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市内RPG

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福井丘県子郡市。市役所発の魔王討伐に、高校生勇者がゆるーーく挑む。不定期連載中。
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#魔王

市内RPG ③市役所

9時に子郡駅前集合。 家を出ようとすると 「こんなに早くから、バイト探し?」母が言った。 「まあ、そんなとこ。行ってきます」 ヒラはもう来ていた。 「説明会は市役所の第3会議室であるってよ。15歳以上ならいいらしい。」 「たくさん集まるのかな」 「さあね。まあ、行ってから決めればいいさ」 話していると、ヤスが来た。 「さて、行こうか」 子郡市役所は駅から歩いて10分のところにある。レンガ造りの3階建て。ぱっとしないただの四角い建物。エントランスは暗くて、心細くなる。案内

市内RPG 13カゲとの遭遇?

レベル5になったぼくらは、市役所での情報をもとに、子郡運動公園に向かっている。 レベル5の戦士、勇者、魔法使い、そして僧侶。 もうスライムやジャンボタニシは恐れない。 市役所の尾林さんは、子郡運動公園にいるカゲから情報を聞くようにと教えてくれた。無事にカゲに会えるのだろうか。 カゲ。市役所の探索部。一般市民を装って、勇者を支援する。 子郡運動公園にそのカゲがいて、魔王の情報をつかんでいるらしい。 子郡運動公園。市民の憩いの公園である。 プロ野球チームの福井丘ソフトバ

市内RPG 14蛙とコンビニ

ピンクの帽子を被ったおじさんランナーは足を止めない。 ぼくら、つまり、勇者と戦士、魔法使い、僧侶の4人は何とかおじさんに追いついた。 「おじさん、おじさん、止まってよ」 ぼくらは走りながら話しかけた。おじさんは止まらない。ただ何かつぶやいている。小さい声だ。 ぼくらは伴走しながら耳を澄ました。 「魔王は蛙神社。魔王は蛙神社。魔王は、、、」 蛙神社。 蛙がたくさんいる神社。ここからそう遠くはない。小高い丘の上にあり、敷地の真ん中には小さな池がある。たくさんの蛙の置物

市内RPG 17レベル8

蛙神社で青いウシガエルを倒したぼくらのパーティーは全員レベル8になった。 戦士ヤスは相変わらず呪文を覚えない。 勇者のぼくは、火の呪文アツッと回復呪文ナムーを覚えていた。 しかし、今回のレベルアップでは何も覚えなかった。こんなこともあるのだ。 魔法使いヒラは呪文がそろってきた。 火の呪文アツッと強化呪文メチャアツッ。 水の呪文ツメタ。 雷の呪文ビリー。 どれも攻撃魔法だ。しかもビリーは金縛りの効果も期待できる。 僧侶カナも呪文が増えた。 回復呪文ナムーとその全体呪文ナ

市内RPG 21平岡パンに行け

横熊山遺跡で、巨大アブラゼミを倒したぼくら、勇者、戦士、魔法使い、僧侶のパーティーはレベル9になった。 次の目的地は、小保駅そばにある平岡パン工場だ。 パン工場といっても古びた工場ではなく、カフェテラスのあるおしゃれな工場だ。ランチ時には、OLさんの姿も見られる。 ぼくらは二師鉄子郡駅に10時に集合した。 「ここからは1駅ね」僧侶のカナが言った。 「トベルーは使わないの?」魔法使いのヒラが言った。 レベル9でカナが覚えた空を飛べる呪文。 「あれはなかなかきついから

市内RPG 22あんパンくんとの戦い

ぼくら、レベル9。戦士、勇者、魔法使い、僧侶のパーティー。 今、魔王の手がかりを求めて、子郡市小保にある平岡パン工場にやって来た。 平岡パン工場、1階の奥の自動ドアをくぐり抜けて、進んでいる。 エスカレーターの前に看板がある。 『関係勇者以外立入禁止』 「オレたち、関係勇者だよな」戦士のヤスが振り向いて、そう言った。 みんな、うんうんとうなづいた。 エスカレータに乗って2階へ。 2階は小豆色のフロアーだった。絨毯も小豆色、壁紙も小豆色、カーテンも小豆色。こんな

市内RPG 24酒店とポーション

ぼくらレベル9の勇者、戦士、魔法使い、僧侶のパーティー。 平岡パン工場で、アンパンくん、辛口カレーパンさん、メロンパンレディを倒した。そこで、魔王はエオンの方に飛び去ったという情報を得た。 エオンショッピングセンター。 子郡市の大型ショッピングセンター。全国的な経営で有名なあのエオンだ。 あのエオンが子郡市にできるなんて夢みたいだ。建設時にはそんな声も聞かれた。売り場は1階のみ。土地が安かったのだろうか、馬鹿広い。店内には汽車ぽっぽが走っていて、小さい子や老人が利用で

市内RPG 26武ん防具コーナーにて

ぼくら、レベル9。戦士、勇者、僧侶、魔法使いのパーティーは、魔王を追って、エオンショッピングセンターに来ている。 そして、『武ん防具コーナー』で買い物の途中である。 いろいろ見て回って、残高とみんなの総意によって、購入する物を決めた。 買い物は、もちろん買い物アプリpaipai。魔物を倒したお金もここに貯まるしくみになっているのだ。 「ぜったい買ってほしい。買わないと、もう戦わない」 なんて言っていたのは、戦士ヤスだ。 戦士は呪文を覚えないから、装備品を買うことで

市内RPG 27ライバル

ぼくら、レベル9.戦士、勇者、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。 エオンショッピングセンターの武ん防具コーナーで、装備を充実させた。 さて、魔王の情報を教えてくれる市役所環境推進課のカゲを見つけないと。 たぶん、ピンクが目印のはずなんだが、、、。 「女の勘よ。TATUYAなんかどう?」 僧侶のカナが言うので、TATUYAという書店に行ってみた。 人はまばらで、いつも通りの感じがする。 怪しい人はどうやらいなさそうだ。 「はずれだな、カナ。スポーツPODEはどう

市内RPG 28キンタッケーチキンのカゲ

ぼくら、レベル9の戦士、勇者、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。 エオンショッピングセンターで魔王の情報をもつ、子郡市役所環境推進課探索係のカゲを探している。 「なかなか見つからないね」魔法使いヒラが言った。 「どこかにヒントはあるはずなんだが」戦士ヤスも言った。 「早く見つけないと、あいつらに先を越されちゃうわ」僧侶カナも言った。 あいつらというのは、ぼくたちと同じ勇者登録をした同級生4人組、ライト、井上、馬場、ルミのことだ。 さっき、ラクーラクーザの前で、お互

市内RPG 29野良勇者

ぼくら、レベル9.勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。 エオンショッピングセンターのキンタッケーチキンで、カゲから情報を得た。 『段ボール回収箱段ジョンに魔王』 ハンバーガーの包装紙にメッセージ。 ハンバーガーを急いで食べて、出口Dに進む。 「ここから出ると、段ボール回収箱が近いわ」 僧侶のカナが言った。 段ボール回収箱はすぐに見つかった。 「どこに、段ジョンがあるんだ?」 戦士ヤスが言った。 段ボール回収箱は、入り切れないほどの段ボールが積まれていた

市内RPG 30段ボール回収箱段ジョン

ぼくら、レベル10。勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。 子郡市にある、エオンショッピングセンターを探索している。 フードコートのキンタッケーチキンにいたカゲから魔王の情報をゲットすることができた。 「段ボール回収箱段ジョンに魔王」 段ボール回収箱に向かう途中、野良勇者パーティーに出会ってしまって、戦闘するはめに。 ようやく勝って、レベル10になったところだ。 「他にもパーティーがいるかもしれないよ」 魔法使いヒラが周りを見渡しながら言った。 「段ボール

市内RPG❎「ひとわけいぶき」さん

今回は、なんと、あの「ひとわけいぶき」さんに「市内RPG」のイラストを描いていただきましたーーーーーー🤩🤩🤩 連載小説「市内RPG」。福井岡県子郡市に住む高校生のぼくが、市役所で勇者登録をして、魔王討伐にゆる〜く挑む。戦士ヤス、魔法使いヒラ、僧侶カナの4人パーティーは、魔王を求めて、子郡市内を探索中。 いつもは「みんなのフォトギャラリー」で写真をピックアップさせていただいたのですが、今回は、コラボが実現したのです。 「ひとわけいぶき」さんによるコラボ記事がこちら。 す

市内RPG 31 宝箱は拾えるか

ぼくら、レベル10。戦士、勇者、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。 エオンショッピングセンターの段ボール回収箱段ジョンを探索している。 まさか、エオンの真下に段ジョンがあるなんて。 ぼくらは、4mほどの幅の通路を進んでいる。足元と頭上には、オレンジの小さなライトが灯されている。この灯りのおかげて、10m先くらいはぼんやりと見える。 真っ直ぐに進むと、十字路に出た。段ジョン特有の迷路だ。 「どっちに進む?」戦士ヤスが左右の通路を見た。 「ケータイ出して」僧侶カナがぼ