冬をじょうずに
生まれてこの方、寒さには滅法弱い。
実家のアルバムに収められた写真の中で一際目を引くのが、生まれたばかりのわたしが毛布やらなんやらでぐるぐる巻きにされて寝ている写真。しかめつらで眠るわたしの顔は、ミルクでもオムツでもなく寒さに苦言を呈しているようで笑えてしまう。
昔から寒さが苦手で時には怒りすら覚えるわたしが北海道で暮らしはじめて早8年。しんと静まった刺すような寒さと雪が延々と続く長い冬に、毎年頭を抱えて恨み言を吐くしかなかったけど、今年のわたしは一味違う。なんてったって冬をじょうずに過ごす術を手にしたのだから。
夜、眠り仕度を済ませてベッドに入る。中はすでに湯たんぽで暖められているとよい。ベッドから壁に沿って置いたクッションに背を預けて、温かい飲み物も用意する。お茶でもスープでもいいんだけど、最近は果実酒をいくつか買ってきて日替わりでお湯割りにして飲んでいる。
ぬくいあたたかさとやわらかさに包まれて、あとは映画を観るもよし、本や雑誌を読むもよし。おやすみ前の幸せな時間のできあがり。
これといって珍しいことをしてる訳じゃないけど、寒さを凌ぐためだけじゃないあたたまり方は、いたく幸福な気持ちにしてくれる。最近は暖かい日も増えて、冬の終わりが見えはじめたことを少し残念に思う自分すらいるから驚きだ。
まだまだ寒さの続く3月、冬をもっとじょうずに過ごす方法をぎりぎりまで探してみたい。
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