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『ゴジラ -1.0/C』 と 『オッペンハイマー』とモノクローム

『ゴジラ -1.0/C』

昨年11月に見た映画『ゴジラ -1.0』。そのバージョン違い?の『ゴジラ -1.0 / C』が、2024年1月12日より公開された。どのような違いがあるかというと、全モノクロに編集されているのだ。タイトルの“-1.0 / C”は“マイナスカラー”と読むらしい。ストーリーはカラー版と同じだが、山崎貴監督曰く《目指したのはモノクロ写真の名匠達が撮ったような画調》に調整したとのこと。なかなかモノクロ映画(しかも新作)を映画館で見るという機会はないので、私ことアラサー会社員は早速チケットを購入して向かった。

先の通りストーリーも同じであるし、批評等はいつもの如く割愛とさせていただく。その上で私の感想を言うと、モノクロのほうが好きだった。そこには2度目の鑑賞(あらすじを把握している)であることやモノクロに対する新鮮味という点が加算されているとは思う。同時に、鑑賞後に「疲れた」と感じた作品でもあった。色がない部分を補おうと、画面の端端まで見て情報を得ようとしたのだろう。別の言い方では、カラー版より作品に“没入”していた。恐怖はより恐ろしく、ドラマはよりドラマチックに見える。

印象的だったのは、部屋の中にいる典子(演:浜辺美波さん)の顔に陽がさす場面。肌の質感まで分かるような美しさで、監督が言うモノクロ写真らしさを感じた。また、カメラの“ピン送り”がはっきりと分かって面白い。カラー版でも送りは同じはずだが、色情報がある分なのか脳はあまり気になっていないのだと思う(目では見ている)。やはり没入していたのか、前後の人物に交互に送られるピントが際立って見えたのだ。ちなみに、昨年末には『シン・ゴジラ』のモノクロ版も公開されたが見ることは叶わず。


『オッペンハイマー』

モノクロ映画という点で気になっている作品として、クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』がある。テーマがテーマだけに日本での手配(配給)が行われていない状態だったが、昨年末にようやく配給元が決定した。私も日本に住む端くれとして内容に興味があるが、同じぐらい撮影に使われたカメラ機材が気になっている。それは“次世代IMAXフィルムカメラ”というもので65mm(65/70mm)の専用フィルムを使うそうだ。ノーラン監督のこだわりは以前から記事などで見ていたがここまでとは。

この本編の一部?で、モノクロのシーンがあるようだ。しかし、次世代IMAXフィルムカメラ用の黒白フィルムは存在していなかったらしい。当然、監督が諦めて他のフォーマットを使うわけはなくコダックが専用の黒白フィルムを設えたとのこと。安易に比較することは出来ないがモノクロ写真をイメージした『ゴジラ -1.0 / C』と、特注の黒白フィルムで撮影した『オッペンハイマー』はどれほど違いがあるのか劇場の大画面で体感したい。また「日本映画でも導入すれば良いのでは?」と思うが、そうもいかなそう。

ざっくり言うと、専用カメラやフィルムにお金が掛かりすぎるようだ。悩みのサイズは違えど、フィルムカメラを愛用している方々と同じ。専門家ではないので詳しくは知らないが『ストレンジャー・シングス(シーズン4)』の1話の制作費が39億円と記事で読んだことがある。国内では昨年話題になった『VIVANT』が1話1億円という“噂”で、何となく日本の厳しさを感じた。さて、話が激しくズレたが今年も映画館でモノクロ映画(一部だけど)を見ることが出来そうだ。こういう流れが増えることを密かに願っている。


これまで

付録

映画ではないが、日本のバンド“おとぎ話”の『COSMOS』という曲のミュージックビデオも全編モノクロで作られている。出演しているのは現在のNHK朝ドラ『ブギウギ』に主演されている趣里さん。曲はもちろん最高なのだが、モノクロの世界で映し出される趣里さんの表情が本当に素敵だ。何度見ても胸がギュッとなる。これがカラーだったら、見方はまた違うのだと思う。ようこそ、こちらへ(謎の誘惑)。

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