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【随筆】外邪と憂鬱

 近頃夕日がすごく綺麗だ。


 美しい季節であると同時に、人々が不安定になる季節でもある。僕の周りでも、何だか変な諍いを睛にする機会が増えた。怒っている人が多いのだ。もちろん僕も例外ではない。何だか憂鬱なのだ。
(更に、僕は諍いを睛にするだけでも…何なら怒った人が背後に立つだけでも、自分が攻撃されたわけでもないのにものすごく疲れる体質なので、今の状況はなかなか辛い。世間ではHSPという言葉が流行っているけど、僕も似たような性質は持っているのかもしれない)


 メンタルと身体を切り離さず総合的に見る視点を持つ前は、僕の場合、所謂「記念日効果」だと思っていた。記念日というと素敵な思い出を想起するけどもそうではなく、PTSDなんかの原因となった出来事があった日が近くなると、毎年自動的にトラウマ反応が出てくることなんかを指す。僕も個人的に、秋にはよくない思い出が多い。


 確かに記念日効果は完全に否定できない。けど、これだけ多くの人が不安定になるのは、やっぱり所謂「季節の変わり目」の不安定な天候が悪さをしている面もあるのかな、と本格的に感じ始めたのはごく最近のこと。


 ポリヴェーガル理論では、交感神経と2つの迷走神経のバランスが大切なのだけど、こうした自律神経は外部刺激や内部刺激を受け取って臓器やホルモンバランスなどの身体機能を調整する役目なので、当然気候の変動に影響されやすい。


 また、こういう寒暖差や気圧の変化は、東洋医学的な「外邪」と呼べる存在なのではないかと思う(専門ではないのであくまで感覚的な話)。


 そう思うと、少し周りや自分のことを許せそうな気がしてくる。誰かが悪いのではなく、「外邪」が悪さをして、みんなが神経系を不安定にさせているだけなのだと考えると、「みんな被害者。みんな大変なんだな」という結論になる。台風のときに、みんな避難所に集まっているような感覚に近い。

 
 まぁ、そうはいっても憂鬱は去ってくれない。腹側迷走神経がうまく働かず、僕の表情筋は固まったままだ。乗り切るしかないと思うので、温かくして、よく寝て、争いを回避しつつ、夕日を眺めながらこの季節が去るのを待とうと思う。

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