マガジン

  • 夢みるキッチン

    暮らしの中で感じたことを少しづつ書いています。

最近の記事

noteだいぶご無沙汰しちゃってたなと思っていちばん新しい投稿見たら3月でびっくりしちゃいました。4、5月なにしてたかな……思い出しながらまたいろいろ書いていきます。 不在にしてた間も読んでくれてた方がいらっしゃったようでとてもうれしいです。 ありがとうございます!

    • 手紙

      週末、手紙を書いた。 どこにいてもリアルタイムでつながれる時代に、その中でも特によく連絡をとる友人に向けて、手紙を出した。 小学生の時の趣味が「手紙」だった。と言っても特に手紙を出す相手がいたわけでもなく、レターセットとか切手とか、手紙にまつわる品々を集めて悦に入っていた。 きっかけは木下綾乃さんの著書を読んだこと。海外の郵便局で買ったエアメールのレターセット、オーダーメイドのシーリングスタンプ、旅先から出す手紙の消印。取り上げられる全てが一等美しいものに思えて、誕生日

      • いろのふく

        緑のカーディガンを買ってみた。今年のトレンドカラーだという、彩度がちょっと低くて明るい緑色。 うまく着れなくてもいいようにと思ってすごく安くなっていたのを買ったんだけど、ボタンも半透明の緑色なところとか、袖が少しぽわんとなってるところとかが可愛くてなかなか気に入っている。もう少し暖かくなったらデニムと合わせてさらりと1枚で着てみたい。 そもそも色のついた服が苦手で、モノトーンですら黒の強さに気後れして気づくと白かベージュばかり手にとってしまう。 たまに素敵な色の服を手に

        • 懐かしい人

          懐かしい人から連絡がきた。 当時は特別に仲が良かったというわけでもないし、頻繁に連絡も取ってなかったけどひょんなことからまた交流ができてた人。 切れてしまったと思っていた縁がまた繋がって、だからと言って今も特別に仲が良くなったわけでもない。 でもひとたび話せば当時と同じように、もしくはそれ以上に楽しいから不思議だ。 自分でも忘れていた"わたし"を覚えてくれているのはちょっと居心地が悪いけど、きっとお互い様なんだろう。 今という時を一緒に過ごしてる感覚はなくて、たま

        noteだいぶご無沙汰しちゃってたなと思っていちばん新しい投稿見たら3月でびっくりしちゃいました。4、5月なにしてたかな……思い出しながらまたいろいろ書いていきます。 不在にしてた間も読んでくれてた方がいらっしゃったようでとてもうれしいです。 ありがとうございます!

        マガジン

        • 夢みるキッチン
          13本

        記事

          春眠暁を覚えず

          春眠暁を覚えず。孟浩然の"春暁"の一節だ。 中学の国語の授業ではじめて目にした漢文。先生の解説を聞いて「春の眠気、わかるなぁ」とクラス一同うなづいたのをよく覚えている。 漢字が規則正しく並ぶ字面の美しさ、レ点や返り点を使ってまるでパズルのように読み解いていく面白さにすっかり夢中になった。 そのあと教科書は "春望(杜甫)" "黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る(李白)" と続く。 "春暁"では春の眠たいあたたかさを、"春望"では煙った霧の向こうに傘を被り船を漕ぐ人影を、"黄

          春眠暁を覚えず

          おもてなされること

          普段前もって予定を立てる彼女にしてはめずらしく、前日の夜に「明日遊びに来ない?」と連絡があった。日中予定のあったわたしは「夕方からなら、ぜひ。」と返事をし、夕飯時にお家にお邪魔することになった。 デパ地下でなにかお惣菜を買っていくね、と伝えて食べものの調達に向かう。彼女とは学生時代からもう何度も食事を共にしているので、互いの好みそうなものはだいたいわかる。美味しそうなあれこれを持って電車を降りたら、ちょうど迎えに来てくれた彼女と落ち合うことができた。 最近1人暮ら

          おもてなされること

          おはようのごほうび

          今朝は少し時間に余裕があったので、軽く朝ごはんを食べて出かけた。 わたしは基本的に朝食をとらない。 物心ついたときから朝が弱く、起きれない→うまく動けない→時間がない→食べない……の連鎖の中で生きてきた。 中学生くらいまでは誰も彼もが「朝食はきちんと食べなきゃダメ」と言うので、朝食をとる時間がない自分、時間があっても手をつけずに出かけてしまう自分はダメなんだ……と劣等感すら抱いていたが、高校生の時に「自分は朝食を食べなくていい種類の人間だ」と結論付けて以来、むしろ積極的

          おはようのごほうび

          SWIMMERとの美しい思い出、あるいは壮大なファンレター

          (2017年に惜しまれつつ終了したファンシー雑貨ブランドSWIMMERの、2020年復活を祝して) 拝啓 わたしがあなたにはじめて出会ったのは、中学3年生の夏休みのことでした。 それはあなたに出会う時期としては、一般的に少し遅い時期だったと言えるでしょう。でもわたしはちょうどその時にあなたと出会えたこと、そこになにかしらの意味を感じずにはいられません。 受験生だったわたしは夏休みを利用して、友人と数週間の夏期講習を受けていました。最寄りの駅から電車で何個か行

          SWIMMERとの美しい思い出、あるいは壮大なファンレター

          喫茶Tにまつわる回想

          記憶の中にあるいちばん古い喫茶店について思い出してみる。 駅前にある大きなスーパー、その横の細い路地のちょうど真ん中辺りに、喫茶Tへと続く階段がある。看板はぼんやり光る緑色。路地と階段の間、ちょうど何の邪魔にもならない絶妙なポジションを陣取っていた。 入り口のドアにはレースのカーテン。ドアの窓をふんわりと覆うように内側から取り付けてある。 カラカラと軽い音のベルと共に店内に入ると、銀のトレーを持ったウエイトレスさんが出迎えてくれる。黒いワンピースに白いレースのエプ

          喫茶Tにまつわる回想

          世界でいちばん遠い人

          インスタグラムで見つけたかわいい春コスメを買おうと勇んでデパートにやってきたのに、用意してきたお金ぴったりの雑貨とお菓子を手に帰ってきてしまった。 コスメ、アクセサリー、お洋服。みんなキラキラしていて可愛らしくてだいすきだ。 でも、どんなに可愛いものでも自分が身につけた途端に自分と一体化して見えなくなって、よくわからなくなってしまう。輪郭がぼやけていく感覚。 自分が今どんな顔をしてどんな姿形をしているのか、ほんとのところは自分ではわからないのがとても不思議だと思う

          世界でいちばん遠い人

          すてきな傘がほしい

          すてきな傘を1本持っていたらどれほど幸せだろうかと、もう長いこと思い続けている。 それを思い出すのは決まって雨の日の玄関、いつどこで手に入れたのかわからないビニール傘を乱雑に掴んで出かける際のこと。 ビニール越しに透ける、雨粒に濡れたいつもの風景もさほど悪くはない。悪くはないけど、あの玄関でのもやっとした気持ちがどうにもひっかかって、でもなぜだか雨上がりとともにすっかり忘れてしまうのだ。そのくりかえし。 すてきな傘のことを考える。まだ見ぬわたしのすてきな傘。 雨雲

          すてきな傘がほしい

          気軽なおくりもの

          プレゼント選びが苦手だ、と思っていた。特別な日をきちんと祝いたくて、贈る相手のことを考えてあれこれ選ぼうとするけど、なんだかどれもピンとこなくて自信を持ってプレゼントを用意できたことがない。 ある日ふと、旅行のおみやげは悩まないなということに気づいた。その土地所縁のものや、食べものなら日持ちするものなど、条件が定まっているからかもしれない。 そして恐らくいちばん大きな理由が「自分本位で渡せるから」なんだと思う。自分が行きたくて行った旅行先の、自分がいいと思ったものを渡す

          気軽なおくりもの

          インスタント・グラデーション

          高校生になって友達と一緒にはじめてインスタント麺を作ったとき「意外と面倒くさいな……」と思ったのをよく覚えている。 小さい袋が何個も入っていて、ものによって入れる順番も違うし、待ち時間やお湯を捨てるか捨てないか、それぞれきちんと手順を踏まないと美味しく食べることができない厳密さに、なんだか騙されたような気持ちになったのだ。 1人暮らしをはじめて自炊を続けていると、少しづつ献立や調理の手順が簡略化されていく。そうするうちに、いちおう料理だけどこれはもうインスタント麺と同じ

          インスタント・グラデーション

          冬をじょうずに

          生まれてこの方、寒さには滅法弱い。 実家のアルバムに収められた写真の中で一際目を引くのが、生まれたばかりのわたしが毛布やらなんやらでぐるぐる巻きにされて寝ている写真。しかめつらで眠るわたしの顔は、ミルクでもオムツでもなく寒さに苦言を呈しているようで笑えてしまう。 昔から寒さが苦手で時には怒りすら覚えるわたしが北海道で暮らしはじめて早8年。しんと静まった刺すような寒さと雪が延々と続く長い冬に、毎年頭を抱えて恨み言を吐くしかなかったけど、今年のわたしは一味違う。なんてったって冬

          冬をじょうずに