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#小説
女王殺しと沼地の怪奇
「皆が貴女を何も出来ない小娘だと思っている、だから―」
ソフィアは寝台に横たわる病身の母がその言葉の続きを発するのを待ったが、それは永遠に叶わなかった。動かない母の瞳にはまだソフィアの姿が映っていたが、もう何も見えてはいない。
翌日、母の遺体は金糸の刺繍が施された白布に包まれ、マーシュ家所有の鬱蒼とした森の中にある沼地に沈められた。
親族と弔問客が見守る中、深緑の水面は天鵞絨がたわむよう
デス・オブ・オブライエン
「その血のために誰も涙を流さない悪人の魂」
闇夜の柳の木の下で、悪魔は言った。
「再び君が娘と会うには、そんな魂が必要だ」
悪魔は、最初に会ったときは黒犬、その次は黒髪の女、そして今は痩せた男の姿でオブライエンの前にいる。
「本当にその...魂、があれば、ソフィアは蘇るんだな?」
オブライエンは悪魔の目をじっと見た。姿は違えど、その燃えるような赤い瞳は常に同じだ。
「君が己の手で
ハント・イズ・カミング
灰色の雲間から光がさし、雨に濡れた緑豊かな大地を照らしたかと思うと、光を追ように赤黒い触腕が蠢きながら降りてきた。
「さっき食ったツナサンド吐きそう」
電磁装甲の頭部ハッチを開き、数キロ先の光景を見て俺はぼやいた。
『やめろ汚い』
神経質な黒弦からの無線だ。
『あら、この光景より汚らわしいものって?』
イーディスは何かキメているのかやたらご機嫌に話す。
『お喋りを止め
長いナイチンゲールの夜
ナイチンゲールの鳴き声がした。
俺は女から身を離し飛び起きた。
「聞こえたか?」
「何が?」
「鳥の鳴き声!ナイチンゲールだ!!」
「何にも聞こえなかったわよ」
俺はベッドからまろび降りると鞄の中のナイチンゲールの剥製を震える手で取りだし、凝視した。そして大急ぎで服を着た。
「何...これからだって時に」
女が呻く。名前...アイラ?アイリーン?声をかけた時酔っていたのでよく覚えてな
That Elf said "Marry me !!"
32歳の誕生日に、駅の改札口でエルフの待ち伏せにあい求婚された。
エルフが言うことには、自分はエルフの国の王族で、成人年齢の1000歳の誕生日になったら伴侶と見初めた相手に求婚しにいく習わしらしい。
エルフは端整な顔の美青年で、夜の海に融ける月の光のように美しい白金の長髪だった。
が、朝のミーティングに遅れそうな私はイライラしており、たちの悪いYouTuberか何かだろうと考え「