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破壊的イノベーションにどう備えるか【イノベーションのジレンマ 3】

「イノベーションのジレンマ」連載も今日でラストです。お付き合い頂いてる方ありがとうございます。

さて、2日間にわたって、破壊的イノベーションが教育にも起こりうるんじゃないかということをお話ししてきました。今日は、現在の学校教育が破壊的イノベーションにどう備えるか、個人でできることは何かを書いていきます。

破壊的イノベーションの波を乗り越えた企業は、どう対応したのか?

簡単に言うと、
破壊的技術を持った製品を開発するプロジェクトを、それを必要とする顧客と結びつけることでお金を集める。
そのプロジェクトを組織の「当たり前」に組み込まずに、小さな組織とし、お金のバックアップだけをする。
その小さな組織の中で、失敗を経験しながら、ちょっとした成功体験を積み重ねいくこと。その失敗の中で新しい市場を作っていくことをした。

これができたか、どうかで破壊的イノベーションの対応の可否が決まります。

特に、計画の立て方に違いがあります。

「実行のための計画」と「学習のための計画」

です。
持続的イノベーションの場合には、しっかりと計画をしたうえで行動を起こすことが成功に繋がるため、「実行のための計画」をたてることになります。しかし、破壊的イノベーションの場合、市場がどこにあるのかが全くわからないため、とにかく行動し、その中で結果を分析して、学習を繰り返す必要があります。つまり、「学習のための計画」が必要となります。どのような情報が必要かをまず行動して結果分析、異なる情報を行動して結果分析、その学習していく過程をデザインすることが求められます。

余談ですが、このごろ日本で成功している人たち、ホリエモンやキンコン西野、箕輪さんなどはとにかく行動することを語っています。学習のための計画はまさに彼らがいま実践していることに重なっています。この本が書かれたのは今から20年ほど前です。その頃から、そんなことを言っていたクレイトン・クリステンセンは天才なんだなと改めて思いました。

さて、話を戻しましょう。
今見てきたようなことを踏まえて、今の学校教育は対応しようとするでしょうか。おそらく「NO」です。現在の学校教育に破壊的イノベーションに対応する余裕はありません。例えば、不登校になってしまった子でもクラス以外なら登校できるかもしれませんが、その子のためだけにクラス以外の新しい居場所を提供できません。1人1人の進路に合うように、N高が行なっているような個別最適化されたカリキュラムも組めません。対応するには忙しすぎる現状があるからです。(ま、自分たちで自分たちの首絞めているだけなんですけどね)

できるのは、「学力向上のための授業改善」だけです。

現在の学校教育が担っている「学力向上のための授業改善」という持続的技術は、おそらく広域通信制や大手予備校の「授業の動画配信」の破壊的技術にとってかわられるでしょう。だって、わかりやすいし、何度でも巻き戻せるわけですからね。

じゃあ、どうすればいいのか?
「ブルーオーシャン戦略」を読んだので、そこで語ろうと思っていたのですが市場の境界を引き直し、新たな需要を掘り起こす必要があると思います。学校教育に求められる需要は「リアルなつながり」だと思います。「授業動画の配信」に唯一できないことは、同じ空間で過ごすことです。5Gが入ってきて、擬似的に繋がることはより簡単に、快適になるでしょう。でも、「リアルなつながり」は作ることができません。

「リアルなつながり」が何の役に立つのか、どのような意味があるのかは明言できません。みなさんそれぞれ考えてみてください。でも、そこに重きを置くというか、それを武器にしていける学校じゃないと生き残れないはずです。

個人にできることは、「リアルなつながり」でしかできないことを考えて、現在の学校教育のシステムに取り入れるしかありません。例えば、授業を一方向的な講義形式ではなく、「リアルなつながり」を重視したグループワークや『学び合い』をするなどです。学力向上のためだけでなく。

それが、僕たち教員が変わっていく方向だと思うし、生き残る方法だと思います。

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