夏の終わりに冴えない男子
夏の夕暮れ時、母校の近所を車で通るとダンボールをたくさん抱えた冴えない男子高校生3人組をみかけた。彼らは限界ギリギリまでぺったんこになった茶色い厚紙を抱えて、暑すぎる西日のなか必死でチャリンコをこぎ、汗だくで高校へ戻っていった。
この景色もまた夏の終わり。
夏休みが明けると待ち構えるビッグイベント、文化祭。1年はクラス展示、2年はダンスパフォーマンス、3年は演劇だった。
本番に向けて、そろそろ練習が始まるころ。大道具、小道具をクラスのみんなで作った。冴えない男子の精鋭たちは、近くのドラッグストアやスーパーへダンボールや各種材料集めに奔走する。
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平日の午後、学校の外に出る背徳感を味わう。
暇そうなやつ誘ってダンボールを集めにチャリにまたがる。ダンボール集めの印籠をかざしながら、正門から堂々と出ていく。
とっとと仕事を終わらせて、余った時間で友達とコンビニに寄り、暇をつぶす。残暑真っ只中、ガリガリ君コーラ味が五臓六腑にしみわたる。180cm超えの友人は、ガツンとミカンのうまさをやたらと語っている。ボクは「また今度買ってみるわ〜」と聞き流す。
そろそろ帰らな怒られるかな〜くらいの時間になったので、ダンボールをどっこらしょして教室に戻る。
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帰ってからはひたすら大道具と小道具作り。
みんなでくっちゃべりながら折り紙をペタペタ貼ったり、スプレーかけたり、絵の具塗ったりする。みんなで何かを作る時間、ボクは結構好きだった。
3年の演劇では、オペラ座の怪人をした。
シャンデリアが落下するシーンのために、直径2mくらいの壊れたシャンデリアを段ボールや木材で作った。角度とか壊れ具合とかを調整したり、シャンデリアの豪華さをスプレーや金の折り紙やらで貼り合わせて工夫しながら作ったっけ。
今見たら、しょぼいんやろうけど、当時は当時なりに頑張って作った記憶がある。
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こんだけセンチメンタルに浸っても、色気のある思い出がない。
文化祭のときに告白されたとか
彼女と一緒にあれやこれやとか
好きな人がいてあんなことやこんなこととかさ
全くもって華々しい思い出がない。しかしながら、陰キャラなりに健全に文化祭を楽しんだ記憶があるだけでもよしとする。
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いや。
やっぱ少し泣こかな。
・こぼれ話
色気のない高校生活でした。
ま。これはこれで楽しかったんですけどね。
なんていうのは強がりでしかないのかもしれない。
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プチ母校自慢をひとつ。
うちの水泳部、ウォーターボーイズしてました。全国大会にも出るほどの実力でドラマさながらのクオリティ。文化祭の公演は、プールが満員になります。それはそれは、青春ど真ん中してました。迫力もあるし、会場全体が楽しい雰囲気。今でもいい思い出です。ありがとう水泳部。
【懐かしの全国中継↓】
15分ほどの長尺。母校の特集。
20年ほど前の映像。泣けます。
懐かしの先生、友達も映ってて嬉しい気持ち。
【最近のやつ】
といっても10年ほど前のん。
文化祭の公演は、整理券が配られてました。
・最後に一曲
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