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「経営戦略に資するIPランドスケープ実践ガイドブック」について見て気づきをコメント③

はじめに

特許庁が発行し、全国47都道府県に設置している「知財総合支援窓口」や各経済産業局等の「知的財産室」において、6月下旬以降に無料で冊子版を配布されるというこの「経営戦略に資するIPランドスケープ実践ガイドブック」だが、内容とても素晴らしいが、レビューしている方がいなかったので、企業でIPランドスケープ業務を行っている身(中小企業ではない)としてどう感じるか、良かった点をコメントできればと思います。

すべて以下から引用します。

https://www.jpo.go.jp/support/example/ip-landscape-guide/document/index/all_guidebook.pdf

以下のnoteからの続きです。


各分析手法の手順 俯瞰・可視化

自社・他社の技術比較 p10

こちらで紹介してあるのは、いわゆる「コンパラマップ」です。私もよく活用しています。やはり、技術が「ある・ない」や「相性がよい・悪い」では、使いやすいなと思います。もちろん特許内容を見る必要はありますが。
これに書いてあるように、パートナリングによるシナジーを可視化するためによく使われます。

こちらは例えば、エクセルでコンパラマップを作る方法紹介されてあります。


シナジー分析はコンパラマップだけではなく、例えばp8にも紹介されています。テキストマイニング、文書のベクトルを二次元に転写することで、記載内容が類似すれば、近づくようなマップでも自社の技術のポジショニングを理解すると共に、比較企業との技術の離れ(類似度)具合をマクロ的に理解することもできます。

各分析手法の手順 時系列整理

出願数に基づく技術開発状況の時系列分析 p11

紹介されているこの時系列を加えたマップは一番、分析対象の市場、事業戦略などの変異点がわかりやすいものなのではないかと思います。
私も事業部の方と他社の戦略を議論するときは、こちらを多用します。もちろん、バブルチャートによって、4次元的な表現も可能です。


パテントマップEXZでは、「着目項目」を活用することで、4次元表現が可能である。(例えば、こちらであれば、縦軸:企業名、横軸:技術分類、バブルサイズ:出願数、バブルの内訳(色表現):出願年代割合)

参考:


出願数等に基づくプレイヤーの事業・知財活動変遷の分析

出願状況と事業の動きを特許と市場情報から読み取って、時系列でならべ、競合などの対象企業の動きを把握するためによく使われます。
ただ、これもなかなか難しく、割と技量がいる「活動」だと思っています。なかなかやれてと言われても難しいのではないでしょうか。
また、知財部一人でできる範囲もあれば、事業部門との連携(ヒアリング)を通して、やっと行えることもあったりと、対象市場、技術によってバラバラであり、情報体制がしっかりしている必要もあったりと組織体制も求められると思っています。

ただ、難しく、不完全なものをつくってしまったと思いがちですが、不完全だとしても、事業戦略を考える上での叩き台として使うのも重要だったりするので、まずやることが知財戦略を作る上でとても重要だと思います。

以上、今回はここまで。

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