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南の島での記録とその概要

海外出張をしていた頃、必ず持参していたのは“写ルンです”だった(仕事しろ)。加えて、キヤノンのコンデジ“SX280HS”もカバンに忍ばせて。そこから数年が過ぎて、新たな感染症のパンデミックや大国の戦争などと世界はかなり変わってしまった。私ことアラサー会社員もすっかり30代に突入し、それまで興味のなかった《大きいカメラ》を買うまでに至る。リモートワークが普及して、海外へ行く機会も無くなった。そんな昨年末、久しぶりに日本を離れて南の島へ向かった。


序章《南行き》

寒い国に行く装備は大袈裟になりがちなのだが、南行きは最低限の着替えだけでもどうにかなる。そんな考えから、今回は機内持ち込みの荷物のみで挑むという縛りを勝手に設けた。選択したカメラはライカM11モノクローム(以下:M11M)、コダック・ファンセーバー、キヤノンSX280HSの3台。綺麗な海を撮るにあたり、ライカQ2を持っていこうと思ったが「そんな(綺麗な)写真は自分以外の誰かが存分に撮っているはず」という天邪鬼(性格の悪さとも)が出現した。

旅行雑誌のような写真も憧れるが、私にはそうした技術や才能はない。というか、写真(作品)を見て感じる美しさと自らが表現したい美しさは異なっているのだと思う。また、《カラーはフィルムカメラで撮る》というマイブームもある。それも、コンパクトフィルムカメラか使い捨てのフィルムカメラで。ぼんやりとした画質の写真は、記憶の曖昧さに近い気がしている(意見には個人差があります)。これらの理由と、荷物サイズの制限もあるのでQ2はお留守番となった。

「早朝の成田空港」
「乗った飛行機・・ではない」
「南行き」
「雲の上へ」

生活とサイズ

「キヤノンのコンデジはカラーで撮れるじゃないか!」と思った方もいらっしゃると思うが(いない)、そこは安心していただきたい。この旅で使うことは1度もなかった。想定していた用途はテーブルフォトが中心だったが、隠されたカメラ“iPhone15 Pro”が私には適任過ぎたのだ。飛行機内で何かの写真を撮ろうとした時も、オーバーヘッドの荷物棚にあるカバンからカメラを出す気にはならなかった。それをせずとも、音楽を再生させている手元のiPhoneでパシャリと。

味気がないといえばそう。ただ、現在のところ私のなかでコンデジまたはiPhoneで撮る写真は似た属性にあるのだと思う。写真なのだけれど、自身の行動ログに近い。リコーのGRシリーズが欲しいと思いつつ躊躇しているのは、こうした現在のマインドのせいである。都合よく解釈すれば、持ち運びやすいカメラでの写真は自分のリアル(生活感)に最も近いのかもしれない。答えが出ない問いはさておいて、滞在中は天気が崩れることもなく絶好のバカンス日和であった。

「南国の入り口(または出口)」
「ここをキャンプ地とする」
「ワイルド」
「続・ワイルド」
「泊まったホテル・・ではない」

内省と解毒

透き通った海に太陽の光が差す。それがキラキラと反射して揺れている。そこでシャッターを押しても、私の場合は黒か白にしかならない。M11Mというモノクローム専用機をメインに据えているから当然だ。しかし、3ヶ月ほど使ってきて飽きたことはない。インスタグラムは墨汁を溢したのかと思うほどに黒くなり1ミリも“映え”ないが、むしろ心地良くなってきた。昨今の混沌した世において、「はい」か「いいえ」で物事を判断することは難しくなっている気がする。

そうして目の前の事物が複雑になっても、M11Mでは黒か白にしか写らない。私は色や情報からの“解毒”を欲しているのだろうか。ホテル近くのスーパーで白ワインを買い、よく冷やしてから夜のベランダで独り飲んだ。南のモワッとした温度は落ち着き、良い風が吹く。辺りに高層ビルはなく、忙しないクラクションなども聞こえない。少し見上げれば星空が広がっていた。美味しい物も食べたけれど、最も記憶に残っているのはその夜のこと。写真は残っていない。

「ビーチに続く道」
「少年と犬」
「ビーチ」
「ビーチ(カラー版)」
「南の暮らし」
「放棄」
「夜の実弾射撃場」
「グアム」
「ベランダから」

これまで

付録

離発着で成田空港を利用したが、ターミナルの中にあったカメラのキタムラさんがとても充実していて驚いた。特に写ルンですなどを含めたフィルムの取り扱い。ファンセーバーは事前に購入して来たけれど、仮に買い忘れて来ても問題なさそう。一方、手荷物検査時のX線がフィルムに影響を与える?という話は有名だ。正直、私はたいして気にしていないのだがコダックアラリスのプロフィルムについては“フィルム検査案内ラベル”なるものが用意されているようだった。

「続・ベランダから」


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