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IT部門がオフィスを作るとどんなオフィスが出来上がるのか

この記事はMoney Forward CorporateIT Advent Calendar 2023の25日目の記事です。前回はSHACHOさんの「Wi-Fi 6Eの現状」でした。

みなさんこんにちは、マネーフォワードCIOの高野です。
今年もマネーフォワードCIO室は色々な事がありましたが、本社オフィスUpdatePJ(増床・改装)が個人的に一番印象に残っているため、本社オフィスUpdatePJについて書いてみたいと思います。

担当範囲

みなさんの会社ではどの部署がオフィス構築を担当していますか?
一般的には総務部が多いかと思いますが、マネーフォワードではIT部門(CIO室)がオフィス構築を担当しています。

物件の選定から、契約手続き、コンセプト設計、要件整理、レイアウト設計、デザイン設計、見積、VE、発注、コンストラクションマネジメント、引越しなどなど、全てのフェーズを担当しており、社内・社外の数多くのステークホルダーとコミュニケーションを取りながらオフィス構築を行います。

先日弊社オフィスで開催されたAtlassian Community イベントでお話しした方からも「IT部門がオフィスも作っているんですね!」とか、カジュアル面談時にもよく「オフィス構築ってNWだけだと思っていました!」など、オフィス構築全てをIT部門が行っている事によく驚かれます。
また驚かれると同時にあまりオフィス構築に興味が無さそうな反応をする方も多いです(笑)。

そもそも多くの方がオフィス構築がどのようなものかあまり馴染みがなかったり、ましてやIT部門が行うと何が違うのかなど全く想像が付かないと思うので、今回はIT部門がオフィスを作るとどのようなオフィスが出来上がるのか紹介してみたいと思います。

※ コンセプト設計やデザイン設計については共にオフィス構築をしたVPoCとBXデザイナーの記事がありますのでそちらをご参照ください。今回の記事はIT部門だからこそできる部分をメインにご紹介します。

IT機器にこだわれる

会議室設備

  • 会議にリモートから参加している人が会議室に居るメンバーとギャップなくコミュニケーションを取れるように、参加者全員が見える180度広角カメラや音質の良いマイクスピーカー環境を用意。

  • 会議室に入ってUSB Type-Cケーブルを一本PCに繋げばオフライン、オンライン会議どちらもすぐに始められる環境を用意(セッティングに時間を取られない生産性高い環境)。

IT部門がオフィス構築PJ自体を進めているため、IT部門メンバーはオフィスUpdateのコンセプトを深く理解しています。今回のUpdateでは「コミュニケーション」と「生産性」を大事にしていたため上記のような環境を構築しました。

また製品選定のため複数社のオフィスにお邪魔して実際にカメラ、マイクスピーカーを体験したり、検証機を借りて自社の会議室で何度も検証したりかなり時間をかけて選定しました。
これもIT部門主導のオフィス構築PJだったからこそ時間ギリギリまで妥協せず検証する事が出来たと思っています。
詳細はこちらの記事でも書いていますので是非ご覧ください。

執務席

出社する社員ができるだけ身軽で出社できる体験にこだわりました。

具体的には全ての執務席に貸与PCを充電できるモニター、個人スマホを充電できるLightningケーブル(iPhone用)とUSB Type-Cケーブル(Android用)を用意しました。弊社はオフィスと自宅のハイブリッドワークが基本のため、通常は出社時に自宅にある各種充電器を電源タップから抜いてカバンに入れ、重たいカバンを持って通勤するというめんどくさい体験が必要なのですが、上記環境を用意する事で出社時のめんどくさい体験を無くしました。

全席に個人スマホの充電環境まで設置しているの?と思われる方が居らっしゃるかもしれませんが、別途貸出用の充電アダプタやケーブルを用意して管理しなくても良いというIT部門側にもメリットがあるのでオススメです。

配信設備

ここ数年でウェビナーの普及が進み、オンラインイベントやオフライン x オンラインイベントが社内でも多く開催されるようになりました。

これまでも配信機材を用意して大きめのイベント時に会議室に持ち込み配信する事は可能でしたが、今回より多くの方がカジュアルに使えるように、配信機材や照明を常設した会議室を用意し、誰もが気軽にイベントを開催できる環境を構築しました。
結果、数多くの部署の方に利用していただけています。

無線LAN

Update前のオフィスはコロナ前に構築したオフィスであり、社内のいたるところでビデオ会議をする想定ではなかったため、よく従業員の方からzoomが不安定になるという声をいただいてました(多くの会社で同じような課題があったのではないでしょうか)。

今回のUpdateでは絶対に安定したビデオ会議を提供しようという想いがあったため、PJの早めから複数のメーカーの機器を実際に借りて、既存オフィスの一部エリアを使いながら実業務に耐えられるか検証を繰り返し、そのデータを元に新オフィスのAPの配置や各種設定(チャンネル設定、電波出力など)の設計を行いました。

無線LANについては実運用が始まらないと本当に大丈夫かわからないため、PJメンバーかなりドキドキでしたが、期待通り高密度環境でも安定したビデオ会議を無事提供する事が出来ています。

これは余談ですが、オフィス構築時にみんなでオフィスの壁を塗るという楽しいイベントがあるのですが、この楽しいイベントの最中にNWチームは新フロアに入れるチャンスという事で周囲の電波状況(外来波チェックなど)の確認をやっていました(笑)。
多くの社員の方がワイワイ楽しんでる裏側で地味に電波状況をチェックしてる姿はまさにIT部門!という感じで良かったです。

その他

他にも受付システムにこだわったり、座席予約システムにこだわったり、複合機にこだわったり、イベントスペースのプロジェクターにこだわったり、トイレの混雑状況をわかるようにこだわったり、モニター2枚席のデイジーチェーンにこだわったり、電子レンジにこだわったりなどあるのですが、書ききれないので一旦これくらいにしておきます。

IT部門がやるメリット

上記のようにIT部門が担当する事でオフィスのIT機器やシステムにこだわれるというメリットがあるのですが、他にも1つ大きなメリットがあります。それは「レイアウト設計の効率が良」という事です。

レイアウト設計の手戻りが少ない

オフィス全体にどのようなIT機器を置くか想定出来ているので、床下や天井裏の電源や有線LANなどの配線の設計漏れが少ないです。

例えば弊社では全ての会議室の入口に会議室予約システムで利用するiPadを設置していたり、会議室の中には有線LANやモニター、カメラ付きマイクスピーカーを設置しています。またオフィスの各入口には入退室セキュリティシステムのカードリーダーや防犯カメラ、勤怠システムの打刻ができる機器などを設置しています。

防犯カメラはPoE給電のため電源不要で有線LANケーブルだけあればOKなどがすぐに判断でき、最初からある程度固い設計をする事が可能です。

後から「ここに電源や有線LANが欲しかった」「電源がなくてiPadを置けなかった」などが起きにくいのがIT部門がレイアウト設計するメリットです。

レイアウト設計の変更に強い

PJの途中様々な要因でレイアウト設計に修正が入る事があります(例えば工事の見積りが想定より高くコスト観点で変更が必要になる場合など)。

執務席、会議室、イベントエリアの大きさや数に変更があると、無線LANのAPの場所を修正したり、有線LANを出す場所を変えたり、電源の設計などに影響が出ます。
※ LANや電源は床下や天井にあるので構築後に変更するとなると大変です

今回のPJも途中レイアウト変更が発生しましたが、どちらも同じIT部門が行っているため、レイアウト変更が発生したら無線LANのAPプロット図もすぐ更新するなど、レイアウト変更に柔軟に対応する事が出来ました。

また会議室の大きさや数に変更が入ると、会議室に設置するモニターなどの見積り作業や発注作業も追加で必要になるのですが(会議室の大きさによって設置するモニターサイズを変えているので)、これについてもどちらも同じIT部門が行なっているため、タイトなスケジュールの中でも漏れなく発注作業までスムーズに行う事が可能です。

※ 逆に設置するIT機器の制約をベースにレイアウト設計する事も可能です

IT部門がやるデメリット

ここまでIT部門がやる事でこだわれる事、メリットについて書いてきましたが、逆にネガティブな事は無いの?と思われた方もいらっしゃるかと思います。

これについても1つあります。IT機器にこだわり過ぎてPJの進捗がギリギリになるというデメリットです。

例えば配信機材を選定するのに非常に時間がかかったり、執務席に置く個人スマホ用充電器のアダプタ選定に時間がかかったり、執務席や会議室のケーブルマネジメント方法を決めるのに長く議論したり。

とにかくIT機器の選定に時間がかかるというのがPJ視点では逆に大変でした。
ただオフィス構築PJ全体がそもそもとても大変なものなので、その中で発生する問題と比べたらそんなに大きな問題ではなかったです。

また「IT機器にこだわって良いものを提供しています!」と書いていますが、逆に失敗したケースもいくつかあるので紹介しておきます。
※ 現在は全て是正済み

  • 一部の執務席のLANケーブルが短くてPCに繋げられない

  • 高価格の長いUSB Type-Cケーブルを用意したらすぐに壊れた

  • 会議室のカメラ付きマイクスピーカーのケーブルを純正以外のもので用意したら不具合発生

  • PhoneBooth内に設置した有線LANケーブルが配線ボックス内に落ちて使えなくなる

  • プロジェクターのリモコンの反応が悪くプロジェクターが降りてこない

  • 会議室に設置してある会議室予約用iPadで会議室のキャンセルが出来ない

最後に

皆さんいかがだったでしょうか?
IT部門がオフィスを作るとどのようなオフィスが出来上がるかイメージできましたでしょうか?

今回のPJで改めて感じたことは「テクノロジーを使いこなす事でオフィスで働く人達のUXを良くする事ができる」という事です。

UXが良いオフィスは働く人の気持ちだけでなく、生産性を上げる事も可能です。
※ 新たな課題がまた色々と出てきて絶賛対応中ではありますが(笑)

普段普通に利用していると特に意識していない(あまり気付かない)事ばかりの内容だったかと思いますが、今回の記事を見て少しでもオフィス構築に興味を持つ方が増えたら嬉しいです。


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