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三億円で想像力は買えない。

三億円事件の犯人が妻の死をきっかけに、当時の真相を書き記した本が発売された。


『府中三億円事件を計画・実行したのは私です。』

三億円事件とは、3億円を積んだ現金輸送車が白バイの偽警官に取られて、行方不明になった未解決事件である。


これは『小説家になろう』という企画に投稿された小説である。
本文は、

この場を借りて、ひとつの告白をさせていただきます。
――府中三億円事件を計画、実行したのは私です。
今なお語り継がれる未解決事件、完全犯罪として成立している事件の全貌を、みなさんにお話しいたします。

と始まっていく。


著者の白田という男が妻の死をきっかけに実の息子を使って、綴ったものだという。
そして、この事件自体が自分の青春だったとも語る。
あくまで小説であり、フィクションであると書かれている。



率直に言うと、私はこれを読んで腹が立った。
この白田という人物に。
なにが青春だ!と思った。
他人に迷惑をかけて、自分だけ幸せになろうなんてあまりにも虫が良すぎる。


もう少し噛み砕いて言うなれば、
この犯人は、恋人や友人を巻き込んで、金を奪い、そのおかげで何億もの税金を使い捜索が行われ、沢山の大人が動き、迷惑なことをしまくったにも関わらず、自分は悠々自適に「これは青春だ」だの「妻の死をきっかけに」だの、あまりにも都合が良すぎる。手伝った友人も疑われたあげく亡くなったことも悲しいとは思っていても、全く悪びれることもない。


意味がわからない。
それを今更になって、懐かしい思い出みたいに語らないでくれ。
想像力が足りなさすぎる。
自分が行動したことでの結果への想像力があまりにも足りない。
いくら若かったとはいえ、して善いことと悪いことの分別くらいつけてほしい。
法の中で暴れてくれ。


想像せず行動することで、何も顧みず、挑戦するという心意気だけで何かを成し遂げたということもあるのかもしれないけど、これは本当に自分以外の誰も幸せにしてないから、私は腹が立つんだ。
自分のことしか考えていない、至極自己中で自分勝手にしか思えない。

たとえフィクションであったとしても、本当にこんなんだったら最悪だと思った。


相手のことを考える、あるいは周りのことを考える、という想像力だけはもっておきたいと、この本を読んで思った。

私もそんなに全てが全てできている訳ではないが、少なからず努力はしていきたいと考える。


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