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12/十二のクリエイティブとかブランディングの話

12/十二のブランディング/クリエイティブのプランです。初期資料ですが、今回、ブランディング/クリエイティブを担当してくれてるbroomさんの許可も頂いて、そのままアップしてます。(broomさんの紹介は後ほど)

クリエイティブやブランディングの組み立ては、普通説明しちゃダメなものなんでしよんうが(しかも、まだ発売もされてない!!)、今回は色んな経緯もあり、オープンにして行こうと考えました。その辺りのことは、こちらのエントリーを参考にして下さい。

「12/十二」というシャンプーは、開発者Tのとにかく良いシャンプーを作りたいんだ、という想いがカタチになったものです。

その話はこちらの記事も参考に頂けると何となく理解できるかと思います。

とにかくTは、化粧品が好きなんですね。経歴上、ヘアケア関連の仕事に長く関わってたこともあり、特にシャンプーやコンディショナーには思い入れが強いんです。

このシャンプー。とりあえず、開発者の名前を取って、TGシャンプーと呼んでたわけですが(サンプル配布した時は、TGシャンプーで薬務申請もしてます)、いよいよ処方も固まってきて、モニター結果もかなり良好ということで、商品化に向けて動き出したわけです。

最初は作り込み過ぎない方がいいんじゃないかと考えてた

実は僕は最初この製品は、あまり商品としての作り込みをしすぎない方がいいんじゃないかなと考えてました。

ブランドとして、ある特定のターゲットを狙って、しっかりクリエイティブを整えて、そう言うことより、Tの開発者としての想いみたいなものをそのまま伝えることと、とにかく使ってもらうこと、それが大事なんじゃないかと考えてたのです。 

なので、無料でもいいので、髪に悩みを抱えてる、一度使ってみたい、という方にはまず使ってもらって、納得したら購入してもらうというスタイルを取れないかと考えてました。

サンプル配布するのにも、薬務申請は必要で、それには名前がいるということで、間に合わせで「TGシャンプー(コンディショナー)」としましたが、これはこれでいいんじゃないかなとも思ってました。

そして、当面は自社ネット直販のみでの販売にすることに決めてました。

この製品はとにかく人を選ぶのです。モニターアンケートの結果も、その感想はかなりハッキリ分かれてました。良い評価をしてくれた人は、こんなシャンプーは初めてだ、髪が劇的に良くなった、いつ発売される? 今すぐ欲しい、自分は合わなかったけど、彼女が使ったら無茶苦茶感動してた、このシャンプー使ってると、周りの友達にも髪がキレイになったと言われた、、、、などなど、本当にどこかの通販番組のヤラセかと思うぐらいに喜びの声や感動の声が届くのです。

一方で、合わない人もまたいて、そういう人たちは、全然ダメ、髪がぺたんこになった、重すぎる、泡立ちが悪すぎる、、、、 モニター募集時の煽りで期待が高まり過ぎたこともあるのかもしれないですが、とにかく評価はかなりハッキリ分かれました。

これは店頭などではなかなか売りにくい商品じゃないかと思いました。まず、使ってもらう、サンプルなどを試してもらうところから、自分に合うか合わないかを判断してもらわないといけないと思ったわけです。

お店で展開する場合でも、まずそういう体験のステップが先に踏めるようなところでの展開に絞ろうと。そんな風に考えていました。

しかし、一方で、人を選ぶとはゆえ、これほど人を熱狂させる、感動してくれるシャンプーもそうはないし、その良さはきちんと伝わってほしいなぁという想いもありました。

なんだかんだ人は見た目の情報にも左右されます。知覚品質と言えばいいのか、よく分からないですが、使い勝手やデザインや、世界観や、そういった製品を取り巻く諸々のものトータルで、そのモノの良さへの実感はより大きくなるものじゃないでしょうか。

クリエイティブや、ブランドの組み立てをなおざりにすることで、もっと伝わったはずのことやものが伝わらないというのは、それはそれでせっかく開発した製品にも失礼です。

ということもあり、いつもこの手のものの相談に気軽に乗ってもらってるbroomの井本くんにチャットワークでメッセージを送ってみたんです。

井本くん、ほぼ即答で、組み立てを考えてみます、という返事でした。

● broom(株式会社broom : www.broom-studio.com)
● プロダクトデザインとブランディングの会社
● 井本 : broom代表 / デザイナー

脱線.1 broom井本くんとの出会い

broomの井本くんとの最初の出会いは、井本くんが会社サイトの問い合わせフォームからメールを送ってきてくれたところからのスタートです。言ってみれば、営業メールみたいなものですが、それが全然営業メールっぽくなかったんです。ポートフォリオをつけてきてくれてたんですが、それがすごく面白かった。なので、東京出張の時に一度会いましょうということにしました。

こんなこと言うと営業メールいっぱい来そうですが、どこの会社にも同じことフォーマットで一部だけ変えて送ってるんだろうなということが丸わかりの問い合わせメールには多分反応することはないと思います。

初めてお会いした時、井本くんはSOMALIのリニューアルプランやら、re:koro(りころ)の展開プランやら、自身が考える新しいプロダクトやら、すごい提案を一杯持ってきてくれたんですね。それのどれもすごく良かったんです。その瞬間から、なんとかこの人と一緒に仕事したいなぁと思って、そこからは最初は無理矢理部分的なデザインの仕事とかをお願いしていった感じでしょうか。

脱線2.クラフトマンシップシリーズのお話

クラフトマンシップシリーズの立ち上げが、プロダクトとしては最初から関与してもらった一番最初かなと思います。クラフトマンシップシリーズに関しては、ほとんどが井本くんの企画、設計と言っても過言ではありません。

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こちらから伝えたのは、うちの中に、こういうニッチな洗剤がいくつかある。どれもいいものばかりだけど、単品単品はニッチすぎるし、そのままではネットでもなかなか売れない。なんとかできないかな? そんな感じの相談をしたと思います。

そこから、商品の選定から、ブランドのコンセプトやら、デザインやら、コピーやら、もうほぼ全ての領域を手がけてもらいました。

お陰でクラフトマンシップシリーズは、非常に好調な立ち上がりを見せてくれまして、今や自社ブランドでの主力ブランドになりつつある感じです。

クラフトマンシップシリーズの組み立てって、すごく簡単・単純そうに見えて、めちゃよく出来てると思うんですね。

 単に、シンプルで洗練されたデザインで統一させただけやんと言う人もいるんですが、木村石鹸の商品群とか、その特性、今後の展開など、色んなことをきちんと考えて組み立てられてて、僕らの要望に対して、こういう答えの作り方というのは、答えを見た後は簡単そうだけど、何もない状態から答えを導き出すのはかなり大変なことだったと思います。

開発者Tくんの考える「TGシャンプー」とは?

井本くんにはまずTGシャンプーがどんなものかという説明や、その時点で僕が考えていた上記で書いていたようなことを伝え、現物も送り、使ってもらって組み立てを考えてもらいました。

井本くんは、まずは「TGシャンプーを一言で言うと?」と、このプロジェクトメンバーが参加してるチャットワークのグループに投げかけてくれたわけです。

そこでの開発者T君の回答がこれです。この回答、僕的にもかなり嬉しい内容だったんですね。そのまま原文で載せておきます。

注:「シャンコン」とは、今開発している「シャンプー」と「コンディショナー」のこと。両方合わせて「シャンコン」と表現してます。

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◆本気で髪を良くしたくて作ったシャンコン

このシャンコンは髪のうるおい成分を補い、ダメージヘアを補修することに特化した処方を組んでいます。そのため、うるおい成分が一般的なシャンプーと比べ極端に多く、ある意味偏った処方のシャンプーとなっています。

また、すごく傷んだ髪に使うことを念頭に、洗い時、洗い流し時、乾燥後、すべての段階において可能な限りキシミや引っ掛かりを抑えて指通り良くシャンコンを楽しんでもらえるように処方を組んでいます。

また、シャンコンは毎日続けるものです。毎日の補修で髪を良くしていくので、高すぎては意味がないため、なるべく手の届く範囲に収まるように処方を組んでいます。いろんな観点からとにかく本気で髪の状態を良くするようにこだわって作っています。

◆開発者の夢を詰め込んだシャンコン

私は化粧品を作るのがとても好きです。化粧品にはまだまだ可能性があると思っています。すごく肌や髪の状態を良くしたり、驚くほどテクスチャーがよかったり、特定のお悩みをうまく解決できたり、そんな化粧品の持てる可能性を可能な限り引き出した化粧品、(なおかつできる限りなるべく手の届く現実的なお値段で)が作りたいと思っています。

そういう、個人的な開発者の趣味や夢を詰め込んだ化粧品を検討試作中ですが、TGシャンコンはそんな検討からようやく形になりかけた結果の一つだと思っています。

◆木村石鹸という環境だからこそ作れるシャンコン

開発者の夢を詰め込んだシャンコン、につながりますが、木村石鹸は開発者がそういった理想を追求した処方開発ができる環境だと思っています。

自社ブランドだからこそできる贅沢な処方、あと開発の自由度の高さ、原料原価や尖った処方を組むことに文句を言われない開発環境、IGA等の設備投資、あと趣味に走った商品開発に時間を割けるような余裕のある仕事量、TGシャンプーのように開発からの提案処方の商品化に積極的な社風、などなど、木村石鹸だからこそ開発できたシャンコンだと思います。

(※ボールド強調は、僕が勝手にしてます)

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僕らの開発スタイルから生まれたTGシャンプー

僕らは商品を開発する時に、企画や戦略をきちんと練ってスタートさせることはほとんどありません。(自社ブランドの一番最初「SOMALI」は、最初ということもあり、かなり考えて考えて企画したものですが、今はそういう開発はほばありません)

スタートは作りたいという想いを持った人がやればいいということになってます。職種的に営業や開発が主体になることが普通ですが、別に誰がやってはいけないという決まりがあるわけでもないです。こんな商品を作りたい、こういうものを自分は欲しいんだ、というところから商品の開発は始まればいいと思ってます。

すごく自由度が高くて羨ましいと思う方もいらっしゃるでしょうが、実際、何か商品を企画して形にしていくというのは、かなりのパワーがかかります。複数部門、協力パートナーとの調整しかり、やることは多岐に渡ります。起案者はそれらに責任を持たなくてはなりません。

となると、実際、自らが起案者になって商品を作ろうとする人というのは意外と少ないものです。そういう人が増えればいいなと思ってるので、とにかく開発スタートの敷居は低ければ低いほど良いと思ってて、細かいルールをなくしたわけです。

上記の開発者の声がまさにそうで、このシャンプーは、開発者自身の夢が詰まったものです。でも、別に開発者自身がダメージヘアで悩んでるわけでもないし、くせ毛で苦しんでるわけでもなく、純粋に開発者としての矜持というか、どこまでのものが出来るか挑戦しようという感じで開発されたものです。

多分、従来のメーカーの開発プロセスや、あるいはOEMでの開発では、こういうシャンプーはおそらく生みだすことは難しかったのではないかと思います。

シャンプーのストーリーやポジションとかで考えるとちょっと異質というか、従来のシャンプーとはかなりキャラクターの違いを感じます。

そして、TGシャンプーから12/十二へ

さて、ここから井本くんが組み立ててくれたのが、こういうものです。井本くんにも許可を貰って、提案してくれた資料をそのまま掲載しておきます。

その資料はこんな感じの整理から始まるものでした。

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この提案書を見た瞬間、あー、TGシャンプーより「12/十二」にしたい、このコンセプトで行きたいなと思いました。即決でした。若干、コピー周りで細かく調整したところはありますが、コンセプトはほぼそのまま行こうと決めたました。

一番のポイントは、このシャンプーのキャラクターをコピーがすごくうまく表現できてるなと思ったことです。そして、このようなクリエイティブで表現されると、このシャンプーの良さはより一層伝わるなぁという感触を得たんです。

ステートメントの「正直な処方で、髪を本気で良くする」というのも気にいりましたし、タグラインの「Engineering for Hair care」も、今回の商品にはぴったりな気がしました。

「正直な処方」とは、一般の人達が持たれてる先入観や誤解に乗っかって、良さそうに見える/売りやすい、アピールしやすい要素を処方に組み込むのではなく、純粋に傷んだ髪に良いものを、という開発者の想いがしっかり組み込まれてるなと感じました。

正直な処方とは~たとえば、シリコンの話

その辺りの話は、別でまた詳しく説明しますが、ひとつ例を挙げるなら「シリコン」です。なぜか、シャンプー界では、この近年シリコンが悪者にされています。シリコンは頭皮をコーティングして頭皮の皮膚呼吸を妨げるとか、シリコンは毛穴に詰まって、それが抜け毛の原因になるとか、とにかくシリコンに纏わる悪い話、イメージがまことしやかに囁かれてます。

そして、多くのメーカーもまたシリコンを配合していないこと、「ノンシリコン」を謳ったシャンプーやコンディショナー、リンス等を、ものすごく安全でナチュラルなものかのように喧伝してます。

が、実は、シリコンについて語られる悪い噂は、ほぼデマです。他の様々な成分に比べ、シリコンの安全性はかなり高いと言えます。(シリコンの種類にも色々あるので、精緻にどれがどうでという詳細までの説明は省きますが)

シリコンが髪に悪影響を与えるということは、ほぼなく、むしろシリコンを配合しないほうがデメリットは大きかったりします。

しかも、メーカー側からすると、シリコンという原料は、基本、他の原料に較べて高額な原料になるので、配合しなくて済むのであれば、原価を抑えるのにはありがたいわけです。

ちなみに、ノンシリコンシャンプーと、いかにもシリコンを使わないのが凄いことかのように宣伝されてますが、そもそもシャンプーにはシリコーンや油などの成分は基本的には不要です。むしろ、ノンシリコンシャンプーが当たり前だったりします。それを、メーカーはさも特殊な技術でシリコーンを抜いて、髪にいいシャンプーかのように売ってたりするわけです。

シリコンを使うのは、主にコンディショナーやリンスの方です。こっちは、ノンシリコンにすると、髪の仕上がりにはかなり影響がでてしまいます。なので、いかにしてシリコン無しで、シリコン配合と同じような仕上がりにするかというのは、メーカーが苦心してるところだとは思います。

今時要素一切なしのシャンプーだし....

今、シャンプーを新たに発売するならば、マーケティング側面から安易に組み立てるなら、流行りの「ボタニカル」的な要素、植物由来成分●%以上とか、天然精油のブレンドによる自然な香りとか、そういう要素は欲しいなと思うでしょうし、できれば「石油系界面活性剤」「石油由来防腐剤」「旧表示指定成分」などは無配合にして、ナチュラルなポジションを目指すべきかなと考えるかもしれません。当然、「ノンシリコン」もそういう要素の一つとして欠かせないでしょう。

12/十二には、こういった今時のシャンプー要素はほとんどありません。なので分かりやすく良さを表現できる素材がとても少ないのです。木村石鹸の商品を愛用して頂いてる方には、ナチュラル志向の方も沢山いらっしゃって、多くの方は、上記のようなシリコンの話はご存じありません。きちんと説明しないと、誤解されてしまう可能性があります。

なかなか発売前から難しそうな課題を抱えてるわけですが、そうなると、やはりTGシャンプー/あまり作り込まない方向だと、最初からものすごく狭い人だけに絞ってしまうような気もします。

12/十二のほうが、広い人に伝える力を持ってますし、興味を持って貰えそうです。シャンプーボトルに、開発者の想いやプロセスを記載した包装紙を使う、みたいなアイディアも凄くいいなと思いました。また、単純に、メーカーの僕らが信じてる価値を、自信もって伝えていこうとするときに、やっぱりかっこいい方がいいなとも思うわけです。ミーハーですが。

というようなことで、12/十二で、行こうと即決しました。

が、実は、デザイン面に関しては、そう一筋縄ではいかないのがこの世界です。容器やらラベルやら、今もその辺りは調整の真っ最中です。 次回以降では、その辺の話にも触れられたらと考えています。

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木村石鹸の代表取締役社長。1995年大学時代の仲間数名とIT会社。以来18年間、商品開発やマーケティングなどを担当。2013年6月にIT会社取締役を退任し、家業である木村石鹸工業株式会社へ。2016年9月、4代目社長に就任。2020年はシャンプー「12/JU-NI」を発売します。

この記事が入っているマガジン

12/JU-NI(シャンプー&コンディショナー)
12/JU-NI(シャンプー&コンディショナー)
  • 15本

木村石鹸初のヘアケアブランド「12/JU-NI(ジューニ)」について。

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