市内RPG 30段ボール回収箱段ジョン

ぼくら、レベル10。勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。

子郡市にある、エオンショッピングセンターを探索している。

フードコートのキンタッケーチキンにいたカゲから魔王の情報をゲットすることができた。
「段ボール回収箱段ジョンに魔王」

段ボール回収箱に向かう途中、野良勇者パーティーに出会ってしまって、戦闘するはめに。

ようやく勝って、レベル10になったところだ。

「他にもパーティーがいるかもしれないよ」
魔法使いヒラが周りを見渡しながら言った。

「段ボール回収箱に急ごうぜ」
戦士ヤスも足早になった。


段ボール回収箱。

誰でも段ボールを捨ててよい場所。8mほどの鉄のボックスだ。そのボックスから、段ボールがあふれている。荷造りひもで結ばれたものもあれば、そのまま折りたたまれたものもある。大きさも色も様々だ。世の中にこんなにいろいろな段ボールがあったのかと思う。まあ、段ボールそのものをこんなにまじまじと見たことはないのだが。

「うーーーん、ただの鉄の箱ね」
僧侶のカナがボックスに触れながら言った。

「ということは、中が怪しいのかな」
ヒラが、ボックスの奥を覗きながら言った。

「ちょっと潜ってみようぜ」
ヤスが提案した。

、、、こんなとき、いつも行くのはぼくだ。じゃんけんで勝ったことがない。

「さすが勇者!」
ヒラとヤスがにやにやしている。

3人は、段ボールをいくつか抜き取って、人一人が入れる隙間をつくった。

「いいぞ。勇者様、行ってらっしゃい」

ぼくは、ボックスの壁を乗り越えて、3人がつくった隙間に入っていった。段ボールを押し退けながら、奥に身体を滑り込ませる。

段ボール。

段ボール。

段ボール、、、。

あれ、こんなところに広い隙間がある。どうやら、横に通気口らしい穴がある。身体を丸めて、行けば奥に進める。

「おーーーーい、奥に進めそうだよーーー」

「じゃあ、順番に行くーーー」ヤスが返事した。

奥に10mぐらい進むと、ようやく立てる通路のような場所に出た。まわりはコンクリートで、ひんやりしている。足元と天井にオレンジのライトが点々と灯っている。はじめはよく見えなかったが、暗闇に慣れてくると、周りの様子もわかる明るさだ。

通路は奥に続いている。どれくらい先まであるのだろう。1階建ての子郡のエオンの真下をずっーーーと走っているのだろうか。とにかく先は見えない。

狭い通気口らしい穴から、ヤス、カナ、ヒラが順にはい出てきた。

「何、ここ?」
カナの言葉が通路にこだました。


コンクリートのかべには「関係勇者専用通路」というプレートがはめ込まれていた。

「おれたち、関係勇者だよな」
戦士ヤスが、ぼくの方を見ながら言った。

「そう、そう」
魔法使いヒラがぼくの返事を待たずに答えた。

「とにかく行きましょう」
僧侶カナは、もう進んでいる。


前回まではこちら。

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