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ストップ‼ひばりくん! そうそう、第1話はこんなストーリーでした(世田谷文学館、江口寿史展)

 江口寿史さんの展覧会。パンフレットをいろんなところで見ていて、世田谷のどこかで開催しているということだけ頭の片隅にありました。世田谷だったら世田谷美術館●●●だろうと思い込んでいて「最寄り駅から遠いからなあ~(注1)」と、ほぼあきらめていたのですが、ちょっと考え直して奮起して出かけることに…。あらためて世田谷美術館のウェブサイトを開いてみると、倉俣史朗展の情報だけで 江口寿史 の名前は出てきません。「あれっ、おかしいな」とウェブ検索で調べてやっと自分の思い違いに気がつきました。会場は世田谷美術館ではなくて 世田谷文学館●●● だったのです。
 私は世田谷文学館のことをよく知らなかったのですが、京王線の駅からすぐとのこと。それだったら早い時期に来てみればよかったと少し後悔しました。


 最寄り駅は京王線の芦花ろか公園駅。そこから千歳通りを南に5分ほど歩いたところです。少し奥まっていますが、緑道が千歳通りと交差したあたりで、角には古いお屋敷風の建物があって目印になります。お屋敷の前にも江口寿史展のポスターがありましたので、そこで立ち止まって周りを見渡せば場所はすぐわかると思います。
 ストップ の文字とイラストが描かれている扉があります。間違いなく、ここです。

 正面の受付でチケットを買い、2階に向かいます。上りきった階段のすぐ前が 江口寿史展 の入り口です。係りの人から、後半の一部に写真撮影できない展示物があるけれど、それ以外は撮ってかまわないと説明がありました。


 でしたので…

 さっそく、入り口に3組のイラストがありましたので、一歩下がって全体を撮ってみました。


 入り口をくぐった正面の奥にもイラストがあります。あきらかに 「ストップ‼ひばりくん!」です。印象的だったのでカメラで撮るのを優先しました。が、実はその手前に…


ストップ‼ひばりくん!

 漫画原稿が飾られていました。
 入り口にあった江口寿史さんのあいさつ文には「漫画原稿は現物を見せるだけでなく、『セリフも読んでもらいたいな』と強く思った」と書いてありました。他の展覧会だと原稿の数枚だけ抜粋して展示することが多いようですが、この展覧会では一話分全体を 一つのストーリーとして展示していました。
 そして、ここにあるのは「ストップ‼ひばりくん!」の たしか 第1話ではないかと思います。
『そうだよ、こんなストーリーだったんだよ』と心の中でつぶやきながら読んでしまいました。
 母親が亡くなって一人になった耕作くんが上京し、母親の知り合いのおじさんがいる大空組に身を寄せて 三姉妹+ひばりくん との生活がスタートするという話しです(すいません。説明してしまいました…)。 


すすめ‼パイレーツ

「すすめ‼パイレーツ」のコーナーです。登場するキャラクターを思い出しながらじっくりと読みました。


細かい色指定の資料

「江口寿史の爆発ディナーショー」の原稿と、それぞれのページに対する色指定の資料です。影の細かいところまで指示が書き込まれていました。


音楽やフィギュア―の展示物

 ガラスで仕切られたコーナーにはレコードやCDのジャケット作品や登場人物などのフィギュア―が飾られていました。
 会場にはBGMが流れています。選曲はご本人によるものということで、壁にあるQRコードからプレイリストをダウンロードできるようになっていました。


再現コーナー ある旅館の一室

 江口寿史さんは当時、集英社分室の執務室で仕事をした後、神保町の旅館で『ドロのように寝てい』たということで、その旅館の一室を再現したコーナーです。漫画業界では有名なカンヅメ旅館だそうです。


最後のコーナー

 代表的な2作以外にも漫画の原稿が展示されていました。コミカルなものだけではなく、シニカルなものもあります。ノートやメモ、関係者との連絡文などもありましたが、そちらは撮影禁止。上の写真は最後のコーナーで、漫画作品のイラストレーションが集められていました。


 展覧会のタイトルは ノット・コンプリーテッド。入り口のあいさつ文には「現状の展示には全然満足していません。これから閉幕の2月までこの展示は変わり続けるでしょう。自分が満足するまで?いや、きっと閉幕まで満足=完成はしないと思います。人生のようにね」とありました(太字による強調は私)。もしかすると、ここで紹介した作品が別の展示物に置き換わっているかもしれません。会期中にもう一度やってきて、何か変わったところがないかと探してみるのもおもしろいと思います。


アクセス

 最寄りの京王線 芦花ろか公園駅です。ただし、この駅には各停しか停まりません。私は明大前駅から各停に乗りましたが、途中2つの駅で特急などの通過待ちがありました。八王子方面の1駅隣が千歳烏山駅。こちらは特急の停車駅で、そこから世田谷文学館へは徒歩13分ということです。天気がよければそちらから歩くのもいいと思います。烏山神社の前を通過して、緑道をみつけられれば、そこを通ってくればいいのですから…。

 芦花公園駅はもともと 上高井戸駅 という駅名でしたが、小説『不如帰ほととぎす』を書いた徳富とくとみ蘆花ろかの邸宅が公園として整備されたのに合わせて現在の駅名になったということです。その公園は環状8号線沿いにある都立蘆花ろか恒春園こうしゅんえんです。



(2023年12月25日)


(注1)

 世田谷美術館は東名高速の東京側出入口と環状8号線が交差するあたりの砧公園の中にあり、最寄り駅の東急田園都市線 用賀駅から徒歩17分と離れています。途中、交通量の多い環状8号線を横断しなければならず(横断歩道の信号はなかなか青になりません)、さらに時間がかかるように感じます。
 近くにバス停「美術館」「美術館入り口」はありますが、それぞれ1時間に1~3本しかありませんでした。

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