見出し画像

「経営戦略に資するIPランドスケープ実践ガイドブック」について見て気づきをコメント④

はじめに


特許庁が発行し、全国47都道府県に設置している「知財総合支援窓口」や各経済産業局等の「知的財産室」において、6月下旬以降に無料で冊子版を配布されるというこの「経営戦略に資するIPランドスケープ実践ガイドブック」だが、内容とても素晴らしいが、レビューしている方がいなかったので、企業でIPランドスケープ業務を行っている身(中小企業ではない)としてどう感じるか、良かった点をコメントできればと思います。

すべて以下から引用します。

https://www.jpo.go.jp/support/example/ip-landscape-guide/document/index/all_guidebook.pdf

以下のnoteからの続きです。


今回は分析手法項目最後にします。

各分析手法の手順 領域の評価

領域ごとの知財リスク・知財参入障壁の評価
「知財リスクの領域ごとの評価においては、各領域での出願数やプレイヤー数、係争の発生数等のパラメー タを整理し、評価・マップ化を行うことが有効である」と書いてあり、絵で整理している様子です。

「Step1. 領域のセグメント分ける」から入るのは、何か違うような気もします。知財リスクを考えていくには、まず事業戦略を落とし込む必要があるからです。
セグメントを分けるためにも、事業現状を把握し、取り組むべき、(人、時間、金)を投資する優先度・順番を整理、把握した上で始まるものだと思います。
こちらの資料はそれが省略されているのかと思いますが、、、(目的が荒くなるのはしょうがないですが、当事者(実践者・依頼者)は荒いと困るやつですね。。。)

さらに言うと、「Step3. セグメントごとのリスク評価」で止めてはいけないと思います。その後のアクションまで、仮説、検証の方策まで考えるべきです。
I
Pランドスケープでよく起こる、
「結果、こんな分析結果になりました!(以上)」
「で?(とても参考になりました!)」

が発生するだろう。
ここまでリスクを抽出すれば、現状とのギャップを明確にし、必要な方策・戦略を考えることはできるだろう。もちろん、難しい内容であれば、弁理士さんや社内プロフェッショナルに頼めばいいと思います。


各分析手法の手順 企業抽出・評価①

対象技術領域における有望企業の抽出・整理

こちらは特筆したいことはありません。ただ、何を評価基準にするか、目的を明確化した上で進めないと、手戻り工数がかかってしまうかなと思います。
なんとなく進めるのはやめて、目的から評価軸を明確化、依頼者との共通理解を得てすすめることを心がけましょう。

自社類似技術を有する企業の抽出・整理

こちらは、「各分析手法の手順 俯瞰・可視化」が本目的を含有しているので、特筆することはありません。
自社と他社の分析は大事ですよね。ここで挙がっていた、引用、被引用マップはさまざまな可能性を見出すことができます。

例えば、(ここでは、審査官引用と明細書内の引用を分けて考えていません。)

  • (被引用が多いと、)市場的に注目されている(=自社技術が参考にされている)

  • 自社技術が違う分野に活用されている(技術活用の遷移がわかる)

  • 競合を認識できる

  • 引用している特許をみると自社技術との差異がわかりやすい(進歩性の観点から)

などわかるかと思います。


各分析手法の手順 企業抽出・評価②

企業の知財力評価
こちらは、、、知財力ってなんだよ。。。と思いました。よくよくみると優位性が、、、と書かれていたので、特許、商標、、など総合的な知的財産の優位性のことを指すようです。
これがまた、優位性を決めるのが難しいので、簡単に言えないような、、、

■各領域単位を、知財の数や知財の質(被引用数、金銭的価値等)から評価を行い、各企業がどの領域に知財上の優位性を有するかを評価する。

この評価がむずかしいんよ〜。。。


各分析手法の手順 潜在的要素の顕在化

引用情報を用いた技術展開可能性の分析
こちらは上(自社類似技術を有する企業の抽出・整理)で書いたので割愛。
技術の棚卸しも上記の知財力評価と同様に難しい内容になっている。
IPC、CPC、FI、Fターム
などで分類して、整理をするのも必要だが、自社技術の核、その優位性を言語化するのも必要だと思います。
例えば、
「フィルム技術」ではなく、
「フィルムの延伸時にゴミや気泡がはいらないような熱加工技術」と言うレベル感にブレイクダウンする方がのちの展開に役にたつと思っています。また、その自社技術が市場だとどのような立ち位置か?をさらに特許で深堀した方がよいとも考えています。

顧 客 ニ ー ズ・ 技 術 開 発 ニ ー ズ の 特 定
顧客・開発ニーズを探索する方法としては、自社製品に関する記載がある出願や論文情報をもとに、ポテ ンシャル顧客や製品が解決する課題を整理する方法が有効である」とのことですが、下図のように、「情報整理の結果から想定されるニーズ」の想定することがまた難しい(ので、簡単に言えないよ。。。)と思っています。


この想定は、結局は市場情報、特許情報など、俯瞰的にみた結果の仮説であり、その生み出し方こそアイディエーションであると思います。このことについてはいつかブログを書きたいなと思っています。

各分析手法の手順 キーパーソンの特定

主要発明者の特定
こちらは発明者を見ると、いろいろわかりますよねと言った分析でしょうか。
例えば、キーマン(推進者、意思決定社)をみつけることで、他社の開発戦略や発明者企業の得意分野がわかります。

また、私の知り合いでは、発明者分析を自社に向けて行い、IPランドスケープを進める相方(キーマン)を探す、ということもできるとのことでした。




以上、今回はここまで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?