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ゲームが好きです。カードゲームは少し好きです。

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最近の記事

メリナとは、何者だったのか【エルデンリングDLC考察②】

メリナ いわゆる「火防女」の立場にいる彼女ですが、『SEKIRO』のエマや『blood borne』の人形と比べても、その存在感の薄さはよくネタにされています。実際、彼女の口から出自が語られる機会は多くありません。我々に分かるのは断片的で、彼女の身体がすでに焼け爛れ霊体と化していること、その使命はどうやら黄金樹を燃やすことにあったらしいこと、そして彼女が監禁されていたであろう場所から見つかる使命の刃に記された「種火の少女」という呼び名、といったものでした。 彼女の「母」とは

    • ホスローと稀人【エルデンリングDLC考察①】

       「ホスローは血潮で物語る」。そう雄弁に語った彼は、復讐の対象であるべき火山館にいつの間にか懐柔され、しかもそのつるつるとした手を血潮で汚すことなんかけしてできず、失意のまま、壺たちが花を愛でる村に辿り着いた。憧れていた兄のような、英雄になりたかったはずなのに。  つまりと私たちは思うのである。彼の手は一度も血で汚れたことがないためにつるつるで、それゆえ壺師に適していたのだろう。花を愛する壺たちと血を見られない壺師の組み合わせも案外悪くないじゃないかと。もちろんフロム世界の

      • カードゲームとしての『学マス』-その良さ

        このたび大型デビューを決めた『学園アイドルマスター』ですが、カードゲームとしてもけっこうおもろい。わたくし見事にハマっております。 ネットのみなさんもきっと、その評判は目にしているんじゃないですか。 お金と気合のえらく入ったライブシーン。新進気鋭の有名アーティストによる「良さ」にあふれた楽曲。アイマスの王道から少しだけ外の世界に踏み出した個性豊かなキャラクター群。特に一部の「良すぎる」シナリオ。これは「新しい」アイドルマスターなのだという感覚が、稀にみるヒットの理由なのかも

        • おかえり登美彦氏『シャーロック・ホームズの凱旋』読後感想

           1月ほど前、本書を手に取った時僕には、これまでとは何か違うものが感じられた。仔細はこちらに書かれている。  これまでとはつまり、『有頂天家族 二代目の帰朝』、『夜行』、『熱帯』といった作品群のことで、気をつかうことなく言ってしまえば、森見登美彦氏はずいぶんの間、ひどいスランプの渦中にあった。  かつての名作たち、例えば『四畳半神話大系』、『夜は短し歩けよ乙女』、『宵山万華鏡』、『恋文の技術』、洒脱なこれらの作品群が放つ魅惑的な輝きは、もはや見いだせなくなってしまった。  

        メリナとは、何者だったのか【エルデンリングDLC考察②】

        • ホスローと稀人【エルデンリングDLC考察①】

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        • おかえり登美彦氏『シャーロック・ホームズの凱旋』読後感想

          『シャーロックホームズの凱旋』ミリ知らレビュー

           初めに、お詫びしておかねばならない。  私は本書のプロローグを約3ページだけ読んでいる。つまり厳密に言うならば、この文章はミリ知らではない。ミリ知りである。  しかし読者諸賢におかれては、冒頭3ページを読んだごときで登美彦氏の深遠な世界観を語るなどまさにおこがましきと知れ、夜郎自大、呉越同舟、焼肉定食、木を見て森を見ず、などなど熱き拳を振り上げんばかりの勢いであろうことだから、あえてミリ知らを名乗らせていただく。  みなさまも、たかだか3ページを読んだごときで作品の本質を語

          『シャーロックホームズの凱旋』ミリ知らレビュー

          LoRの対人モードが終わりました

          荒波を越えたと思った船は対岸に着く前に沈みました。 LoRが流行らない理由について、以前僕はゲーム性が変だという趣旨の記事を投稿しました。それを受けてくださったわけではないと思いますが、LoRをしているおじさんたちによる、なぜLoRが流行らないかについての座談会は読んでいて面白いものがありました。 特にタキさんの開発側に理解を示しながらもプレイヤーのリアルな感覚を言葉にしている点など興味深く読みました。さらにそれを受けて俺たちのちょもすさんはこういった記事を投稿してちょっと

          LoRの対人モードが終わりました

          ガンダムSEED FREEDOMを見てもんにょりした僕には経験値が足りてない

           26日、『ガンダムSEED FREEDOM』を見てきた。  見終えてすぐ、これは賛否両論な作品だぞと思った。僕の中には爽快感ともんにょり感という二つの感情が折り重なってしこっていた。こうした感想を誰かと共有できないものかとネットで検索したら、絶賛の声が圧倒的に多かった。確かに、あの作品に大きな良さもあるのは事実だけれど、これほどまでに絶賛されるものだろうか。もんにょりとしたものを感じた人たちは口をつぐんでしまったのだろうか。それとも、僕がただ少数派というだけなのだろうか。

          ガンダムSEED FREEDOMを見てもんにょりした僕には経験値が足りてない

          悲しみを言葉にするということ

          LoRのWolrdsが終了した。 流し見ながら一応全試合視聴したけれど、ゲームの内容については要所要所で「うわあ神ゲー」という感想が出たくらいで特に何もなかった。ただ選手たちはみな賢そうでいて、ある意味で流れ着いてしまった悲しみを抱いている雰囲気が僕は好みだった。おそらくこの船はどこかで沈むのだろう。彼らは次にどこへ行き着くんだろうか。ワールド・ビヨンドだろうか。 僕はchomoshさんのnoteにはお金を払っていないので無料部分しか知らないのだけど、最近はゲームをネガティ

          悲しみを言葉にするということ

          【LoR】WORLDS観戦ガイドが良かった話

          『Legends of Runeterra』(LoR)にはがっかりさせられることが多い。 わずかな期待を抱いていた新環境も、「この環境でWORLDSやらされる選手たちがかわいそう」という感想しかなかったが、しかし、素晴らしい試みもあった。 それがこちらのWORLDS観戦ガイドだ。 知らない方のために説明すると、LoRには一年間のシーズン通して地域別に行われるゲーム内のトーナメントと、トーナメントを通じて選ばれた64名の選手たちが栄光を目指すWORLDSがあり、 つまり、世

          【LoR】WORLDS観戦ガイドが良かった話

          LoLのカードゲームは難しいから流行らない?【LoR】

          『League of Legends』の世界大会が盛り上がっていましたね。 鮮烈だったのは、バロンバフを持つ大軍勢と相対しながら、Rulerの《ヴァルス》に《アジール》で突っ込んでフラッシュ読み《皇帝の分砂嶺》を決めたfakerの一幕。我々視点全盛期を10年続けているfakerですが、本人インタビューによると彼のピークは2013年頃だったそうな。 え、ところで今あげたキャラクターやスキルのカードが使えるカードゲームがあるんですか? 『League of Legends』(

          LoLのカードゲームは難しいから流行らない?【LoR】

          ピン差しを恐れていた私

          最近思い立って、MTGアリーナをダウンロードして遊んでいる。 古典の勉強のつもりだった。 遠い昔の工具箱にぎっしりと詰め込んだ遊戯王を除けば、シャドウバースからカードゲームを始めた私にはMTGに対する憧れのようなものがあった。 美麗なカードイラストに、複雑で神秘的な物語を備えた、アドバンテージのひとつひとつを奪い合う荘厳なゲーム。 やたらとカードゲームに詳しそうなおじさんたちもMTGを愛している。俺もカードゲームとはなんたるかの深奥に、いつか足を踏み入れたい。 そんな私

          ピン差しを恐れていた私

          そして、身体は闘争を求める【AC6 2ndレビュー】

          先日、1周クリアの勢いに任せて下のようなレビューを投稿した。 記事自体は結論への跳躍を誤って墜落したダメ記事なので目を通す必要はないのだけど、低質なコストで速乾性の陶酔感を混ぜこんだドーザーの妄言のような文章に、ひとつだけ褒める点があるとすれば、「身体は闘争を求める」というネットミームに着眼していたことだろう。 それは7年来の戯言であり、泥水にまみれた祈りの言葉だった。けれど、ACの火を絶やすことのなかった男は、AC乗りたちの祈りもやはり聞き捨てることはなかった。 妄言

          そして、身体は闘争を求める【AC6 2ndレビュー】

          俺はソウルシリーズ最新作をプレイしていたのかと思ったが【AC6 レビュー】

          違った。 『ARMORED CORE6』は断じて、『Bloodborne』や『Sekiro』の流れを汲むソウルシリーズ外伝最新作などではなかった。 だって勘違いもするだろう。 1ミッション3回限り許されたリペアキットはエスト瓶だ。相手の衝撃ゲージを溜めてダウンを狙う直撃システム、危険な行動の前に赤くアラートの鳴るのもSekiroじゃないか。 チュートリアルの最後には強大であるが負けイベではないボスが現れる。それってソウルシリーズのお約束だ。 バルテウスは負けまくるうちにある

          俺はソウルシリーズ最新作をプレイしていたのかと思ったが【AC6 レビュー】

          シャドバのランクマッチを回すということ

          今期のシャドウバースのランクマッチは不思議な環境となっていた。原因は競技シーンに影響はほぼないが新たなデッキタイプを提供する、という方針のエラッタとアディショナルカードで、競技シーンでは【結晶ビショップ】【進化ネメシス】等の強デッキがぶいぶい言わせる中、ランクマッチではそれらのデッキは特にエラッタから鳴りを潜め、【連携コントロールロイヤル】だったり【アルティメットバハムートドラゴン】だったりの明確な弱点を抱えるデッキがトップシェアを誇っていた。 トップシェアを誇っていた、と

          シャドバのランクマッチを回すということ

          【ティアキン】天変地異がハイラル王国にもたらした本当のもの【レビュー】

          先日こちらの記事を読んで、多くの点で納得した。記事に寄せられた、世間的に評価されているゲームに批判を投げるのが日本では勇気を伴う行為だ、というリアクションも全くその通りであって、僕はこの記事に好意的なスタンスで、しかし前作もプレイした身として、より補足的にレビューしたい。 上の記事の概要を僕なりにまとめると、『ゼルダの伝説:ティアーズ・オブ・ザ・キングダム』におけるおもしろさは小さな足し算が延々と続いていく極めてインスタントなものであり、その自由は一定基準を超えた奥深さを備

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          サンキュー・スナップ・ベン・ブロード

          最後に見たマーベル映画はたぶんアイアンマンだった。 その一つ前はサム・ライミのスパイダーマン。 ベネディクト・カンバーバッチが好きなのでドクター・ストレンジには興味があるが、アベンジャーズですら1個も見てない。 そんな僕がなぜ「マーベル・スナップ」に手を出したかというと、noteで感触良さげな声をチラホラ見かけたのと、「あの」ベン・ブロードが手掛けた作品だからなのだった。 そもそもベン・ブロードって誰? って方のために説明すると、「あの」ハースストーンを手掛けたゲーム開発

          サンキュー・スナップ・ベン・ブロード