見出し画像

続・ライカM11モノクロームとアラサー会社員

ライカM11モノクローム(以下:M11M)は、名前の通りモノクロ専用カメラである。素通しのファインダーから見る世界は色に溢れている。それでも、撮れる写真は白か黒にしかならない。どれだけビビットな風景の中にいても。見る人によっては退屈だろう。色彩がないことで、広角レンズを使っても情報量は少なくなる気がする。しかし、同時に某芸能人が言う「白って200色あんねん」を思い起こすような世界でもあるのだ。色がないからこそ見えてくる色と、光と影がある。こんな(ありきたりな)ポエティックな文章を記したくなるほどに。



理由(裏?)

結果的にはシンプルに「欲しかったから」でしかない。ライカQ2を購入した時と同じだ。カラー機でありモノクロ写真も撮れるM11を選択しなかった理由は、M11Mのほうが「黒くてかっこいい」という厨二病的な理由である。それこそQ2のアイコニックな赤いロゴを隠しているように、何の情報も存在していないカメラが欲しかった。ちなみに、10月の終わりにM11-Pが発売されたが現在の選択に後悔はしていない。Pモデルはトップカバー面に筆記体で“Leica”の刻印がされているが、個人的にはそれさえも望まない。黒ければ黒いほど良い。

もう1点は「Q2を手放す気にならない」ということ。M11Mを買った後も、相変わらず好きなカメラだ。加えて、Mシステムのカメラたちは防塵・防滴への備えがないと思われる。その点、限度はあれど雨の中も使えるQシリーズは写真を毎日撮ることを目標にしている自分には助かる(Q2はIP52)。これらのことから「カラーはQ2でモノクロは専用機という棲み分けにしよう」と至った。その後にM11Mが入院したので、そういう意味でも下取りに出さなくて良かったと思う。QはMへの入り口と言うが、Mから見たQというのも実に愛おしい。

「ステルス性というより厨二感」
「目立たない部分に刻印が」

理由(表?)

もう少し叙情的な理由を述べるならば、Q2を通して初めてライカというカメラに触れた。その際に1番感動したのが《黒があまりにも黒》で出てくるところだ。それはカラーでもモノクロ(モード)でも。他社カメラも設定や編集をすればそうなるのだろうけれど、パッと撮影してプレビューした瞬間の驚きは今も覚えている。むしろそこからモノクロ写真に興味が出て、コンパクトフィルムカメラにXP2(イルフォード)やTRI-X(コダック)を詰め始めた。だが、多くの方が直面しているようにフィルムは高騰している。それであれば、という選択肢がここだった。

序文の通り、どれだけビビットな風景を撮ってもモノクロにしかならない。例えば透き通るスープの塩ラーメンがあったとして、それは決して味が薄いというわけではない。そこに素材の旨みがあり、麺の香りと喉越しがある。これ以上、足し引きする必要がないのだ。当然、私ことアラサー会社員にモノクロの“なんたるか”なんて分からない。ただ、シンプルゆえに浮き上がる強さのようなものは感じている。金額面にしても機能面にしても「??」となるが、自分の“なんか好き”に賭けてみた。もし気に入らなければ売却してしまえば良い、と思いながら(小声)。

Leica M11 Monochrom + ELMARIT-M f2.8/28mm ASPH.
Leica M11 Monochrom + ELMARIT-M f2.8/28mm ASPH.

これまで

この記事が参加している募集

#カメラのたのしみ方

55,155件

#この経験に学べ

54,636件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?