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110円でコーヒーは飲めるけど、かわいいカフェでお茶をするのが好き


のどが渇いたら110円でコーヒーは飲める
だけどあたしは かわいいカフェでお茶をするのが好き

おしゃれな部屋に住みたい
流行りの服が着たい
話題の映画が観たい
最新の携帯に替えたい
車の免許が取りたい
海外旅行に行きたい

だから仕事を探さなきゃ
がんばって働かなきゃ

『NANA』5巻


10代のときに読んだ、漫画『NANA』の1ページ。仕事をクビになってしまう主人公のハチが、街で缶コーヒーを買ったシーン。

ハチはわたしだ」って思った。当時の同世代はみんなそうだったんじゃないだろうか。

缶コーヒーが悪いわけじゃない。ただ、心がときめくような空間でお茶をする、そんな毎日でありたかったし、それを選べる自分でいたかった。


〇〇をしたい、特別な人間になりたい、たったひとつでもいいから夢中になれることに没頭してみたい。

当時は「きっとこれから出会う仕事や人々によって、この欲は満たされるに違いない!」と信じていました。



あれから何年もたち、アラサーになったわたし。

未だに欲にまみれており、毎日「仕事を探さなきゃ!がんばって働かなきゃ!」をやっています。

全然成長してなくない?


憧れていた白くて天井の高い家には住めてないし、着古したユニクロの服ばかり着ている。

映画の料金は2,000円になったし、海外旅行も高くなりすぎていつ行けるようになるだろう?

なんなら缶コーヒーは140円になった。ねえハチ、缶コーヒーはもう110円で飲めないんだよ。



なんか状況悪くなってない?毎日一生懸命働いてきたけど、小さい欲望すらなかなか叶わない。やってられないよね。

それでも1つだけ、自分に許していることがある。

それが毎朝のコーヒー


カフェで買うこともあれば、コンビニのコーヒーマシンで買うこともある。NANAを読んでいたころには考えられないくらい、コンビニでおいしいコーヒーが買えるようになった。

もちろん自販機で買うよりは高くつくけど、コーヒーの香りに包まれる瞬間がどうしても好きだ。

毎朝この苦さを身体に流し込むと、背筋が伸びるような気持ちになる。わたしにとって「今日もいちにち、なんとかがんばろうかな」のスイッチがコーヒーだ。



もしかして10年後も、同じことを繰り返しているのか・・・?と不安にもなるけど。それでも毎朝コーヒーを買えるような余裕は、絶対に手放したくない。

ささやかだけど、守りたい生活がある。まだ叶っていない欲を追いかけながら、明日の朝もコーヒーを買う。週末は、新しくできたカフェでお茶をしたい。

だから、がんばって働かなきゃね。


またね。



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