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市内RPG 27ライバル

ぼくら、レベル9.戦士、勇者、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。

エオンショッピングセンターの武ん防具コーナーで、装備を充実させた。

さて、魔王の情報を教えてくれる市役所環境推進課のカゲを見つけないと。

たぶん、ピンクが目印のはずなんだが、、、。

「女の勘よ。TATUYAなんかどう?」

僧侶のカナが言うので、TATUYAという書店に行ってみた。

人はまばらで、いつも通りの感じがする。

怪しい人はどうやらいなさそうだ。

「はずれだな、カナ。スポーツPODEはどうかな」戦士のヤスが言った。

もうそれぞれの勘を頼るしかない。

スポーツPODEも、人はまばらだ。サッカー部らしい中学生の集団がいたが、どうも違うらしい。

「じゃあ、ダイノーは?」

100均のダイノー。ここもうろうろしてみたが、手掛かりは見つからない。

「カゲはいないみたいだね。ラクーラクーザは?」と、ぼく。

ラクーラクーザは、ゲームコーナーだ。ここなら、にぎやかだし、カゲがいても不思議はない。

たくさんのゲーム機が置かれたラクーラクーザ。

色とりどりの光と大きな音であふれている。

「うるさいったら、ありゃしない」カナは、一周回って出てきた。

「いないみたいだね」ヒラが言った。

「いやなヤツはいるけどね」ヤスが言った。


すると、ラクーラクーザのクレーンゲーム機の向こうから、高校生らしい4人組が出てきた。

「これは、これは、勇者様ご一行」背の高い男、馬場が言った。

「まあ、わたしたちも勇者様ご一行だけどね」カリアゲ女子、ルミが言った。

「レベル低そうな勇者に魔王は倒せないと思うけどね」日焼けした坊主男子、井上が言った。

「家に帰って、ポテチでも食べてな」太っちょ眼鏡男子、ライトが言った。

この4人組は、ぼくらと同じ高校の同級生だ。

いやなヤツら。最近、勇者登録したって言ってたな。

「ライト、井上、馬場、ルミ、最近、勇者登録したからって、いい気になるなよ」ヤスが言った。

「ふん、弱いくせに。威勢だけはいいな」ライトが言った。

「どっちが弱いか試してみる?」カナも戦闘モードだ。

「レベルはいくつになったの?」ルミが尋ねた。

「ぼくらは9だけど」ヒラが答えた。

「、、、まあまあね」ルミの顔が少しひきつった。

「レベルよりも装備だと思うけどね」馬場が、剣を抜いた。両手に持つ双剣だ。

ライトたちをよく見ると、なるほど装備は、ぼくらよりも高価な装備らしい。

「こいつら、ボンボンだったな」ヤスが小さい声でつぶやいた。

「馬場、まあ、待て。こいつらをやっつけてもいいが、装備に傷がついてはもったいない。経験値ももらえないしな」ライトが言った。

「そうだな。レベルをもう少し上げればすぐに追いつくからな」抜いた双剣をしまいながら、馬場は言った。

「こっちだって、相手してあげないから」カナも言い返した。

「魔王を倒すのは、オレたちだからな」ヤスも言った。


ぼくたちは、お互いに捨て台詞を言いながら離れた。

エオンショッピングセンターには、勇者一行が2組いることになる。

早くカゲを探さないと。


前回まではこちら。

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