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アビゲイル・シュライアー:「恐怖の時代における自由」


今、すぐにでも日本語で出版されるべき米国のベストセラーに、Abigail Shrier(アビゲイル・シュライアー)の「Irreversible Damage:The Transgender Craze Seducing Our Daughters(不可逆的な傷:我々の娘たちを惑わせるトランスジェンダーの熱狂)」がある。

ある日突然、子供が性別違和を訴えた。性別を変更する手続きや治療を受けたいと言っている」と、急増するLGBT自認の子供たちや途方にくれる親たちのリアリティに迫った一冊だ。

シュライアーはLGBT、とくにT(トランスジェンダー)のイデオロギーが、インフルエンサーやメディアによって過剰に推されている現状を懸念している。

そして「トランスへの渇望」はとりわけ10代の少女たちのあいだで「集団感染」する傾向があるようだ、と指摘する。

また学校や行政ぐるみで子供たちを囲い込み、保護者から心理的に引き離したり、未成年者に医療選択を一任したり、子の突発的な性自認に異を唱えただけで親権を奪われかねない法整備の在り方や、子どもの性別移行に積極的な医療業界の闇にも迫る。


2020年6月30日の発売以来、多くの読者の高評価や賛同を得たにも関わらず、この本は幾度となくジェンダー活動家や極左集団に攻撃されてきた。

発売当初、Amazonや大手量販店のTargetは活動家の抗議に屈して販売を一時停止したり、検索結果からタイトルを隠したりした。シュライアーの本を棚に並べた図書館や書店には、恫喝の電話やメールが殺到した。

Spotifyのwoke(社会正義マン)な従業員たちは、全米人気ナンバーワンのポッドキャスターであるJoe Rogan(ジョー・ローガン)がシュライアーをゲストに招いたことに激怒し、一斉抗議。Spotifyは該当エピソードをサイトから消した。


トランスジェンダー問題に口を挟んだことで「キャンセル」されたアビゲイル・シュライアーは、言うなれば米国のJ. K. ロウリングである。


そんなシュライアーが数週間前、プリンストン大学に招聘されスピーチをすることになった。しかし(予期されていたことではあったが)瞬く間にLGBTアライや活動家たちによる反対運動が起こり、イベントはキャンパスの外に移動、収容可能人数はたったの35人、いくつも脅迫を受けたため警察が出動する羽目になった。

参加者も他の学生や活動家に攻撃されることを恐れ、講演は録音禁止。

しかしながらシュライアーの友人で元New York Times記者、自身もキャンセルカルチャーに迫害されてきたBari Weiss(バリ・ウェイス)が、このスピーチをいたく気に入って全文書き起こしをSubstackに掲載した。また、ウェイスの人気ポッドキャストHonestlyにシュライアーを招き、スピーチを再録音した。

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シュライアーのスピーチは素晴らしいものだった。なので余計に、「身の危険を感じながらも講演に集まった学生たちの内、たった35人にしか肉声が伝わらなかった」という事実は、キャンセルカルチャーの罪深さを改めて感じさせる。今回ウェイスが彼女のスピーチを取り上げたことは、社会全体にとって幸運だ。

シュライアー自身が身を持って体験したキャンセルカルチャーの恐ろしさ、米国社会に蔓延する集団思考(グループシンク)、そしてプリンストン大学の女子水泳選手も打ちのめされた「トランス女子選手による女子スポーツ参加」問題…。

シュライアーは力強く、そして慈愛の心を持って、これから社会へと羽ばたく学生たちにメッセージを送った。しかし彼女の叡智は、年齢や思想を問わず、多くの我々の胸に響くものである。

以下、シュライアーのスピーチ全文を翻訳した。可能なら、ぜひポッドキャストに収録された彼女の肉声を聴きながら読んでほしい。

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