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人生の本当の豊かさについて考えさせられる物語〜「モモ」ブックレビュー

3歳男女双子子育て中のゆちです!

有名な児童文学、ミヒャエル・エンデ作「モモ」を読んだのでブックレビューを書いていきたいと思います。

この物語は、現代社会の行き過ぎた資本主義社会に警鐘を鳴らす風刺画的な作品として有名です。

ミヒャエル・エンデ 他1名「モモ」/Amazon.co.jp

■「モモの世界」と「現代社会」

物語では、モモの暮らす人間の社会が「灰色の男たち(時間どろぼう)」に知らぬ間に支配され、全ての大人たちは人生の時間を奪われ、お金のために効率や生産性だけを最重視し、馬車馬のように働き続ける生活をするような世界になってしまいます。
そして、モモが「灰色の男たち(時間どろぼう)」から人間に時間を取り戻し、物語はハッピーエンドを迎えます。

本の最後に、このお話は「過去のものかもしれないし、未来のものでもあるかもしれない」と、締めくくられます。

確かに現代社会でも、生活にお金がまず第一に優先され、時間を惜しんでガムシャラに働く人はたくさんいます。

ただ、現代社会の人達の中にも、仕事にやりがいや生きがいを求めて働く人もたくさんいます。
やりがいなどで仕事が出来ている人はとても幸せな働き方だと思うので、仕事=悪いものでは決してない、ですよね。

はたや、働きたくなくても働かなければ生きていけない。子供に十分な教育を受けさせてあげたい。その為には自分の時間を売ってクタクタになるまで働くしかない、というのが現代社会で現実にあり、そういうケースが実にとても多い、ということが問題なのだと思います。

この「働くしかない」という状況になってしまうのは、現代社会の構造のあり方に原因があるように思いますし、
現代の世界に「灰色の男たち(時間どろぼう)」がもし本当に潜んでいるのなら、彼らはモモのいた時代より更に知恵をつけ、人間を操っているのかもしれません。

そして、この加速する資本主義がもたらす大量生産・大量廃棄の社会は、地球という器も受け止める容量が限界のところまできているとも言われています。

そんな背景もあり、最近では「経済成長」=「幸せ」とは限らない、と考える人も増えてきています。

ですが、世界全体はまだ経済成長を信じて、突き進んでいっているように思えます。

〜ミヒャエル・エンデ作「モモ」より〜
じぶんたちの生活が日ごとにまずしくなり、日ごとに画一的になり、日ごとに冷たくなっていることを、だれひとり認めようとはしませんでした。”


■現代社会の「高価なおもちゃ」

また、物語の中で、高価なおもちゃを指して説明している文章があったのですが、わたしはその文章がとても印象に残りました。

〜ミヒャエル・エンデ作「モモ」より〜
“こういうものは こまかなところまで いたれりつくせりに完成されているため、子どもがじぶんで空想を働かせる余地がまったくないことです。
ですから子どもたちはなん時間もじっとすわったきり、ガタガタ、ギーギー、ブンブンとせわしなく動きまくるおもちゃのとりこになって、それでいてほんとうはたいくつして、ながめてばかりいますーーーけれど頭のほうはからっぽで、ちっとも働いていないのです。”

物語では、子供達が親に買い与えられた高価なおもちゃを指していますが、これを現代社会に置き換えれば、テレビやスマホなどがそれにあたるのではないでしょうか?

わたし達はとても便利な生活をしているけれど、
「お金や時間や高価なもの」を便利に使っているつもりでも、「お金や時間や高価なもの」に私たちが使われているのかもしれないーーー。
そして、気がつけば、頭がカラッポの感覚の大人や子供も少なくないのかもーーー。

そんなドキっとするようなことを考えさせられました。

〜ミヒャエル・エンデ作「モモ」より〜
時間とはすなわち生活なのです。そして生活とは、人間の心の中にあるものなのです。
人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそってなくなってしまうのです
。”

経済社会の中で生きるわたし達には、日々いろいろな誘惑がたくさんありますが、

人生における幸せとは、
お金をたくさん得ることでしょうか?
流行りのものを追いかけ続け、便利なものに囲まれて生活することでしょうか?

人生において、本当の豊かさや幸せとは何なのか 〜
「モモ」はそんなことを改めてじっくり考えさせられる一冊です。


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最後までお読み下さりありがとうございました✨

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