なのもちゃんとわかるというか。

深井 そうですね。だからね、これ、姫乃さんも「地下アイドルの法律相談」に書いてくれてますけれども、 やっぱりね、それを守るかどうかも、もう自分次第だというようなことは確かに言ってるのかなと思いますけれども。やっぱり、なんていうのかな、僕自身もね、さっき、恋愛禁止で解雇したりとか、違約金取るっていうところまでは、やりすぎなんじゃないかと言いましたけど、恋愛をしない方が、アイドルとして人気が出るとか、あとは、ファンも喜ぶっていうことはね、それは僕も理解はするので、「じゃあ、積極的に恋愛していいですよ」とか、「もう恋愛することにファン文句言うなよ」とかってところまで言うつもりはないんですよ。

寺嶋 でも、本来文句は言えないんですよね。でも、文句は言えないけど、文句があるなら、その子を推すのをやめるだけだから。ヲタクの人はその子のことを応援するのやめるだけだから、結局、アイドルが自分でどの方向性を選んで、どういうファン層とやっていくかっていうのを選んでいくしかないのかな。

深井 っていう話なのかなっていう気はしてます。そのアイドルがどういう方向性を目指すのかと。で、それについてね、事務所が契約解除とか違約金っていう方向で厳しい対応を取るというのは、法的には違うんじゃないのかなっていうところですね。

寺嶋 うーん。なんか難しいですね。この間の話もそうだけど、「法的にはこうだけど、じゃあ仕事断れるか?」って言ったら断った後、気まずいとか。今回だって、「じゃあ法的にはオッケーだから恋愛します!」って言って、 いざしてみたらお客さんゼロ人だってあるし。でも、だとしたらしょうがないんだよな。ゼロ人になったら、(自分に恋愛禁止以外の)需要がなかったってこと(´°ω°` )?

深井 まあね。その「恋愛禁止であるアイドルだ」ということも含めて評価されているということからすると、仕方ないで片付けられる問題なのかっていうね。

寺嶋 その子次第だから。でも、私が今フリーランスでソロだから言えることかもしれないけど、もうちょっと、グループだと、全体への影響とか。事務所に入ってれば、その事務所とのすり合わせとかもあるけど。うーん。でも、自分の幸せはちゃんと追求した方がいいですよね。それは、そうですね。恋愛をするにせよ、しないにせよ。

深井 なかなかね、ここで結論出すのは難しい問題ではあるのでね。本当。

寺嶋 人それぞれですからね。あと、出した結論を公表しないといけないのか?表に出てる仕事をしてる以上…っていうのも、ちょっと荷が重い。

深井 ま、「結婚しました」とかね、「彼氏できました」ってことを公にしなきゃいけないかっていうとね、 それも非常にプライバシーに関わることですから。プライベートに関わることなんでね、それを公表しなきゃいけないとまでは思わないですけど。

寺嶋 じゃあ、今アイドルの話をしてきたから、そして私がアイドルだから、「でも…」とか「とはいえ…」みたいになっちゃうんですけど、「職場恋愛禁止」って成立するんですか?普通の会社でよくあるじゃないですか(※偏見)。「同じ部署で職場恋愛してると、片っぽが飛ばされちゃうから、他の営業所に行かされちゃうから内緒にしようね」、みたいな。

深井 職場恋愛禁止って昔はあったかもしれないですけど、今はあんまり聞かないし、それやったらもう僕は完全にアウトだと思う。

寺嶋 そうなんだ。

深井 さすがにね。

寺嶋 そうですよね、うん。

深井 さすがに職場恋愛禁止はアウトじゃないかなって思いますけど。

寺嶋 それが例えば明文化されてなくて、でも発覚したことによってお仕事がしづらいように配置換えされちゃうとかも、(違法だと)主張していける?

深井 その配置替えが、ほんとにその職場恋愛をしたことだということが証明できたら、もうそれはアウトになるんじゃないのかなと思いますけれども、それって結構難しい。

寺嶋 難しいですね。

深井 なかなかね、 会社がどういう理由、どういう動機でそういう人事異動したのかってのは、結構証明するの難しいですよ、正直。

寺嶋 そうなんだ、じゃあ何かこう、ペナルティー的な感じで異動させられちゃったなって自分は思っても、恋愛に限らず、なんかこう、「上司に何かを主張したら左遷された」とかも含めて、それを証明するのって難しい…?

深井 そうですね、「そういう理由で自分は飛ばされたんです」とかね、「自分仕事外されたんです」と、「上司に意見したから飛ばされたんです」とかね、 言ってくる労働者の方結構いるんですけど、本当にそうかどうかを証明するのって、実は結構難しくて。

寺嶋 そうなんだ。

深井 そんなこと会社はちゃんと言ったりしませんから。

寺嶋 そうですよね、「能力的にあなたはここが合ってると思ったんで」って言われちゃったら、そうだってことを証明するのってなかなか難しいので…

深井 結構大変ですよ、それを証明するのは。

寺嶋 ふーーーーーーーん(°ω°`)
というわけで、じゃ、今日の話をまとめると?

深井 なかなかね、難しい話で、それぞれの立場でそれぞれの意見あるのはわかるんですが、私個人の、法律家としての意見を言うと、違約金を定めたりとか、それを解雇の理由にしたりするような恋愛禁止条項の使い方もしくは定め方というのは、それは違法で無効かなという風に思っております。ですので、そういった処分ですとか、違約金の請求というのは、それは法的には無効だと、違法だということになるかなと思うんですが。じゃあ、その恋愛禁止条項自体のね、恋愛禁止のルール自体の、 その一定の合理性自体はあるのかなとは思っていて、アイドルがそういう、特に異性との関係性で、恋愛禁止っていうルールを守っている、もしくは恋愛禁止っていうことを公言しているアイドルグループの方が、好感度と言いますかね、そういうのがあること自体はもうやむを得ないのかなと。で、ファンの人もその方が喜ぶということからすると、それを一定の価値としてグループが定める、事務所が定めるということ自体のメリットは一応あるのかなと思っていますので。あとはね、最後はもうそのアイドル自身の、恋愛する権利というものと、その一定のメリットというものを、どっちが価値があるものなのかということを考えても、アイドル自身が、各自がね、判断していくしかないのかなと いう風に思っております。

寺嶋 「もう一律でみんななんでもオッケーにしようよ」とか、そういう話でもないっていうことですよね。自分で決めなきゃいけないんだな、結局ねえ。いやはや。

というわけで、今日のテーマは「アイドルと禁止事項の話」でした。ここまで聞いていただいて、この番組で取り上げてもらいたい相談がある場合は匿名でも構いません。深井先生にDMをしてみてください。また、「この番組内では公開されたくないけど相談したいです」っていう深井先生への依頼も、DMから大丈夫だそうですので、アイドルの皆さん、是非よろしくお願いします。

深井 はい。

寺嶋 万が一、ゆっふぃーに何か話をしたいという場合は、infoからメールでご連絡ください。この番組でお話したことは後日noteで公開予定なので、そちらにコメントをいただくのも嬉しいです。

で、この番組のご感想などは「#アイドルと法律」でぜひツイートしてください。よろしくお願いします。

深井 お願いします。

寺嶋 それでは、次回のテーマは「アイドルと契約期間の話」です。次回もどうぞお楽しみに。ここまでのお相手は、ゆっふぃーこと、寺嶋由芙と、

深井 弁護士の深井剛志でした。

深井・寺嶋 ありがとうございました〜。



以下、有料エリアでは、深井先生からの提言と、収録中なんとなく歯切れが悪くなってしまったゆっふぃーの自己分析が読めます(2106字)。併せてお楽しみください!

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