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ジェンダー・イデオロギーが奪う親権


これはジェンダー・イデオロギーであり、およそ意味のある経験的証拠に裏打ちされたものではないのだが、人は皆、「自分だけが知っている」、形容し難いジェンダー・アイデンティティーを持っているという信念だ。

このアイデンティティには観察可能な目印がなく、不変である(もちろん、気が変わって自分が「ジェンダー・フルイド」であることを明らかにする瞬間までは)。

このアイデンティティは、「ジェンダーを肯定するケア」を実践するほぼすべての人々によって推進され、改ざん不可能であり、法制度に対するその支配力はますます強まっている。

https://www.city-journal.org/child-custody-gender-gauntlet

子どもの性別違和や性別移行手術に賛同しない親が、法的に親権を剥奪される」という深刻な問題が全米で増えている。


ある日突然トランスジェンダーを自称し性別違和を訴える子供たちと、その保護者たちの葛藤を、「Irreversible Damage:The Transgender Craze Seducing Our Daughters(不可逆的な傷:我々の娘たちを惑わせるトランスジェンダーの熱狂)」で見事に表面化させた、アビゲイル・シュライアー

彼女の緻密で真摯なジャーナリズムについては、何度か記事にしてきた。


三年間に渡り未成年のトランスジェンダーを抱える家族たちに取材を続けるシュライアーが最新のレポートで紹介しているのは、ある父親の闘争記だ。

離婚調停中のパワーカップルが、突如としてトランスジェンダーをカムアウトした息子の親権を巡って、法廷で争う。父親は将来的に永久不妊の恐れがある性別移行治療に反対する。しかし、既にジェンダー・イデオロギーに染まっている判事や息子の国選弁護士によって、父親は親権をむしり取られてしまう。


今回の記事では、シンクタンクManhattan Instituteのマガジン『City Journal』にシュライアーが寄稿した、「親権にまつわるジェンダー地獄:トランスジェンダーのイデオロギーはすでに裁判制度を強力に支配しており、親子はその代償を払わされている(Child Custody’s Gender Gauntlet: Transgender ideology has already achieved a powerful hold on our court system—and parents and children are paying the price)」を参照しながら、事件をまとめた。


1:事件の経緯


大まかな経緯はこういったものだ;

テッド・フダコ(Ted Hudacko)氏は、2019年から2年もの間、自称トランスジェンダーの息子ドリュー(仮名・17歳)に会えていない。息子の体に不可逆のダメージを与えかねない「性別適合手術」に疑問を唱えたために、判事が彼の親権を拒否したのだ。

ある日、別居中であった妻が当時15歳だった息子を連れてフダコ氏の前に現れ、「彼はトランスジェンダーである」と告げると、話し合いの場もないまま再び氏の元を去り、後に離婚を申請した。夫妻には息子が二人いたが、どちらも別居中の間からずっと母親がそばに置いていた。

フダコ氏はそれ以来、息子のジェンダーセラピーや医師による診察など、あらゆる医療行為の蚊帳の外にされ、2020年の夏には監督人なしに息子に会うことすらできなくなってしまう。医療費は全て彼が負担するにも関わらずである。

そして2021年10月、フダコ氏は医療保険明細に記載された20万9820.34ドルの請求額に愕然とした。母親側の弁護士に尋ねると、数カ月前にドリューの腕に第二次性徴を抑止するインプラントが挿入され、ドリューは異性ホルモンの投与を開始したという。フダコ氏への事前相談は全くないままだった。

さらにフダコ氏から共同親権を剥奪したジョニ・ヒラモト(Joni Hiramoto)判事は、熱心なジェンダー思想の推進者であり、トランスジェンダーの子供がいることがSNSの投稿より発覚する。

時にビキニやボンテージ衣装に身を包んだトランスジェンダー女性の我が子のSNSに、ヒラモト判事はコメント欄で声援を送り、カムアウトから一年目を祝っていた。そしてちょうど同じ頃、ヒラモト判事はフダコ氏の親権を制限する申し渡しをしていたのだ。

ヒラモト判事にトランスジェンダーの子供がいることは、倫理的な観点からもフダコ氏側に開示されるべきで、彼女は本件から手を引くべきだったのではないだろうか。しかしもう遅い。フダコ氏の親権は奪われた後だ。

ヒラモト判事のFacebookより



2:息子の変化


カリフォルニアに住むフダコ氏はApple社のエンジニアで、妻のクリスティンは投資会社BlackRockの重役というパワーカップルだった。

フダコ氏は、特に敬虔なエピスコパリアンでもなく、政治的にはリバタリアンだという。スポーツ万能で、健康にも気を配り、二人の息子たちの教育にも熱心だった。ドリューが所属する野球チームのコーチをしたり、ピアニストのドリューのために音楽院を探したり。


フダコ氏曰く、2019年8月に彼のオフィスに別居中の妻がやってきて、「ドリューはトランスジェンダーだ」と突きつけるまで、息子が性別を変えたがっているという「兆候」は全くなかったと主張している。

「9年生の1学期の一番最後に、ドリューは黒い爪のマニキュアをしていて、太ももの半分くらいまであるような丈の長い、黒いセーターを着ていたことがありました。遠くから見るとスカートみたいだと思ったけど、ゴスファッションか何かの流行りなんだろうなと。思い当たるのはそれだけです」とフダコ氏は首を傾げる。


結婚生活の中でクリスティンはしばらくよそよそしい時があったが、それには理由があり、後の別居につながることとなる。

2018年に、クリスティンの妹が別居中の夫に職場で23回も刺されたのだ。夫は当時、精神科の入院施設を退院したばかりだった。

そこでクリスティンは翌年、妹の回復に付き添い、また事件について証言するためにベイエリアからニューヨーク州北部を頻繁に行き来するようになった。2019年6月と7月に行われる刑事裁判の判決の間も、クリスティンは二人の息子たちと一緒に東海岸に留まっていた。

2019年8月のある土曜日、息子たちとニューヨークから戻って間もなく、クリスティンはフダコ氏の自宅オフィスに入ってきて、自分が去ることと、息子のドリューがトランスジェンダーであることの両方を告げた。

フダコ氏はそのとき怒りをあらわにしたことを認めている。

彼は、ニューヨークでの滞在中にクリスティンがドリューと話を打ち合わせたのだろうと推測した。Apple社の過酷なプロジェクトで疲れ切っていたフダコ氏は、少し眠った後でこの話をしたいと懇願したという。しかし、クリスティンは子供たちを連れて出ていってしまった。

フダコ氏によれば、専門家から、「息子さんが突然性別を変えたくなったのは、叔母の事件にまつわるトラウマが原因かもしれない」と指摘されたそうだが、確かなことは分からないと言う。息子や妻とろくに話もできなかったからだ。


3:息子のジェンダー治療


最初の危険な兆候は、息子がセラピストに会うとしたときだった。当時フダコ氏はセラピーに同意したものの、セラピストの素性について調べなかった—そしてそれを後悔している。

フダコ氏はそのセラピストと息子の三人で一度だけセッションをしたが、それきりセラピストと会うことはなかった。

その後、彼は息子の希望する性別移行治療について、そしてそれがすでに進行中であることを知らされる。


フダコ氏は、裁判所が彼の度重なる反論に耳を傾けなかったと憤る。

ドリューの性別についてオープンマインドでいたい気持ちはあれど、フダコ氏は「息子が医学的な移行を始めることは望まない」と、断固とした態度を持って判事と対峙した。

最後に息子に会ってからの312日間、フダコ氏は医療行為を伴う性別移行と性同一性障害について詳しく調べた。

彼は、第二次性徴抑制剤(思春期ブロッカー)が認知機能を損ない、骨密度を減少させる可能性を示唆する研究結果も考慮に入れてくれと、裁判所に懇願した。息子がエストロゲンとともに思春期ブロッカーを投与された場合、永久不妊の高いリスクがあることも知っていた。


しかし2020年8月、彼は親権を剥奪され、監督下にない限り、当時16歳だった息子に会うことはできなくなってしまう。

フダコ氏の同意に関わらず、彼は息子のあらゆる医療費を支払う責任も負う。

ようやく我が子の医療記録を閲覧できるようになったとき、フダコ氏は、National Center for Lesbian Rightsのアサーフ・オア(Asaf Orr)のようなLGBTQ権利団体の弁護士に、自分よりも発言力があったことを知る。

未成年トランスの親権問題・性別移行など多数の司法裁判を手がける活動家弁護士


「俺の子供の医療事情に赤の他人が首を突っ込んで、一体何をやっているんだ」と、フダコ氏は怒りを隠しきれなかったと言う。


そのジェンダー医療プロセスもゾッとするような「手軽さ」が垣間見える。

フダコ氏に取材し事件の経緯を報道したDailyMail紙を引用すると;

6月には、「チェックリスト完了」と医師が書いて、この未成年の息子は第二次性徴を抑止するインプラント治療を受けることを「許可」された。

8月、インプラントは彼の腕に挿入されるが、フダコ氏が見た11月の不穏なファイルには、医師が「患者はもう自殺願望はない」と記している。

「自殺願望があったのに、どうしてインプラント手術を受ける準備ができていたものか」とフダコ氏は火曜日、インプラントを強行した医師を問い詰めて言った。

また妻のクリスティンから、息子が精子のサンプルを貰って冷凍保存していることも聞いたという。

フダコ氏は、多くの人が過去に経験したように、自分の子供が性転換した後に考えを変えて元に性別に戻りたがっても、その時にはインプラントによって不妊になっていることを懸念している。

https://www.dailymail.co.uk/news/article-10489717/California-father-denied-custody-trans-son-wouldnt-consent-therapy.html

とある。

現在流行している、性同一性障害の未成年者を診断と治療の主導権を握る「肯定的(アファーミング)」アプローチは、セラピストとのセッションから性別移行手術までのプロセスが異常に早い。専門家が子供たちの主張する性自認に疑問を唱えたり、手術を少し待つように助言することは絶対禁忌だからだ。

本人の望む性別にハイハイと耳を傾け、チョンチョンとチェックリストを記入し、思春期ブロッカーは「やり直し」が効くから安全と、積極的に進めるのである。

この構造は、全米で前代未聞の死者数を出したオピオイド(麻薬性鎮痛薬)乱用問題と似ている。患者の訴える「痛み」を「肯定」することが最善の医療と銘打ち、問診もそこそこにオピオイドを処方し、荒稼ぎした医者は大勢いるのだ。

そしてティーンがこぞってテストステロン(通称T)を手に入れたがる今、ジェンダー医療は急成長を遂げている。


4:ありのままを受け入れよの問題


この日本でもジェンダー・アファーメーションなどと言われる「肯定」の絶対こそ、ジェンダー問題が非科学的でカルト的と批判される所以であり、それを「否定」したフダコ氏が親権をむしり取られた原因ではないだろうか。

「トランス女性は女性です」などのスローガンにも見られるが、トランスジェンダリズムは「わたしが男だと思うからわたしは男」とか「僕は女の子っぽいから女」と言うような、自認至上主義に集約される。

客観性がゼロなばかりか、ペニスをぶらさげていても当人が「わたしは女よ」と言い張れば、それを社会が歓迎し女として扱わねばならないという、偽善者によるまやかしのショウである。それを否定したり、疑問を唱えれば、たちまち「トランスフォビア」や「差別主義者」として批判されてしまう。

肯定・容認しか許されないのである。

(ここでの「トランスジェンダー」に性分化疾患やトランスセクシャルなどは含んでいない。)


このジェンダー肯定主義は、フダコ氏とヒラモト判事のやりとりでも重要視されているのがわかる。シュライアーの記事から一部抜粋する;

カリフォルニア州高等裁判所のジョニ・ヒラモト判事は、テッド・フダコ氏から息子のドリューに対する親権、そして息子の医学的な性別移行についての発言権を奪い去る前に、こう尋ねたという。「あなたの息子に医学的な精神疾患があり、自分をイギリスの女王だと信じていたとしたら、あなたは彼を愛しますか?」

裁判記録によると、フダコ氏は、「もちろんそうします」と答えている。「私はまた、彼に助けを得ようとするでしょう。」

ヒラモト判事は「その資格は理解できます」と答えた。そして「しかし、もしあなたが精神科医や心理学者から、『ドリューはとても傷つきやすく、自分がイギリスの女王ではないという考えを突きつけることは、精神衛生上とても有害だ』と言われたら、『OK、ドリュー、お前はイギリスの女王で、私は君を愛している。君は私の子どもだから頑張ってほしい。これからも心理学者に会ってくれ』と言えますか?そうできますか?」と尋ねた。

「はい」とフダコ氏は答えて、「時間がかかるかもしれないが、それは確かにプロセスの一部に思えます。」

「プロセスとは?」 ヒラモト判事は言った。「時間がかかりそうなこととは何ですか?あなたにとっては真実でないアイデンティティがドリューを占めている、という考えを受け入れることですか?」

「今、あなたが言ったアイデンティティというのはイギリスの女王でした」とフダコ氏は話し始めた。

「私は彼にそれを伝えて、状況的に彼を安心させるために肯定することはできます。しかし、客観的に見て彼はイギリスの女王ではなく、それは変わりません。この場合、セラピストでさえそれを知っているでしょう。」

https://www.city-journal.org/child-custody-gender-gauntlet

フダコ氏は、このやりとりを「罠にはまった気がした」と回想している。判事の意図するところも全く読めなかったという。

おそらくヒラモト判事は、イギリスの女王という極端な自認を例として持ち出すことで、フダコ氏が「そんなものは認めない」とか「頭がおかしい」などと言うことを期待したのではないか。それは直ちに息子を「肯定」しない、理解のない父親の証左になるからである。


ちなみにこれは日本の大手LGBTQサイトによるジェンダー・アファーメーションについての解説を一部抜粋したものだが、読めば日本も対岸の火事でないことがわかる;

ヘルスケアにおける「ジェンダー・アファーミング」モデルは、トランスジェンダーの人々が真実を語ることの認知に関わることです。不運にも、このケアへのアプローチは、全てのトランスジェンダー、とりわけ若い人々がすぐにホルモン療法や手術を急ぐことだと勝手に誤解されがちです。現実は、多くのトランスジェンダーが医療上の必要なヘルスケアへのアクセスに重大な障害があることをを報告しています。若いトランスジェンダーにとって、ジェンダー・アファーメーションは社会的な肯定(名前、プロナウン、体験など)、思春期以前の医療の介在が可能になることを意味します。

https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/glossary/sa/17.html

つまり、このサイト運営者の言わんとすることは;

① 医療現場におけるジェンダー・アファーミングでは、「患者の言うことが真実」である。

② しかしそれは必ずしも性急な性別移行の医療行為に直結しない(ドリューの件を見てもまさに直結しているわけだが、批判をかわすための予防線だろうか)。

③ 医療システムはトランスジェンダーにやさしくない。

④ 若いトランスジェンダーを「肯定」することで、思春期前から名前や代名詞を変えたりといった社会的な性別移行や医療行為が容易になる

というものであろう。


また日本にも「第二次性徴抑制剤(GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アゴニスト)は可逆性があり、安心して思春期を止めることができる。その間にゆっくり自身のジェンダーと向き合えばよい」とする専門家やジェンダー活動家はいる。

保護者が率先してジェンダーについて学び、子供の成長を見守りながらも、教育機関や医療施設に偏ったジェンダー思想が蔓延っていないか目を光らせる必要がある。


5:ジェンダー四面楚歌


自身にトランスジェンダーの子供がおり、公にジェンダー運動を支持している事実をヒラモト判事が隠していたことが、利益造反にあたるかどうかは立証しにくいと、シュライアーの記事にはある。

しかしフダコ氏の不運はヒラモト判事だけではなかった。ヒラモト判事が国選未成年者弁護人としてドリューのために選んだ人物も、「そちら側」だったのである。

以下、同記事より抜粋して訳す;

裁判資料には、フダコ氏が国選未成年者弁護人ダニエル・ハーキンズ(Daniel Harkins)と苦闘していたことが記されている。彼の悲劇は、カフカのようなものだ。

ハーキンズは二人の息子たちに会い、ドリューのセラピストと両親にインタビューし、UCSFベニオフ児童思春期性診療所のダイアン・エレンサフトと90分のインタビューを2回行った。ハーキンズはまた、フダコ氏が信頼を寄せていたトロントの心理学者で性同一性障害の専門家であるケン・ザッカー(Ken Zucker
)についても調査した。しかしハーキンズはザッカーとは話をしていない。

ザッカーは、間違いなく性同一性障害の世界的な専門家である。彼は、最新の『精神障害の診断と統計マニュアル』(DSM-5)のために、この症状の項目を書くのを監督した。また、世界トランスジェンダー・ヘルス専門家協会の最終的な「ケアの基準」ガイドラインの執筆にも携わっている(新たな最終基準は近日公開予定)。

ザッカーは「見守る」療法の実践者であり、子どもの苦痛の原因となりうるもののうち、性別は一つの要素に過ぎないと考える探索的治療の方法の支持者である

70%以上の子どもが性同一性障害から脱却していることから、「見守る」ことは、性同一性障害の未成年者の治療において、より慎重なアプローチであると支持者は考えている。

2015年、ザッカーは、性同一性障害を経験した子供に対する即時の「肯定」と移行に反対する心理学者をカナダから粛清する活動家主導のキャンペーンを受け、彼のクリニックから解雇された。(ザッカーを解雇し、彼のクリニックを閉鎖した病院は、後に公に彼に謝罪し、彼を中傷し、彼の仕事を誤って伝えたとして、55万ドル近くと訴訟費用を支払った)。

簡単に言えば、ザッカーのアプローチは、現在流行している、性同一性障害の未成年者を診断と治療の主導権を握る「肯定的」アプローチと正反対なのである。

ハーキンズが選んだ専門家、ダイアン・エーレンサフトは肯定的アプローチのみの第一人者であり、ハーキンズは彼女の見解を教義として受け入れたようだ。

https://www.city-journal.org/child-custody-gender-gauntlet

ハーキンズは報告書の中でフダコ氏を厳しく非難している。それはフダコ氏の希望する専門家や信頼する研究記事を足蹴にし、一切取り合おうとしないことだけでなく、フダコ氏の人格批判や憶測に基づいたレッテル貼りなど、とてもフェアとは言い難いレポートだ。

結果的にハーキンズは、ヒラモト判事がフダコ氏から親権を取り上げる証拠作りのために選任されたようなものである。

母親は法的な親権を永久に保持し、ドリューの健康、教育、福祉に影響する事柄について、彼女の裁量でフダコ氏に最新情報を提供すること。ドリューはUSCFの指示に従い、ホルモン療法を開始する。ヒラモト判事は、これらをすべて正式に決定した。

フダコ氏が保持していると思われる唯一の権利は、両者の合意がない場合、ドリューが18歳になる前に「性同一性関連手術」を受けることを阻止する権限である。

https://www.city-journal.org/child-custody-gender-gauntlet


シュライアーの緻密な取材は、我々が全く気付かぬまま、ジェンダー活動家たちが社会のあらゆる機関に奥深く入り込んでいることを実感させられる;

ヒラモト判事は、確かに当事者に(実子がトランスジェンダーだという)事実を開示する倫理的義務があったかもしれない。

しかし、この事件を掘り下げれば掘り下げるほど、ジェンダー・イデオロギーがすでに裁判制度に強力な支配力を獲得していることに気づかされた。家族の利害関係の有無にかかわらず、ほとんどの家庭裁判所の裁判官も同じ結論に達した可能性があるのだ。

2017年2月に開催された世界トランスジェンダー健康専門家協会(USPATH)の米国部門の会議で、ある出席者がジェンダー専門医の2人(南カリフォルニア大学小児科医ヨハンナ・オルソン・ケネディとブラウン大学小児科教授ミッシェル・フォルシア)に、子どもの医学的な性別移行を両親に強制させることは法的に可能か質問した。

「たとえ裁判所の命令がそう下ったとしても、(子どもにとって)良い結果を得るための最も重要な要因は親のサポートです。ですから、小児科の患者さんが必要としているものを手に入れるために裁判所に行く、というのは私の仕事上真っ先に取る行動ではありません。しかし、それは二番目の手段であり、私はそうするでしょう。」

親を法的に強制することは「前例がない」とフォルシアは同意した。「しかし、医療ネグレクトの場合は、児童相談所と連携することができます。少なくとも、片方の親と協力して、手続きを始めることができる。そしてまた、教育もできる。」

そしてフォルシアは、「私たちはロードアイランド州の裁判官にジェンダー教育を行いました。家庭裁判所の判事に半日かけて、ジェンダー論やトランスジェンダーとはこういうものだと伝えました」と言った。

ジェンダー活動家による家庭裁判所の法律家への教育努力は実を結んだ。

アリゾナ州のある家庭裁判所では、15歳の問題児である娘の親権を失った両親が、その娘が実は男の子であるという主張を認めようとしなかったため、親権を失うという事件があった。

この事件の担当弁護士であるバーナデット・ブロイルズは、裁判官から、彼女がトランスジェンダーの若者について受けた裁判所全体の「トレーニング」セッションを何とか入手することができたという。私が入手したこのリストには、「LGBTQ法廷関与青少年委員会」主催のランチミーティングに加え、過去2年間に活動家たちによる4回のプレゼンテーションが含まれていた。

この司法「研修」に、脱トランスジェンダー(つまり、性急な医学的移行をすでに後悔している若者たちで、急増している動きの一つ)の意見を聞いた形跡はない。

また、突然の性別変更によって10代の若者の人生がより悪くなるのを見てきた両親や、治療法として思春期の医学的移行に懐疑論を唱える心理学者や精神科医も一人もいない。

「問題は、それが裁判所全体の訓練である場合、たとえあなたがその特定の裁判官の退陣を申し立てたとしても、公平な正義を与えてくれる裁判官の前に出られる保証がないことです」とブロイルズは述べた。

https://www.city-journal.org/child-custody-gender-gauntlet

かくして、ブロイルズ氏の予測は当たったようだ。

2021年1月、ヒラモト判事はコントラコスタ家庭裁判所から刑事部へ異動し、その後一年間、別の判事がフダコ氏と妻の司法手続きを引き継いだ。

そして先週の金曜日、フダコ氏とクリスティンは新しくケースを引き継ぐことになったベンジャミン・レイズ判事と対面した。問題は、フダコ氏に対するクリスティンへの一時的な接近禁止命令である。

複数の目撃者によると、レイズ判事は自分の代名詞を述べてから手続きを開始した。


6:父親の今


フダコ氏は精神的にも金銭的にもかなり追い詰められており、不眠と鬱に悩まされ、6つの支援団体に助けられている。この一年間でドリューと会えたのはわずか75分ほどだったという。

250万円相当の金額を支払った弁護士は解任し、ここ4ヶ月は自分自身が法廷に立ち、戦っている。次々と申し立てを行い、未成年者の弁護士の任を解こうとし(却下)、息子との面会を増やすよう裁判所に訴えた(これも却下された)。

弁護士費用をまかなうため、キリスト教系サイト「Give Send Go」を通じてオンラインで寄付を募っている。GoFundMeが自分の作ったページを取り上げることを恐れているためだ。

そしてそれは正しい。GoFundMeの異常なまでのサヨク・イデオロギーの強さは、ANTIFAや犯罪者釈放の支援金はサイト自ら出資するほどであるのに、保守や労働者の寄付金を繰り返しシャットダウンしてきたことで、徐々に認知され始めた。「トランスフォビアの父親」へのサポートページなど、一瞬で削除されてしまうだろう。


フダコ氏によると、法廷でクリスティンは、氏が虐待やハラスメントを行なったと虚偽の証言をしているという。


以下はDailyMail紙に掲載されている彼のインタビューを抜粋したものだ;

(フダコ氏は)さらに、このような手術の同意年齢を25歳まで引き上げる方が安全だと考えている、と付け加えた。

「ドリューが18歳になれば法的な権利が発生する。私にできることは何もない。でも、私が読んだところでは、前頭前野が完全に発達するのは25歳までだそうです。」

「自分の若い頃を振り返っても、危険なことはたくさんやっていたんです。自分は無敵だ、防弾チョッキだと思い込んでいる。」

「このような経験をしている家族はたくさんいるんです。私たちの苦悩は特異な形ですが。」



フダコ氏は、もう一人の息子の親権は問題なく持ち得ているのに、どうしてこんなことに、と言う。弟である彼は、(家族がバラバラになる前の)元の状態に戻りたいと思っているそうだ。

「ドリューと話をすることもできず、彼の成長や発達を見ることもできない。私は、無関心で不在の親ではありませんでした。野球のコーチもしていたんです。」

「寂しいですよ。ドリューの弟には隔週で会っていますが、こんなことになり、弟に変化が起こるのを見ていると、本当に不安な気持ちになります。」とフダコ氏は言う。



彼は、そもそもなぜ自分に相談もなく、別居中の妻が手術と治療をやたらと進めようとするのか、途方に暮れている。

フダコ氏は、ドリューにとても会いたいし彼と一緒に大学のツアーに参加できないことに傷ついているという。

「私はドリューを見ましたが、2021年の秋に遠巻きに見る形でしか会えませんでした。私たちの下の息子は、ドリューと同じ学校でサッカーをしています。私も参加するし、何度か(ドリューが)母親と一緒に行ったこともあります。」

「彼が観客席に座っているのを見ました。そして悲しくなりました-いろいろあったから余計に。」

フダコ氏はドリューと連絡を取ろうとしているが、彼はいつもメールやSMSを無視するという。



フダコ氏が送ったメールのひとつは、19年11月のものだ;

「君の置かれてる状況を調べて、自分なりに考えを固めたよ。お父さんが望むのは、お前が幸せになることだけだ。もう一度、君の父親になりたいんだ。頼むからドアを開けてくれ。

それだけだ。応援しているよ。お前に会って、握手して、また笑顔が見たい。

ー愛してるよ、パパより。」

https://www.dailymail.co.uk/news/article-10489717/California-father-denied-custody-trans-son-wouldnt-consent-therapy.html


(終わり)


フダコ氏への寄付はこちらから;https://www.givesendgo.com/SaveSpencer

日本の子どもたちの安全と健康に関わる重大な社会問題として、子どものジェンダ
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